なんとなく新聞の字が読みづらくなったような……。そんな40代はもちろん、これから"その時"を迎える30代もぜひ知っておきたいのがここ数年急速に進化している遠近両用コンタクトレンズ事情。「見え方」が格段に良くなっただけでなく、最近は目のストレスフリーを意識した製品も登場してきているという。ハード、ソフト両方があるが、今回はソフトレンズについてチバビジョン製品情報本部本部長の土屋二郎氏に話をうかがった。

45歳には老眼は始まっている

新聞や本を読むとき手元から離すようになったり、薄暗い店でメニューが見えづらくなったり……。この不都合極まりない老眼のメカニズムとはどういうものだろうか? 「目は近くを見るときに水晶体の形を変えますが、このピント合わせをする水晶体の柔軟性が失われてピント合わせがしにくくなった状態が老眼です。水晶体は代謝老廃物を外部に排出することができないため、生まれたときから内部に老廃物をためこんでいます、その結果、加齢とともに徐々に徐々に固くなっているのです」とのこと。肌や髪の老化同様避けられるものではないようだ。気になるのは老眼になる年齢だが……。「遠視の人では30代半ばから始まり、どんなに若く見える人でも45歳には老眼が始まっているといっていいでしょう」

そこで知っておきたいのが、老眼になったときの矯正方法。遠近両用眼鏡や老眼鏡という手もあるが、これまでコンタクトを装用していた人にはちょっと抵抗もあるはず。できれば顔の印象が変わらない遠近両用コンタクトがいいが、現在はどんなタイプのレンズが多いのだろうか?

「確かに使い勝手が良くなかった時代もありました」

土屋氏によると現在出ている遠近両用ソフトレンズのほとんどが「同時視型」。一般的にレンズの中央部に近くを見る部分、その外側に遠くを見る部分を同心円状に配置し、目線はそのままで見たいものを脳が自然に選択して認識するしくみだ。普通のレンズと違い遠近両用は「見えにくい」という話も耳にしたことがあるが、使い心地はどうなのだろうか?

「チバビジョンを含め各社が遠近両用のレンズを出したのは1998年。レンズの中心に近くを見る部分、その周りに遠くを見る部分を置いた同時視型のレンズを出したのですが、処方が難しく、合う方、合わない方があり、使用者の方からも『遠くのものが見えにくい、視線を移すと一瞬ぼやける』という声は確かにありました。もちろん付けた方が見えるといえば見えるのですが、普通のコンタクトと比べれば見え方は劣っていました。一度は試してみたものの、思うような見え方ではなかったためにコンタクトをあきらめた、という人は多かったようです」

「代わり」ではなく「足りない部分を助ける」

しかし、時代は変わった。最近のコンタクトの品質は格段にUP。チバビジョンでは2008年、日本で初めて遠近両用の一日使い捨てレンズを発売した。これによって普段は眼鏡を使用している人も結婚式のようなフォーマルな機会やスポーツの時といった「その日だけ、その時だけコンタクト」をする使い方も可能になった。

2009年10月にはさらなる"進化版"が登場。同社独自の新開発レンズデザイン「遠近両用プレシジョン・プロファイル・デザイン」を採用した「エアオプティクス 遠近両用」(2週間交換終日装用/1箱6枚入り)だ。「例えるなら使い捨てカメラですね。焦点深度が深く、ピント(焦点)が合いやすいのでどの距離でも自然でクリアな見え方です。またより弱い調節力でピントが合うので、疲れにくく、ストレスも軽減されます。これまで普通のコンタクトレンズをしていた人が何の抵抗もなく移行できるようにしたいと考えました。特に30代、40代の人は自分で(手元の物に焦点を合わせる)調節力がまだあります。足りない部分を助けてあげるという発想。代わりのものを付けるという発想ではなく、目本来が持つピント合わせのメカニズムを助けてあげるという考え方からできたレンズです」とのこと。それまでのレンズの弱点だった遠方や薄暗い場所でのぼけやにじみを抑えることができるようになっているという。

エアオプティクス 遠近両用

ちなみに、エアオプティクス遠近両用には酸素をよく通す次世代素材「シリコーンハイドロゲル」が採用されており、いつもみずみずしいつけ心地が続き、乾きにくくなっているそう。ドライアイの人にもおすすめという。

疲れ目も治る!? フリートライアルで"実力"を試しては

「そこまで品質が良くなったというならぜひ試してみたい」という人は同社のフリートライアルシステムを利用するのがおすすめ。もちろん医師の処方の下で正しい装用方法を守ろう。

「老眼じゃないけど最近目が疲れて……」という人も試してみる価値はありそうだ。実は疲れ目も老眼の前駆症状といえるそう。「水晶体は必ず老化している。老眼の年齢になっていなくても、若いころより"力"を入れないと(近いものにピントを合わせる)調節ができなくなっているはずで、それによって疲れ目となっている場合も多い。目の力を(コンタクトレンズで)ちょっと助けてあげれば、弱い力で見えるようになりストレスフリーにもなりますよ」とのこと。特にPC作業などの近業の人には強力な"助っ人"となってくれそうだ。

ここ2、3年だけでも急速に変化をとげた遠近両用コンタクトレンズ。長年コンタクトレンズ開発に力を入れてきた土屋氏は「もちろん眼鏡には眼鏡のいいところもあります。ただ、最近の遠近両用コンタクトレンズの品質の良さはまだ知らない人が多い。ぜひ『だまされたと思って(笑)』試してほしいですね」と話している。