前回「Kindle Fireは汎用的なAndroidタブレットではなく、Amazonタブレットである」と書いたが、メールやTwitter、ニュースをチェックするだけで十分なら、Kindle Fireは199ドルと魅力的な価格のAndroidタブレットである。Kindle Fireレビュー第3回は「FireをAndroidタブレットとして使う」だ。

Kindle Fire

まず最初に、FireをAndroidタブレットとして使いたい人が注意すべきポイントを挙げておこう。

  1. USBケーブルがない:PCと接続せずに本体のみで使用するのが前提なので同梱されていない。

  2. Android Marketがない:AndroidアプリはAmazonのAppstoreから入手する。Amazonの審査を経ているため安心して利用できるということだが、やはりアプリの種類・数は少ない。

  3. Kindle端末には不要だから付いていないパーツや機能が多い:カメラ、マイク、Bluetooth、GPSなど。これらを必要とするAndroidアプリは使えない。

  4. 設定項目が少ない:設定機能はあるものの、Kindle端末用に簡素化されているため、設定できずに使えないアプリが多い。

(1)と(2)は容易にクリアできる。(1)については、自前でUSBケーブルを用意するしかない。PCに接続すると、自動的にFireのストレージにアクセスできる状態になる。(2)については、ルートを取ってAndroid Marketを利用可能にしている猛者も現れているが、Android Marketにこだわらなければ、そこまでやる必要はない。「Allow Installation of Applications」という設定があり、これを有効にするとAmazon Appstore以外からのアプリもインストールできるようになる。幸いAmazon Appstoreで「Easy Installer」が配信されており、これを使えばapkファイルにまとめられたアプリを簡単に導入・管理できる。

USBケーブルでPCと結ぶと自動的に接続

Kindleのストレージに、PCから音楽/写真/動画/ドキュメント/アプリなどを転送できる

出荷状態でインストールできるアプリはAmazon Appstoreで配信されているもののみ。設定で「不明なソースからのアプリ・インストールを許可」を選べるが、有効にすると「個人データ保護のセキュリティが低下する」という警告が表示される

不明なソースからのアプリ・インストールを有効にし、Easy Installerを使ってSimejiをインストール

(3)は克服しようがないので、カメラやマイクなどを必要とするアプリの使用はあきらめるしかない。(4)は、日本人ユーザーにとって非常に残念なところだ。(2)を克服できるのでSimejiなどの日本語入力メソッドを導入できるのだが、Kindle Keyboard以外の入力メソッドを有効にする設定がないのだ。Webブラウザやメールソフトで日本語を表示できるものの、日本語を入力にはハッキングするしかない。ただ、ファームウエアのアップデートで入力メソッドの選択がサポートされる可能性は高いと思う。米国人ユーザーの間からSwypeの利用を求める声が噴出しており、言語設定ならともかく、Amazonがキーボード設定を制限する理由が見当たらないからだ。

設定内のキーボード設定はKindle Keyboardのみ

入力メソッドの選択画面は呼び出せるが、Kindle Keyboard以外は選べない。ルートを取ってSwypeなどを選べるようにする方法がすでにネットで公開されているが、ハッキングするとAmazonのサービスの利用に障害が起こりうる

標準アプリは、メール、コンタクト、ブラウザ、ギャラリー(写真)、Kindle、Amazon MP3、Amazon Video、Amazon Shop、Amazon Appstore、Adobe AIR、Adobe Flash Player、Facebook、Pulse、QuickOffice、IMDbなど。

Kindle Fireのブラウザは、Silkというユニークな仕組みを採用している。Webサイトとのやり取りをAmazonのクラウド・コンピューティング環境Elastic Compute Cloud (EC2)が行い、EC2がまとめたデータをFireが受け取ることで、モバイル端末で快適なWebブラウジングが可能になる。使ってみると、たしかにメールアプリはさくさくと動くし、Webページの読み込みも速やかだ。しかし、Wi-Fi環境において明らかな違いを体感できるほどではなかった。

Amazon独自のモバイルレンダリング技術Silkを採用したブラウザ

ブックマーク機能。ブラウザの操作性は全般的にシンプルで、Kindle端末においてWeb閲覧はおまけ機能という雰囲気……

最後にベンチマーク結果。今日の最新のAndroid端末には遠く及ばないが、電子書籍/音楽/写真/動画やカジュアルゲームを楽しむには十分である。1日中使うにはバッテリー駆動時間に不安が残るものの、ただコンテンツを消費するためのタブレットを探しているのなら、199ドルのKindle Fireは魅力的な選択肢と言える。

ハードウエアおよびOSの情報。プロセッサはOMAP4430、GPUはPowerVR SGX540、OSはAndroid 2.3.4

ブラウザ性能を評価するQualcommのVellamoの結果

Android端末ベンチマーク・スーツの定番Quadrantの結果

Quadrantだと位置付けが分かりにくいので、AuTuTuの結果も

【レビュー】Kindle Fireを試す

第1回 - 199ドル、激安Androidタブレットの第一印象は?
第2回 - Kindle FireはAndroidコアのAmazonタブレット第1弾
第3回 - Androidタブレットとして使いものになるか?

(提供:AndroWire編集部)

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