視聴者のテレビ離れが指摘されて久しいが、独自の面白さで高い人気を誇るテレビ朝日のバラエティー番組『ロンドンハーツ』と『アメトーーク!』。今年9月から『ロンドンハーツ』がネット限定無料動画配信、11月から韓国で配信開始と、新しい取り組みにもチャレンジしている両番組の加地倫三プロデューサーに今後の展開、そしてテレビバラエティーの未来について聞いた。

加地倫三
1969年3月13日生まれ。神奈川県出身。上智大学外国語学部卒業後、テレビ朝日入社。スポーツ局を経て、編成制作局制作1部でバラエティー番組の制作に携わり、『リングの魂』、『ナイナイナ』のディレクターを担当。現在は『ロンドンハーツ』、『アメトーーク!』の演出・プロデュースを担当する 拡大画像を見る

――まずは今年の9月にスタートした『ロンドンハーツ』の動画配信ですが、そもそもの経緯から聞かせて下さい。

加地倫三「もともとは今年の5月ごろロンブーの淳と一緒に食事をした時に『DVDだけの企画が出来ないか』と言われたことがきっかけです。ちょっと前だとそういうことって『深夜番組でやってみよう』ということになったと思うんですけど、今は深夜とはいえなかなか冒険できないという現状もあり、じゃあネットでやろうという話になったんです」

――確かに今はDVDよりネットの方が敷居は低そうですよね。

加地「そうですね。見る人の数も多いだろうし、淳もネットでいろいろやっていますし。特に『ロンドンハーツ』はネットを面白がっている人にも面白いと思ってもらえるようなタイプの番組かなと思っていますので、こちらからネットに踏み込むことで、ネットに流れたお客さんを地上波に引き戻すことが出来るひとつのチャンスかなと。そこからは『人の発掘も出来る』『企画の発掘も出来る』とトントン拍子に進んでいきました」

――実際にやってみて、手ごたえはいかがですか?

加地「第1弾、第2弾ともに普通に地上波で放送してもよかったくらいの出来だったと思います。よく『テレビってこれからネットとどうなっていくんですか?』みたいな質問をされますが、こうやって思い切って飛び込むのもひとつの向き合い方なのかなって思いましたね」

――地上波とネットでは番組制作において何か違うのでしょうか。

加地「単純に規制が違います。ネットは地上波のゴールデンタイムより2段階くらいゆるい感覚です。こちらとしてもその分、ネタのチョイスや言葉使いなど含めて攻めていけるというか。その意味でネットは10数年前の深夜番組みたいなノリがあると言えるかもしれないですね」……続きを読む