伝統と新しい「編みもの」

編みものづくりの後は、展示会場に足を運んだ。会場では、ブリット=マリーさんがデザインした編みパターンやセーター、カーディガンなどを見ることができる。

「編み物はいろいろな方法や展開ができる。その編み物の可能性を伝えたい」というブリット=マリーさんの作品には、遊び心があふれている。ビビットな色づかいでサーカスのようににぎやかだったり、白を重ねることで優しい雰囲気を漂わせていたり……。同じ毛糸を使ってはいても、それぞれ個性的な作品ばかりだ。

彼女にとって愛しいパターンは「スウェーデンの小さな織り工房でかつて織られていたシンプルな縞や格子の木綿布などに見られるような、あまり凝ったデザインがされていないもの」。そんな雰囲気を呼び起こしてくれるものとして格子模様の作品も展示されている。その他、小さなビーズが編みこんであるものやボタンホールのパターンを利用したものなどもあり、デザインのディテールを見ようと思わず作品の近くに寄ってしまう。今回は、実際にスウェーデンの伝統から生まれた新しい「編みもの」を体験、そして作品に触れることで、スウェーデンのデザイン大国としての底力を感じた一日であった。

展示会場に足を運んでいない人のために、少しだけ作品をここで紹介しよう。開催期間は25日までと残り短いが、ぜひ会場に赴き、実際に自分の目で見て質感やそのデザインの美しさを感じてもらいたい。

ボタンホールのパターン。編み地に穴をあけるテクニックを利用した独特なデザイン

ビーズニッティング。ビーズを散らしていれるパターンや、ポイントにだけビーズを使うのもかわいい

編地の上にのったパターン。編み地の上にのるフォルムを編むための目を安全ピンに移す

会場には多くのデザイン、色合い鮮やかな作品たちが展示されている