展示会で紹介される新製品には、すぐに発売されるものもあれば、半年くらい待つものもある(中にはどんどん延期されるものも…)。しかし3月開催のCeBITでは大半が年内の発売を予定している製品で、今年の自作パーツを占う上では重要だ。CeBITが終わればいよいよ春も本番。まずはニーズが高まる冷却関連パーツから見ていきたい。

Thermaltakeの新ハイエンド

ThermaltakeのハイエンドCPUクーラーといえば扇状の「V1」だが、それをさらに巨大にしたものが「V14 Pro」。ヒートパイプが4本から6本に増えたほか、製品名が表しているように、内蔵ファンが14cm径に大型化されている。この製品は夏くらいには登場する予定とのことだ。

扇が大きくなった「V14 Pro」。特徴は「V1」を継承

右がV1、左は発売予定のアルミバージョン「V1 AX」

素材は銅製のままで、パフォーマンスについては期待できるが、14cmファンを縦に置いたということで、搭載するPCケースについては注意が必要かもしれない。ただ高さは161mmとなっており、昨今の大型製品と比較して飛び抜けて巨大というわけでもない。一方V1では、安いアルミバージョンの「V1 AX」も登場予定。

デュアルファンの「DuOrb for CPU」も新登場だ。DuOrbはもともとVGAクーラーだったが、これはそのCPU版といえる製品。青LEDのファンがCPU周りを、赤LEDのファンがメモリも冷却するそうだ。

デュアルファンの「DuOrb for CPU」。LEDの色が左右で違うことに注目

また面白いところでは、パームレストにファンを内蔵したキーボード「Xaser Keyboard」もあった。デザインはフルタワーケース「Xaser」をイメージしたものとなっており、組み合わせるにはベスト。ゲームで汗をかくことが多いユーザーにはいいだろう。

ファン内蔵キーボード「Xaser Keyboard」

XaserシリーズではノートPC用クーラーも

Cooler Masterの4層フィン構造

Cooler MasterのCPUクーラーは「Hyper Z600」と「V8」に注目。Hyper Z600はフィンがX字状になっている製品で、ファンレス・ファン×1・ファン×2の構成に対応する。一方V8はフィンの間に冷却ファンを挟むタイプの製品だが、フィンの外側にさらにフィンがあるという2重構造になっているのが特徴。

「Hyper Z600」のデモ。ファンを最大2つ搭載できる

「V8」はフィンが4層構造になっているのが特徴

どちらも近日中の発売を予定。ちなみに、Hyper Z600はヨーロッパのチーム、V8はアメリカのチームがデザインしたそうだ。

また面白いのはアンチダスト機能付きという冷却ファン。特殊な素材技術の採用により、ブレード面と空気の摩擦で発生する静電気の蓄積を防止、ホコリが吸着するのを抑えるというもので、展示では8cm径(25mm厚)、12cm径(同)、12cm径(38mm厚)の3タイプがラインナップされていた。

開発中のアンチダストファン

スペック。それぞれに静音タイプも

NINJAに「2」と「Giant」が登場?

サイズは、人気CPUクーラー「NINJA」の改良版として、「NINJA 2」を展示していた。大きさはほとんど変わらないが(5mmほど大きくなったそうだ)、性能は向上しているそうで、また定番CPUクーラーとして人気が出そうだ。こちらも前のNINJAと同様に、ファンレス・ファン付きのどちらにも対応する。

CPUクーラー「NINJA 2」。価格も据え置きとなる模様だ

現行の「NINJA」(手前)との比較。フィン形状が変わっている

また同社担当者が「ピカイチの性能」と胸を張るのが、フィンの間に冷却ファンを挟んだチップセットクーラー。まだ試作品ではあるが、製品のイメージにはかなり近いとのこと。搭載したファンは10cm径だが、厚さが12mmと薄いのが特徴で、クーラー自体もかなり薄型に仕上がっている。

チップセットクーラーの試作品。製品名はまだない

このファン「KAZE-JYU Slim」は単体でも発売される

そして同社"恒例"となっている「発売するつもりがないクーラーのデモ」には、今回はNINJAの巨大バージョン「Giant NINJA」が登場。NINJAらしくファンレスの運用となっていたが、触ってみるとフィンの温度はぬるく、冷却性能には余裕がありそうだった。しかしこの巨大バージョン、普通なら「冗談」ですんでしまうのだが、すでに同じような大きさの「OROCHI」が製品化されてしまっているというのが同社の怖いところ。

「Giant NINJA」のデモ。マザーボード上のほとんどを覆ってしまっているが、じつは「OROCHI」とそれほど変わらないという話も

Reseratorの新製品はまだ?

ZALMANで注目はVGAクーラーの新製品「VNF200」。名称から分かるように、ファンレスVGAクーラー「VNF100」の後継モデルとなるものだが、CPUファンやケースファンのエアフローでフィンを冷却するようになっており、ファンレス製品ながら「VF900」と同等の性能が期待できるという。

ファンレスVGAクーラーの新製品「VNF200」

CPUクーラーでは、「CNPS9300 AT」が発売予定。上位モデル「CNPS9500」から小型化しつつ、同等の性能を実現したそうだ。こちらは4月に登場する予定。

CPUクーラー「CNPS9300 AT」。全銅製でメッキがかかっている

「CNPS9500」(左)との比較。ヒートパイプも少なくなっている

そしてZALMANと言えば、水冷キット「Reserator」の新製品がそろそろ気になるところだが、まだ計画レベルとのことで、しばらく登場の予定はなさそう。当面は現行の「XT」が主力製品となりそうだ。

Acceleroシリーズの新製品

次はArctic Cooling。VGAクーラー「Accelero」には、8cmファンを搭載する軽量バージョンの「L1」が登場予定だ。製品はだいぶ小振りな印象だが、100Wまでの冷却性能を持つということで、Radeon HD 3870、GeForce 8800 GTS(G92)といった最新GPUにも対応する。またデュアルファンを搭載する「Twin Turbo」も新登場。冷却性能は130Wで、3連ファンの「Xtreme」の下位モデルとなりそうだ。

シングルファンのVGAクーラー「Accelero L1」

デュアルファンの「Accelero Twin Turbo」

そして意外にも同社初というメモリクーラーが「Arctic RC」。DDR2/3のモジュールに対応するもので、非搭載時に比べて34℃温度が低下した(78℃→44℃)というテスト結果を掲載していた。またArctic RCに搭載できる追加ファンモジュール「RC Turbo Module」も用意されている。

大きなヒートシンクを搭載する「Arctic RC」(右)と「RC Turbo Module」(左)

AeroCoolとTITANの新製品

AeroCoolは、ヒートパイプ直付けタイプのCPUクーラー「M9」と「M12」を展示していた。サイドフロー型としてはスタンダードなタイプで、それぞれ9cmと12cm径のファンを搭載している。

CPUクーラー「M9」(左)と「M12」(右)。奥の「M12 Pro」は色違い

TITANの最新CPUクーラーは「TTC-NK75TZ」。トップフロー型としては一般的なタイプに見えるが、CPUを覆うような大きなフィンの下に小型のフィンがさらに追加されており、エアフローを有効に活用できるようになっている。搭載ファンの大きさは12cmで、ノイズレベルは22.2dBA以下。

12cmファンを搭載する「TTC-NK75TZ」

フィンの下にさらにフィンを搭載