ポメラ(pomera)。ご存じの方も多いのではないだろうか。キングジムから発売されている入力機器である。昨年度のヒット商品ランキングに入るなど人気の商品だ。ノートパソコンやスマートフォンなどの情報機器があふれる中、シンプルに入力端末として独自の展開を図っている。筆者も編集者に強力に推し進められ入手している。

ポメラに言及させてもらうと、その良さは携帯性となんといっても起動の速さと単4アルカリ乾電池2個で20時間という持ち時間の長さだ。会議などで着席後電源を入れると、数秒もしない間に起動する。すぐに文字入力しなければならない状況に、これほど便利な携帯ツールはない。モノクロ画面にもある種の新鮮さを感じてしまう。文字入力にはジャストシステムのATOKが搭載されており、こちらも文章を本気で作成したい方には魅力のツールでもある。

2009年のヒット商品ランキングに名を連ね、現在DM5、DM10、DM20のラインナップをそろえる。筆者が使用しているのはプレミアムに位置する「DM20」。5インチVGAのシリーズ中最大の液晶を搭載し、キーボードは折りたたみ式、キーピッチは17mmとさほど違和感なく入力できる。ネットワーク機能は搭載していない。ノートPCなどと競合するガジェットではない、あくまで入力に特化したツールなのだ。

図1 筆者所有のDM20

図2 カレンダー形式のスケジュール管理も可能だ

本体メモリとMicroSDカードにデータは保持されるので基本的にPCとの接続が無くとも十分活用できる。しかしながらPCを情報の"基地"として携帯端末やクラウド系へとデータを分散処理する気合いの入ったユーザーなどはどうしてもPCにデータを定期的保存しておかなければならない。会議の議事録をポメラで書いて、PCに転送、PCで総合的にこれを管理してiPhoneやノートPCで閲覧するためにDropBoxなどへ保存する。

さらに気合いの入ったユーザーなどはバッチ処理や自動化処理でこれらを行い、人知れず悦に浸るなんて方もいるかもしれない。ポメラではPCとの接続はUSBケーブルを用いて行うわけだが、データの保存は少々のマウス処理が必要となる。このあたりがほんの若干だが、自動化処理を妨げることになる。そこでポンとクリック1回でPCに保存してくれるツールが「PomeraMirror」だ。USB接続されたポメラのデータをPCにバックアップしてくれる。ポメラの軽快なコンセプトをフォローしてくれるオープンソースである。

注意:本稿では、ソフトウェアのインストールを行っていますが、ソフトウェアの利用は使用者の責任で行ってください。

ダウンロード

「PomeraMirror」はSOURCEFORGE.JPのWebサイトでダウンロードする(図3)。PomeraMirror-Fileβ1.zipをクリックしてダウンロード(図4)、任意のフォルダにこれを解凍保存する(図5)。操作は非常に簡単でポメラとPCをUSB接続した後に、PomeraMirror-Files.exeをダブルクリックすればよい、コンソール画面が表示されるので何かキーを押すとバックアップ完了である(図6)。

図3 SOURCEFORGEのWebサイトでプログラムをダウンロードする

図4 PomeraMirror-Fileβ1.zipを保存して

図5 ポメラをPCにUSB接続した状態で.exeファイルをダブルクリックすると

図6 プロンプト画面が立ち上がりPCにポメラの中のテキストデータを吸い出す

マイドキュメント内にpomera/日付/という形でフォルダが作成されており、この中にデータがすべて同期されている(図7)。本体メモリ以外にmicroSDの内容も保存される。日付の後のドライブ名で本体メモリのフォルダとmicroSDのフォルダで区分されて保存される(図8)。「PomeraMirror」は日付ごとのフォルダ作成で上書きをできない(PC上のフォルダを削除する必要がある)ので、一日一回就寝前にでも同期するのがよいだろう。

図7 マイドキュメントのpomeraフォルダの下に

図8 日付ごとにPomera本体メモリとMicroSDの中がフォルダで分けられて保存される

クリックすらも面倒な場合は、Windowsのタスクスケジューラーに同exeファイルを深夜時間にでも設定しておけば(図9)、帰宅後USBケーブルでPCとポメラを接続させておく、朝起きるとバックアップは完了している。クリックだけですべてのポメラデータを保存できるというのは非常に気持ちのいいものである。現状ではDM20での動作確認が前提ということだが、DM5とWindows 7でも動作できた。

図9 Windowsのタスクスケジューラーを使ってスケジュール設定

Webと同期させるとさらなる利便性

さて、さらなる利用方法としては、Webアプリケーションとの同期があるだろう。たとえばDropBoxで「PomeraMirror」が保存するマイドキュメント下pomeraフォルダを同期対象にしておけば、DropBoxで自動的にサーバ上に保存される。ほかのPC端末にもDropBoxをインストールしておけばポメラデータが同期する。クリック一つで日付ごとのフォルダが作成されるわけだから日記や日々の業務をメモする習慣があれば、便利な活用法と言えるだろう。

ポメラ上でのファイル名も少し工夫して行うとさらに有効だ。PC上に保存されれば検索を使って大量のデータにもアクセス可能になる。ポメラ上で同じファイル名で上書きしていくと日付フォルダの下に同一ファイル名が並ぶだけになる。これは!というメモはポメラ上でたとえば"PomeraSpecial"とでも命名し、同期をとったあとはこのPomeraSpecial.txtはポメラから削除する。そうしておいて、PC上でPomeraSpecialで検索すると、重要なメモ案件を見つけやすくなるだろう。