――今のネットのように、昔は深夜番組がもっと実験的で個性的だった記憶があります。

加地「意図的にせよそうでないにせよ、今の深夜番組は確かにトライアル色が強くなってしまっていますよね。それに比べるとネットは自由な制作の場ではあります。でも、我々の場合、あくまでも目的は地上波の『ロンドンハーツ』を見てもらうため、面白くするための手法のひとつなので、そこは忘れずにいたいです」

――その地上波では12/27(火)に『ロンドンハーツ』、12/30(金)に『アメトーーク!』のスペシャルがそれぞれ放送されますが、各番組の見どころについて教えて下さい。

加地「まず『ロンハー』に関しては、"裏でこんなことやってました2011"が一番オンエア時間も長くてオススメですね。昨年に引き続き、隠し撮りによってあらわになる様々な人間性も見どころです。よくしゃべる早口のピース・又吉とか(笑)。この企画、打ち合わせナシのドッキリなんですが、そこからトーク番組に仕上げていく芸人さんたちの力量はすごいですし、ネット限定動画の第1弾でドッキリにひっかかったジャングルポケットの斉藤も先輩たちと絡んでます。その放送後にネット限定動画第2弾で同じ企画を若手芸人でやってますので、ぜひ連動して見て下さい。こちらは地上波ではオンエアできないディープでエグいネタばかりです(笑)」

――『アメトーーク!』に関してはいかがですか?

加地「見た目の面白さで言えばやっぱり"運動神経悪い芸人"ですね。それこそ『世界の衝撃映像』として出品したいくらいの出来映えです(笑)。なかなかテレビで表現しづらいのでDVDの副音声で解説したいんですけど、ダメな動きにもその人特有の動きというか、個性があることが今回、分かりました。ナイツ・塙のバスケットと走り幅跳びを続けて見ると『同じヤツだな』とひと目で分かりますし、フルーツポンチ・村上の曲がらない膝は相変わらずですが、上半身もよく見るとかなり面白いことになってます。検証VTRの本数が今までで一番多いですし、雨上がりの2人もスタジオで笑い疲れてました。よく『わざとやってるんじゃないか?』と言われますけど、そうじゃないことの証明にもなっていると思います。本人たちは笑いを取っている手ごたえはまったくないらしいですけど(笑)」

『ロンドンハーツ 4時間40分スペシャル』(12月27日 18:30~23:10)
「ウラでこんなことやってました2011 年末だからバラしていいよね」、「気をつけろ2012年!オマエは運が悪い女GP」、「奇跡の1枚」などのコーナーをおくる

『アメトーーーーーーク 4時間40分スペシャル』(12月30日 18:30~23:10)
「運動神経悪い大賞」、「中学の時にイケてない紅白合戦」、「アメトーーク大賞2011」など盛りだくさんの内容を

――『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』とも長く担当されてますが、そろそろ後輩に譲ろうという考えはありますか?

加地「ないです(笑)。後輩は後輩の番組をやればいいし、『ロンドンハーツ』『アメトーーク!』は僕がここまで手がけてきた番組ですから。さすがに60歳までは編集とかやってるか分からないですが(笑)。それに、やっぱり受け渡すということは自分がノータッチにならないと、渡された方が気を遣うじゃないですか。中途半端に関わるくらいなら責任持って全部やりたいんですよ。自分が現場に行かないことで、収録が滞ったり、下の者が常に意見をうかがったりするリーダーなら要らないですよ」

――バラエティー番組に対する規制というか逆風はまだまだ強いと思いますが、加地さんとしてはこれからどう立ち向かっていくつもりですか?

加地「確かに風当たりの強さは感じますけど、勝負する時は勝負した方がいいと僕は思います。失敗も時々しないとダメですよね。失敗の方が学ぶことが多いから、勝負して怒られることも時には必要なんです。それに『ネットの方が面白い』と言っている人たちがテレビをつけた時に『あ、やっぱテレビって面白いじゃん』と思う番組がひとつでも増えないと未来はないですよね。少なくとも自分が受け持っている番組に関してはそうありたいと常に思ってますし、そう思ってくれる人が1人でも2人でも増えていくことを祈ってます」……続きを読む