ScanSnapの基本は「Scanボタン」を押して、紙文書をデータ化(PDF/JPEG)するということだ。その上で、使い勝手というのは連携するソフトウェアが左右するといってもよい。そこで今回は、「ScanSnap S1500」のバンドルソフトウェアや連携サービスについて紹介したいと思う。

シリーズ前編となる
【 捨てたいけど捨てられない、そんな"紙"の快適年末大掃除(その1) 】
も合わせてご覧ください。

"紙"をデータ化して処分。その次はどうする ?

紙の原稿をセットしてScanボタンを押す。たったこれだけの操作で、紙の情報をデジタルデータにできる

ドキュメントスキャナのScanSnapを使うと、山のように積み上がった"紙"の情報を手軽にデジタルデータ化できる。これだけでも"デジタル大掃除"は終わったようなものだが、せっかくデジタルデータにしたのだから、そのデジタルデータを便利に活用する環境を整えておきたいところ。おすすめなのは、ScanSnap(および付属ソフトウェア)と、クラウドサービスの連携だ。

"クラウドサービス"という言葉は耳にしたことがあると思う。コンシューマレベルでいえば、例えばオンラインストレージなど、"データをオンライン上に保存する"サービスのことだ。オンラインにデータが保存されるということは、PCでなくても、Android端末やiPhoneのようなスマートフォンでもデータをチェックできる。紙文書をデータ化してクラウドサービスへ保存しておけば、PCはもちろん、手持ちのスマートフォンやタブレットなどで確認できるというわけだ。

従来的な"紙のデジタル化"は、単純に紙文書をデータ化して保管スペースを縮小し、PCに保存することで閲覧性と検索性を高めるのが主目的だったわけだが、クラウド時代になり活用の幅がさらに広がったといえる。利用シーンが増えたことで、これまで以上に紙文書のデータ化に取り組みやすく、取り組むメリットが出てきた。年始の掃除シーズン、紙文書の一斉処理を考えるきっかけにもなるはずだ。

さて、ScanSnapとクラウドサービスの親和性は、これまでも各メディアで取り上げられていたのだが、
(1) ScanSnapで紙文書のスキャン
(2) クラウドサービスへアップロード
(3) スマートフォンからクラウドにアクセス(もしくはクライアントアプリを利用)してデータのチェック
という流れだった。

しかし、2011年秋に発売されたScanSnap S1500シリーズの新モデルでは、クラウドサービスと簡単に連携できる機能を搭載するようになった。従来モデルのScanSnap S1500、同S1500M、同S1300、同S1100でも、PFUのホームページにて無償提供されているアップデートプログラムによって、同じ機能を利用できる。

クラウドサービスに転送したい時は、上の「クイックメニュー」画面からカンタンに使える。ここでは「Evernote」を選択してみた

PCにインストールしたEvernoteが表示され、スキャンデータが加えられる

これにより、
(1) ScanSnapで紙文書のスキャン&アップロード
(2) スマートフォンからクラウドにアクセス(もしくはクライアントアプリを利用)してデータのチェック
といったように、使い勝手が大きく向上している。

対応するクラウドサービスは「Evernote」「Googleドキュメント」「SugarSync」「Salesforce Chatter」「Salesforce CRM」の5種類。スキャン後に表示される「クイックメニュー」で利用したいサービスを選択するだけで連携できる。なお、「Salesforce CRM」に関しては、ScanSnapシリーズに標準添付の名刺管理ソフト「名刺ファイリングOCR」(Windows版)と「CardMinder」(Mac OS版)から連携が可能。いずれにおいても使い方は簡単で、特別な操作をする必要はない。

スキャンデータをiPad/iPhoneへダイレクト転送

iPad/iPhoneを所有している人は、さらに注目だ。iPad/iPhone専用アプリ「ScanSnap Connect Application」を利用することで、スキャンしたデータをダイレクトに、iPadやiPhoneへと転送できるようになった。"保管するまでもないけど、ちょっと置いておきたい"という微妙な紙文書を心置きなくスキャンして、捨てることができるようになったともいえる。

このような紙文書は案外多い。例えば、"手書きメモを付け加えた配布資料"などだ。資料そのものは多く出回っているものかもしれないが、メモを加えたことで自分独自の資料となり、捨てにくくなる。そういった紙文書をスキャンしてiPad/iPhoneに保存しておけば、見たい時にいつでも見られるだけでなく、原本も捨てられるというわけだ。

必要なのは、iPad/iPhoneをWi-Fi接続するための無線LANルータ/アクセスポイントだ。ScanSnap S1500を接続しているPCとiPad/iPhoneは、同じネットワーク内に存在する必要がある。iPad/iPhoneとPCの通信は基本的に自動設定だが、初回の接続時は、iPad/iPhoneからPCに接続する際のパスワードを設定する。

はじめて利用する場合は、iPad/iPhoneからの接続時パスワードを登録する

実際のデータ転送は、
(1) iPad/iPhone専用アプリ「ScanSnap Connect Application」を起動
(2) 紙をセットしScanSnap S1500のScanボタンを押してスキャン開始
(3) スキャンデータがiPad/iPhoneへ自動転送
という流れだ。

「ScanSnap Connect Application」を起動して接続が確立すると、PCの画面に「モバイルに保存」画面が表示される。ScanSnap S1500に原稿をセットしてScanボタンを押すと、スキャンとiPad/iPhoneへのデータ転送が始まる

「>」をタップすると、「ScanSnap Connect Application」に転送されたデータの表示と確認が可能だ

転送されたデータをタップすると「次の方法で開く...」画面が表示され、PDF/JPEGの閲覧アプリにも転送可能だ

iPad/iPhoneユーザーはクラウドサービスを利用しなくても、スキャンデータのチェックができるわけだ。さらに、PCにインストールした「楽2ライブラリ パーソナル」にも、iPad/iPhoneへとデータを転送する機能がある。これまで管理してきたデータをムダにすることなく、iPad/iPhoneで活用できるのだ。

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