Appleは、明らかに意図したうえで「UIを変えずにOSのパフォーマンスを上げる」という策に出ている。それはLeopardの完成度に対する自信の現れといえ、パッケージソフトとしてApple史上最高の販売数を達成したことによる自信の裏返しともいえる。

一方で、"見えない"部分にはしっかりと手が加えられている。64bit対応の進展もその1つだが、メニーコアCPUの利用を前提としたマルチスレッド最適化技術「Grand Central Dispatch」(GCD)の導入など、基礎レイヤーの強化/見直しにより、アプリケーション実行環境としての基礎体力が向上している。その変化の幅は、体感できるほどだ。

Google Mapで毎日コミュニケーションズがある竹橋駅付近を表示したところ。驚異的な速度でズームイン/アウトできる

最適な例が、Googleの提供する「Google マップ」。言わずもがな、Ajaxを利用したWebベースの地図表示サービスだが、モザイク状の画像が現れ徐々に精細化するというプログレッシブ画像的なモタつき感は否めず、ストレスを感じていたユーザは少なくないことだろう。そのモタつきが、Snow Leopardではきれいサッパリ消えている。より率直にいえば"激速"だ。

興味深いのは、その"Googleマップ激速化"がSafari 4に限った話ではないこと。WebKit以外のレンダリングエンジンを搭載するFirefox 3.5とOpera 10でも試したところ、もれなく体感速度が大幅に改善されていることを確認できた。なお、筆者のテスト環境は2代目MacBook Pro(OpenCL非対応機)、32bitモードで起動している。

なお、Firefox 3.5もOpera 10も32bitアプリケーションであり、Snow Leopard専用にビルドされたものではない、Tiger以降のシステムで実行できる"汎用品"だ。64bitネイティブ対応でなくても、OpenCLのような高速化技術を使わなくても十分速い、それがSnow Leopardのセールスポイントの1つといっていいだろう。

アクティビティモニタで実行中のプロセスを確認したところ。標準装備のアプリケーションの多くが64bit化されている

次回は、同一マシンを利用してLeopardとSnow Leopardのベンチマーク比較を行う予定だ。