こんにちは。一日3時間をニコニコ動画に費やすダメ社会人、山田井ユウキです。
今日もさっそく最近流行の動画や埋もれている良動画を独断と偏見で皆さんに紹介していこうと思います。選ぶ基準はただ一つ、僕の趣味です!
ここ1カ月ほど、ニコニコ動画のランキングのみならず、ネット上で大きな話題を呼んだ動画があります。
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それがこちら。パッと見はごくありふれた「歌ってみた」に思えますが、どうしてこの動画が話題になったのか。実は動画の歌声が恐山アンナを演じている声優の「林原めぐみ」ものに酷似していたのです。
しかし、投稿者によるコメントは「シャーマンキング復活によせて歌ってみた(アンナ)」というシンプルな一言のみで、投稿ユーザーの名前も「恐山アンナ」となっており、真相は謎に包まれていました。
動画では「これは絶対に林原めぐみの声だ!」と主張するコメントや、逆に「いや、違う。なぜなら……」と反論するコメントが入り乱れて議論が続けられていましたが、11月8日、ついに林原めぐみ公式サイトにて真相が明かされます。
それによると、動画の歌声はやはり林原めぐみ本人で、この「歌ってみた」企画は今年の6月からスタートしていたものだというのです。
今回は「恐山ル・ヴォワール」という楽曲が生まれ、林原めぐみ氏が歌うに至った、その軌跡を追いかけていくことにしましょう。
2010年3月13日、「恐山ル・ヴォワール」と題された動画が、ボカロPの「かぴたろう」によってニコニコ動画に投稿されました。
そもそも「恐山ル・ヴォワール」とは、かつて週刊少年ジャンプで連載されていた人気漫画「シャーマンキング」に登場する劇中詩。その内容に感銘を受けたかぴたろう氏がこれにメロディーをつけ、初音ミクに歌わせる形でニコニコ動画に投稿したのが上記の動画だったのです。
その後、楽曲の完成後にかぴたろう氏は自ら「シャーマンキング」の作者である武井宏之氏にtwitterで報告し、これに武井氏は「非常にすばらしい作品で感動いたしました」という主旨のリプライを返します。さらに武井氏は「もし何かの機会に恐山ル・ヴォワールが映像化されたときには、ぜひエンディングに」と述べており、「恐山ル・ヴォワール」は晴れて作者公認の二次創作作品となったのでした。
そしてこの度、ジャンプ改にて「シャーマンキング」が復活することに際して、原作者の武井氏が「何かファンに恩返しができないか」という思いから林原めぐみ氏に今回の企画を依頼、これに林原めぐみ氏が賛同し、さらにかぴたろう氏に確認の上、本人による「歌ってみた」が実現したわけです。
しかし、公認されていたとはいえ、まさかそれから一年半の時を経て声優本人による「歌ってみた」が投稿されることになろうとは、誰も予想していなかったでしょう。ほぼ間違いないと言われつつも、動画コメントで懐疑的な意見があったのはそういった「まさか」というところが大きかったのだと思います。
林原めぐみ自身も投稿してから公式発表があるまでの間、動画コメントでの論争を見ていたようで、公式サイトで次のように述べています。
<引用>
本人じゃないと書き込んだ人。どうか恥じることのなきように。
本人だと書き込んだ人。どうか責める事をせぬように。
どちらも【愛】なのだからね。
<引用ここまで>
ファンと原作者とスタッフ、すべての人の思いが生み出した奇跡のコラボレーション。こういうことがあるから、ニコニコ動画は面白いですね。
さて、ここからはこの「恐山ル・ヴォワール」に関するさらなる派生作品をご紹介していくことにしましょう。いずれも「シャーマンキング」ファンの気持ちがつまった素晴らしい二次創作となっています。
「恐山ル・ヴォワール」に手描きで制作したイラストをつけたMAD動画。完成度が非常に高く、ファンの愛がひしひしと伝わってくるすばらしい作品です。また、この動画に先ほどの林原めぐみ氏の歌声を合わせた動画も最近投稿されており、そちらもオススメです。
また、「歌ってみた」も数多く投稿されています。
こちらは原曲が投稿されてからまもなくして投稿された「歌ってみた」動画で、歌い手は「栗プリン」。林原めぐみ氏の動画とはまた違った雰囲気が漂っており、こちらも聞き応えのある傑作です。
……ということで、シャーマンキングファンとしては飛び上がるくらい嬉しいファンサービスとなった今回の「歌ってみた」企画。こういう素敵なコラボが今後もたくさん出てくることを願ってやみません。
勝手エヴァンジェリスト・山田井ユウキ
1980年生まれ。レビューサイト「カフェオレ・ライター」で、映画、漫画、ゲームなどを独自視点からレビューする他、「builder by ZDNet Japan」「ハリウッドチャンネル」など各種媒体で記事を連載中。どんなに忙しくても一日数時間ニコニコ動画に費やすという、社会人としてあるまじき生活を謳歌中。好きな動画ジャンルはゲーム実況、ボカロ、他エンタメ系全般。
(タイトルイラスト:3P3P)
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