――舞台やテレビドラマへの出演、アニメや吹き替えなどのお仕事を今後も続けていかれるのでしょうか。

「そうですね、続けられれば、続けていきたいですし。私の中では勝手に、声優さんで目標にしているのが、麻生美代子さんと京田尚子さんなのですけれども。お二人とも、映画とかテレビドラマにも出てらっしゃるし、声の仕事も、きちんとやってらっしゃるし。それで、ますます味のあるナレーションをなさってる。ちゃんとアニメも洋画もやってらっしゃるし」

――若い方のために、土井さんの新人のころのお話をうかがえますか。

「『ベアーズ』の後、すごく仕事が増えて、忙しい時期が来たんですけど、緊張がすごくて。当時、女の人がたくさん出る作品は少なかったんですよ。アメリカの映画とか、男性が20人以上いて、そこに、私が一人だけ、とかっていうときもあったんですね。大ベテランの方たちが畳み込むようにセリフをワーって3ページぐらい言ったところに、私の役がバーンって部屋に入ってきて一人でしゃべり出す、っていう役をいただいて。なんかね、同じところで4回くらいやっちゃったことがあったんですよ」

――今なら、そのフレーズだけ抜き録りして、デジタル編集することもできますが。

「ヒューっとか音がするんですよね。機械が止まる音が。バババババと電気がついちゃって。それで、後ろでこうやって(フィルムを)かけてる。でも、20代前半の女の子ですから、みんな最初は優しいんですよ。『いいよ、いいよ、緊張するよな』とか言ってくれて。でも、3回目ぐらいになってくると、みんな、ちょっとピクピクみたいな感じに。4回目となると、もう誰も何もしゃべらない(笑)。そういうのが続いて」

――最後に、読者にメッセージをいただけますか。

「よく若い方が、『声優になりたいのですけれど』って、ホームページ上などで、ご質問いただくんですけれど、声の仕事だけを目標にするというのもひとつだと思うんです。ただ、私は役者の仕事の中の一部だと思ってるんですね。だから、いろいろお仕事が来るか来ないかは、私だって自分で選べないじゃないですか。だから、いつでも役者として、自分がなにかがやれる状態でありさえすれば、その私を必要としてくれるジャンルの方が、『やって』って言ってくださると思うんですね。それで、そう言われたときに、『はい』って言えるようでありたいと思うんです」

――ありがとうございました。