「Kindle Fire」

Androidプラットフォームを採用した米Amazon.comの電子ブックリーダー「Kindle Fire」が、発売から1日経たずして早くもroot権限が奪取されたようだ。

Kindle FireはGoogleのAndroid 2.3 "Gingerbread"をベースとしたカスタマイズOSを採用しており、その実は汎用のAndroidタブレット的な使い方が可能だ。Kindle Fireは定価が199ドルとタブレットのライバル製品に比べてもはるかに安いため、今後同製品を使ったさまざまなハッキング手法が一部ユーザーの間で流行ることになるかもしれない。

xda-developersAndroid Forumのサイトにdeath2all110という人物が投稿した情報によれば、ADBをセットしたPCにKindle FireをUSB接続し、SuperOneClickのツールを利用することで、あとは指示にある手順で簡単にKindle Fireのrootをとれるようになるという。Androidではrootをとることでさまざまなカスタマイズが可能になるため、一部ユーザーの間ではroot権限奪取後にフォントの入れ替えやカスタムROMの導入がよく行われている。ただしメーカーが保証するサポート範囲外の行動であり、デバイスが動作不能になる可能性も含めて注意が必要だ。今回Kindle Fireハックが早期に行われたことで、カスタムROMを作成するデベロッパーなども登場することになるだろう。

Kindle Fireについては発売直後にiFixitなどが分解レポートを行っており、そのハードウェアの詳細が明らかになっている。1GHz駆動のOMAP 4430プロセッサに512MBのDRAM、8GBの内蔵ストレージと、タブレットマシンとしてみれば十分にハイパフォーマンスなスペックを誇っている。しかも本体価格が199ドルなのに対し、その製造原価は200ドル前後が想定されるなど、コンテンツ販売を前提にした価格設定でライバル製品に比べても非常に安い。これで考えられるのは、Kindle Fireが本来Amazon.comが想定したメディアタブレット端末ではなく、ハッキングを目的としたユーザーに「安価なタブレット」として積極的に購入される可能性だ。これに対する公式声明はまだAmazon.comからは出されていないが、Kindle Fireのビジネスモデルはユーザーのコンテンツ消費を前提としており、こうしたハッキング前提の製品購入はマイナスとなる可能性がある。root権限の奪取が困難になるように対策が行われるのか、あるいは端末自体の販売促進のために黙認するのか、非常に興味深いところだ。

(提供:AndroWire編集部)

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