前回は「Acronis True Image Home 2010」を用いたバックアップ手順を解説したが、今度はそのバックアップデータを復元する具体的な手順を解説しよう。Acronis True Image Home 2010は従来のAcronis True Image Homeシリーズ同様に復元操作もウィザード形式で進むため、特段難しい操作は必要ない。ただ、OSが起動できなくなるなど、不意のトラブルに対処するため、事前にリカバリディスクを作成することを強くお勧めしたい。もっともパッケージ版を購入したユーザーは製品CD-ROMが起動ディスクの役割を担っているが、製品CD-ROMを頻繁に使用するとキズや汚れが気になるので、ダウンロードユーザーや試用版ユーザーだけでなく、パッケージ版を購入した方も作成するのがよいだろう。

ゼロからはじめる「Acronis True Image Home 2010」 - 最新版2010の新機能とインストール
ゼロからはじめる「Acronis True Image Home 2010」- 便利!ワンクリックバックアップ機能

ブータブルレスキューメディアを作成する

Acronis True Image Homeシリーズのブータブルレスキューメディアは通例的にLinuxをカスタマイズしたものを使用するが、別回に紹介する予定の「Acronis True Image 2010 Plus Pack」を追加導入することで、Windows PE(プレインストール環境) 1.xもしくは2.x/3.0へのプラグイン導入を可能にしている。今回は通常版を作成するが、興味のある方はそちらをご覧頂きたい。なお、Acronis True Image Home 2010インストール時に、「ブータブルメディアビルダ」を選択しなかった場合、今から紹介する機能を使用できないので、未選択だった場合は再インストールを行うとよい。

ブータブルレスキューメディアを作成するには「ツールとユーティリティ」にある「ブータブルレスキューメディアの作成」をクリックする。これで「Acronisメディアビルダ」ウィザードが起動するので画面の指示に従って進めるだけだ。なお、プログラムメニューから<ブータブルレスキューメディアビルダ>を直接選択すれば、Acronis True Image Home 2010を起動せず、同ウィザードを呼び出すこともできる(図01~02)。

図01 メイン画面から「ツールとユーティリティ」→「ブータブルレスキューメディアの作成」とクリックする

図02 これでブータブルレスキューメディアを作成するウィザードが起動した。<次へ>ボタンをクリックする

最初はブータブルレスキューメディアに含めるコンポーネントの取捨選択をうながされる。「Acronis True Image Home(完全版)」はUSBやPCカード、SCSIインタフェースアダプタなどを経由して接続されたデバイスをサポートするためのデバイスドライバを含めるというもの。通常は同コンポーネントを選択しておこう。

「Acronisシステムレポート」はWindows 7や「Acronis True Image Home(完全版)」の起動が正しく行わなくなった場合にシステムレポートの作成を行うというもの。トラブルシューティングに役立つ可能性があるので、必要に応じて選択して欲しい。なお、「Media Add-ons Acronis True Image Home 2010」を導入している場合「Acronis True Image Home(セーフ版)」が選択できる。前述したデバイスドライバが含まれていないバージョンだが、同完全版を用いたブータブルレスキューメディアが正しく起動しないときに役立つので、こちらも場面に応じて選択して欲しい(図03)。

図03 最初にコンポーネントの選択をうながされる「Acronis True Image Home(完全版)」を選択し、<次へ>ボタンをクリック

次の画面ではブータブルレスキューメディアの起動パラメータを設定する。前述のとおり、ブータブルレスキューメディアから起動する環境はLinuxのため、Linux Kernelに渡す起動オプションを設定するというものだ。例えばUSBチップセットが原因でトラブルを引き起こす場合は「nousb」を付けるとよい。また、GPUを正しく認識せずディスプレイに何も表示されない、もしくは表示が乱れる場合は「vga=ask」を付ければ使用可能なビデオモードの一覧を列挙させ、手動で選択することが可能だ。詳しくは製品に同梱されるマニュアルに記載があるので参考にして欲しい(図04)。

図04 ブータブルレスキューメディアの起動オプションを記述する。通常はそのまま<次へ>ボタンをクリックすればよい

最後にブータブルレスキューメディアの種類(CD-R/RW、DVD+R/RW、FDなど)を選択する。ここでは手順をわかりやすくするため、ISO形式ファイルの作成で解説しているが、通常はCD/DVDドライブを選択した。これで一連の操作は完了し、設定内容の確認をうながされるので、ウィザードの指示に従って先に進めば、ブータブルレスキューメディアの完成だ(図05~07)

図05 通常はCD/DVDドライブを選択するが、ここではわかりやすくするため、「ISOイメージ」を選択して<次へ>ボタンをクリック

ISO形式ファイルの場合は保存先をうながされるので、任意のフォルダを選択し、ファイル名を付けてから<次へ>ボタンをクリックする

図06 最後に設定内容の確認をうながされたら各項目を確認し、問題がなければ<実行>ボタンをクリックする

図07 後は必要なコンポーネントを自動的に取得し、ブータブルレスキューメディアの作成が行われる。完了を示すメッセージが表示されたら<OK>ボタンをクリック。

これでブータブルレスキューメディアの完成だ