【インタビュー】

マルサン創業85周年記念企画 - マルサンとソフビ、その歩みをたどる

3 マルサンの成型工場を見学

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ここで、マルサンの成型工場におじゃまし、同社のソフビ製品がどのように成型されているのかを清水孝悦さんに教えていただいた。以下は、スラッシュ成型と呼ばれる工程のすべてである。

マルサン成型工場の清水孝悦さん。この道40年のベテランだ

――ソフビ製品の成型過程を順を追って説明していただけますか?

「まず、こちらのタンクに入っているペースト状のドロドロに融けた状態の材料を金型に流し込みます。コックをひねると蛇口から材料が流れ出しますから、それを金型で受ければいいんです」

金型各種。通称"フライパン"

今回使用した金型のアップ

材料を金型に流し込んでいるところ

「これが、金型を材料で満たした状態です」

金型の窪んだ部分が材料で満たされている。一見問題なさそうに見えるが……

――これに熱を加えて硬化させるわけですね。

「いえ、その前に、真空脱泡機と呼ばれる機械に入れます」

――それは、なぜなんでしょう?

「実は、目には見えませんが、この状態では、材料の中に気泡がたくさん含まれているんです。それを取り除かないと、製品に隙間ができてしまいます」

――なるほど。

「こうして、真空脱泡機の扉を開けて、材料を金型ごと中に入れます」

扉を開けて、材料を金型ごと真空脱泡機の中に入れる

次に扉を閉めて、内部の気圧を下げる

庫内の気圧が下がっていくのを示す気圧計

写真では見づらいかもしれないが、材料の表面が泡立っている。その様子は、煮え立つお湯の液面のそれに近い

――脱泡の後は、いよいよ加熱するわけですね。

「そうです。こちらの熱した状態の油に金型ごと漬けます」

脱泡した材料を加熱した油の中に金型ごと漬ける

油に漬けたまま、しばし待つ。油の温度は、180度から190度くらい

時計を見てタイミングを計る

油で熱しているところ

――すると、金型の表面から熱が伝わって、内側の材料が焼き付いて硬化し、金型の形状に沿って膜状になると。

「はい。長時間加熱すると硬化した製品の厚みが厚くなり、時間が短いと肉厚の薄い製品になります」

――その次は、どうするんでしょう?

「硬化して金型の内側にくっついた材料は、最初に金型に注いだうちの一部ですから、まだ溶けたままの余分な材用をタンクに戻します」

焼付けが済んだら、油から引き上げる

「タンクの上にひっくり返して置くと、余分な材料が流れて落ちる

――今、余分な材料が戻りましたね。

「そうしましたら、さらにもう一回加熱して仕上げます」

再び油の中に漬けられる金型。今度は、内部の材料を均一に焼き固めるため、フタをする

――これで、形そのものはできたわけですか?

「できました。ただし、この状態では熱くて触れませんから、水に漬けて冷やします」

水に漬けて冷やしているところ。水は普通の水でよい

冷えたところ。水を切っている

――あとは、部品を金型から抜けばいいわけですね。

「それも頃合いがありまして、経験でタイミングを計って抜きます」

頃合いを見計らい、工具を使って金型から部品を引っ張り出す

引っこ抜かれる部品。なんか野菜の収穫みたい(笑)

これでパーツが1つ完成

お疲れさまでした

――これで、この工場での全工程は、終了ですか?

「はい。スラッシュ成型と呼ばれる工程は、これで終了です。あとは必要に応じて、部品に穴を空けたり、余分な部分を削り取って組み立て、塗装工場で彩色し、梱包すれば商品になります」

でき上がった部品各種

――実際には、今見せていただいた作業を同時進行でおやりになるわけですね。

「1つの製品につき部品がいくつかあり、その分、金型もいくつかありますから、実際にはこれらの工程をそれぞれずらしながら、平行して作業を進めます」

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インデックス

目次
(1) マルサン創業
(2) 怪獣ソフビ誕生
(3) マルサンの成型工場を見学
(4) マルザン倒産
(5) ウルトラエース登場
(6) これからのマルサン

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