【レポート】
動画共有サイト「ニコニコ動画(9)」と日本音楽著作権協会(JASRAC)がコラボレーションしたことで話題を呼んだ「二次創作オンラインワークショップ」。
その締めくくりとなった『MIDI動画作品コンテスト 発表会』が、3月15日にニコニコ生放送にて開催された。
発表会の審査員として登場したのは、日本シンセサイザープログラマー協会会長である松武秀樹氏や同協会副理事長の氏家克典氏、ネットを積極的に活用するプロミュージシャン・Sweet Vacation、「ヘタリア」や「ひぐらしのなく頃に 解」などに楽曲を提供している作曲家のYUMIKO、そしてニコニコ動画関連のイベントを多数プロデュースしてきたドワンゴ所属の齋藤Pといった豪華な面々であった。
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松武氏(左)と氏家氏は、さすがの貫禄。なんと今回のコンテストのジングルは松武氏が自ら披露! |
Sweet Vacationは東京エスムジカのリーダーDaichiがバンコクで出会ったMayと結成したユニット。まだ日本語に慣れない様子のMayをDaichiがトーク面でもサポート |
コンテストの対象となるのはユーザーが制作・応募した二次創作動画で、期間内に指定のタグを付けて投稿したものに限られる。また、あらかじめ講師側からはMIDIの楽曲データが提供され、素材として使用することも許可されていた。
ハイレベルな作品が多数寄せられ、審査の結果、受賞作品は以下の通りとなった。
セカンドライフを用いて作成された作品全体の世界観が評価されたほか、審査員からは「歌のシュールさにグッときた」というコメントも。映像と歌、トータルで評価された二次創作である。
「ある意味で問題作だけど良かった」と審査員に言わしめた本作は、レッド・ツェッペリンの『移民の歌』と初音ミクをコラボさせた、まさに"発想の勝利"な一作。
「本当に迷ったんですが、この作品はバランスがすごく良かった」と松武氏が評価した本作。投稿者が自分で耳コピしたという音楽やリンの歌声の調律など、総合的な技術の高さが受賞につながった。
歌声合成ツール「UTAU」を使用して制作されたアレンジ作品。その完成度には、審査員も「調教がすごい。音一つひとつの選び方にセンスがある」と絶賛していた。なお投稿者コメントによると、動画内で使用したMIDIのギターパートは「ニコニ・コモンズから借りたもの」であるとのこと。そうしたユーザー同士のコラボが生み出した本作は、ある意味もっとも"ニコニコ動画らしい作品"と言えるかもしれない。
「『アンバランス』を使った作品には良いものが多くて、ジャジーだったり、ゆったりした楽曲はいくつかあった中でこれが一番抜けていたかな。でもなかなか選べなかったです」。Daichiが嬉しい悲鳴を上げるほどクオリティの高かった応募作品の中で、最終的に選ばれたのが本作。投稿者によると「雨の帰り道で回想している風景」をイメージしたとのことで、これにDaichiは「最初に伝えたいものがあると作品の完成度が上がりますね」とコメントしていた。
どっきゅん☆ハート・オーケストラアレンジ
YUMIKOが選んだのは、自らが作曲した「どっきゅん☆ハート」をオーケストラアレンジしたインパクト抜群の作品。原曲とはまったく雰囲気の違う仕上がりに、YUMIKOも驚きの声を上げていた。
「あまりにも良い作品が多かった」という理由で急きょ追加された「Logic Sysytem賞」に選ばれた本作。投稿者コメントによると「家族を養う49歳のサラリーマン」が制作した作品とのこと。松武氏は「作品づくりは高い機材を買えばいいってものではなくて、ずっと努力してやり続けることが大事。49歳ですけど30年でも40年でもやっていただけたら」とエールを送った。
運営サイドの予想を超えて盛り上がった、今回の「二次創作オンラインワークショップ」。最後に、松武氏、Daichi、齋藤Pの3人に、感想及び二次創作カルチャーの今後の展望についてお話を伺った。
松武 細かいところを見ると、まだまだ勉強してほしいと思うことはあります。大事なのは、人をどれだけ感動させられるかということ。そして人のやってないことにトライすること。そういう気持ちを持ってほしい。CDが売れない時代と言われていますが、こういう機会に触発されて良い音楽を作るミュージシャンがたくさん出てくれると嬉しいですね。
Daichi 投稿作品の質は確かに高かったのですが、それはある程度予想どおりでした。一番良かったのは、みんな音楽が好きなんだなって再確認できたこと。応募しなかった人もコメントなどを通じて参加しているのを見ると、特にそう思いますね。今後こういった企画をやるときはユーザーにはさらに熱意を見せてほしいし、これが音楽に触れるきっかけになる人が増えるといいなと思います。
齋藤P ニコニコ動画には、クリエイティブな人たちがコラボしながら作品をつくっていくという土壌ができあがっています。今回、審査員の方々にユーザー作品を聞いてもらえたことで、二次創作の文化がより広まっていくといいなと思います。クリエイターにはもっと外に出て発表してもらいたいし、ニコニコ動画としては今回のような生放送イベントなどでそういう出口の部分を作っていきたいですね。ニコニコ動画はユーザーあってのもの。運営はそれをお手伝いするというスタンスなんです。
新たな才能を発掘し、彼らが世の中に出ていくきっかけを提供したいというニコニコ動画。
その狙いを実現するための鍵は、「生放送」が握っている。
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