カノープスは、ビデオ編集ソフト「EDIUS Pro 5」、ノンリニアビデオ編集システム「HD STORM」を発表した。また、アムステルダムで11日から開催されている展示会「IBC 2008」でAVC-Intraのエンコードを実時間の半分程度で行えるコーデックアクセラレーターボード「FIRECODER Intra」を発表したことも明らかにした。

ノンリニア編集ソフト「EDIUS Pro 5」のビデオ編集画面

「EDIUS Pro 5」を紹介するカノープス マーケティングコミュニケーション部 主任 重田博司氏

発表会では最初に、カノープス マーケティングコミュニケーション部 主任 重田博司氏がノンリニアビデオ編集ソフト「EDIUS Pro 5」を紹介。前モデルと比べて、カメラフォーマットやテープレスメディアへの対応強化、快適で軽快なMPEG編集機能、新方式3Dトランジション「GPUFx」の搭載、さまざまなエフェクトプラグインのバンドル、ファイル出力機能を強化、Blu-rayディスク作成対応が行われている。ただし、インタフェース自体は変わらないため、前モデルと変わらない操作感を持つ。

カメラフォーマット、テープレスメディアへの対応強化では、「SONY XDCAM EXカムコーダ」の入出力やSxSカードへの書き戻しに対応、「Panasonic P2 DVCPRO HDカメラレコーダ」のP2のバリアブルフレームレート機能に対応しDVCPROプロジェクト形式が追加された。両カムコーダの対応は、従来は上位モデルのオプションだったもの。これが標準対応となった。

MPEG編集では、アルゴリズムの改良によりMPEGネイティブフォーマットでの快適な編集が可能となった。HDVやXDCAM EXフォーマットファイルをネイティブで高速編集可能で、MPEG出力時に編集していない部分はエンコードし直さない「セグメントエンコード」などに対応することで、さらなる高速化を実現している。

「GPUFx」により複雑なトランジションのプレビューがリアルタイムで行えるようになった

新方式3Dトランジション「GPUFx」では、従来はCPUで処理することでリアルタイム処理が困難だった複雑なトランジションを、グラフィックボードのGPUにYUV4:2:2でデータを渡して処理することで、リアルタイムのマスタープレビューを可能にした。これにより、フルHDのクリップでも、高速・高画質なエフェクト処理が可能となっている。このエフェクトには、さまざまなサードパーティのプラグインをバンドル。「New Blue Art Effects/Film Effects/Motion Effects」では24種類のモーション/フィルム/画像変換フィルタを実現。「ProDAD VitaScene Filter」は300以上のトランジション、190以上のフィルタプリセットを提供。「ProDAD Mercalli」では撮影時の手ブレを解析し補正してくれる。「ProDAD Video Shaker」では、動きの少ない素材に対して揺れの効果を追加することで臨場感が出せる。オーディオ用のプラグインも追加され、「iZotope VST」は、リミッター、ノーマライズ、ノイズ除去などの14種類のハイエンドオーディオプラグインが利用可能となっている。

「EDIUS Pro 5」のワークフロー。さまざまな機器、フォーマットに対応していることが分かる

ファイル出力の強化では、簡単に出力できるプリセットを用意。独自のスケーリング機能でHD→SD、SD→HDの高画質変換、16:9、4:3のアスペクト比変換、レターボックスやサイドパネルの自動生成、フレームレート変換(24pプルダウンを含む)などが可能となっている。作成したビデオ素材はBlu-rayディスクに保存できるため、ハイビジョンの映像をそのまま残せる。AVCHD形式やHDV形式で出力したファイルも使用可能だ。

さらに、クリップの特定の時間位置にマーカーが設置可能。キャプチャー中の素材やソースの編集時にもマーカーを設置できる。また、P2では、撮影時に付けたテキストメモ記録、マーカーコメントの読み込み・編集に対応。XDCAMのエッセンスマークも読み込める。

このほか新機能として、映像クリップのコマ止め効果が設定できる「フリーズフレーム機能」、「ビデオレイアウト機能」を強化することで映像にキーフレームを設定してパン・ズームに対応、タイトル作成ソフト「Quick Titler」を機能拡張し文字単位でタイトルのフォントや文字間隔が変えられるようになった。

動作環境は、CPUがPentium 4、Centrino、Xeon、Core Duo同等以上(SSE2以上必須、マルチコア/マルチCPU対応)で、メモリが1GB(2GB以上推奨)、HDDは映像用にATA100/7,200回転以上のドライブ(HD解像度の編集ではRAID 0を推奨)、グラフィックはDirect 3D 9.0c以降、Pixel Shader Model 3.0以上に対応したGPUを搭載したもの、USBは1.1以上(USBキーで使用)。対応OSは、Windows Vista SP1(32bit/64it、Home Basic/Home Premium/Business/Ultimate)/XP SP2以上(Home Edition/Professional)。価格はパッケージ版が7万9,800円(税別)、アップグレード版(EDIUS Pro Version4が対象)が2万9,800円(税別)、アカデミック版が3万9,800円(税別)となっている。