東京・巣鴨にある「キャラバンクラブショップ」

以前は登山用品やアウトドア用品の専門店へ行かなければ購入できなかったトレッキングシューズも、現在は量販店やオンラインショップなどで気軽に買うことができる。しかし、自分の足に合っていないサイズや形状の製品で出かけると足を痛めて、山を楽しむどころではなくなってしまう。トレッキングシューズ選びは、足に合った製品選び「フィッティング」の知識を持つ店員にアドバイスを受けることが失敗しない秘訣なのだ。

そこで、アウトドア用品専門店「キャラバンクラブショップ」も展開するアウトドア登山用品メーカーの「キャラバン」に協力してもらい、実際にシューフィッティングを体験してみた。一体、どんな点に注意してトレッキングシューズを選べばいいのだろうか。

デザインだけで選ぶのはやめておこう

最近のトレッキングシューズは、おしゃれでカラフルな製品も増えているので、製品選びの際にはデザインも重視したいところ。しかし、サイズ(足の長さ)の異なるバリエーションは用意されていても、ワイズ(足の横幅)のバリエーションが用意されている製品はそれほど多くはない。凸凹した地面や傾斜のきつい山道を歩くトレッキングでは、足裏の左右方向にも体重が掛かることが多いので、ワイズ合わせも重要なのだ。

製品を選ぶ際は、まず自分の足に合ったワイズで製品を絞り込み、色やデザインはその中から選択するようにしよう。標準的なワイズは2Eだが、日本人の足は横幅が広くて甲が高い傾向にあるため、3Eや3E+(3Eと4Eの中間)の製品がフィットしやすいという。初めてトレッキングシューズを購入する際は、店舗で足の計測をしてもらってから購入したほうがよいだろう。

指1本分の"遊び"が適正サイズ

次にフィッティング。トレッキングでは厚手のソックスを履くことが多く、普段使用している靴下でのフィッティングは避けよう。店舗ではたいてい試し履き用ソックスが用意されているので、借りるとよい。靴を履いたら、つま先で床を小突いて足を靴の前方に詰めてみる。その状態でかかと側(ハイカットならアキレス腱付近)に指1本が入る隙間ができるくらいが適正なサイズとのこと。指が入らないようなら小さめ、かかとに入れた指が曲げられるようなら大きめ、となる。

次にかかとで床をトントンと蹴って足を靴の後方に詰めてから、靴紐をしめる。ハイカットの製品では、一番上までしめればつま先に指1本分の空きがある状態でしっかりと固定されるはず。この"指1本の隙間"が下りの際に重要となる。隙間がなかったり、足首がホールドされていなくて足が前のほうに滑っていくと、爪を傷めてしまうこともあるのだ。

ハイカットシューズでは、くるぶしから上を写真のように上から掛けて下から引き出すようにすると、靴紐同士の接点が増えて緩みにくくなるのだ。下りにオススメの方法

ただし、どんなに優れたトレッキングシューズでも、履き始めの数日は足が当たって痛くなる箇所があるそうだ。ハイカットの場合は、足首のあたりが痛くなることも多い。履き慣れると靴の方が足の形状に合ってきて痛みも収まるので、必ず履き慣らしをしよう。ただ、どんな痛みでも慣れれば消えるわけではない。足のどの部分がどの程度痛むのかをフィッティングの際に伝え、それが慣れで解消される程度なのかを判断してもらおう。