Xzibit

ステージに近い最前ブロックに、男の子の姿が多くなったと思ったら、登場したのはL.A.のラッパー、Xzibit。曲に合わせて、腕を振り上げるオーディエンスたち。『X』、『SYMPHONY』、『PAPPARAZZI』、『MULTIPLY』などハードながらもスタイリッシュなリズムのラップに、あちらこちらで思い思いに踊る姿が見られる。『WUTS THE DIFF』、『NEXT UP』、そしてドクター・ドレプロデュースのスヌープ・ドックスにゲスト参加した『B-PLEASE』で波は最高潮に。『THANK YOU』、『CONCENTRATE』でステージが終了する頃には、汗で頭から水を被ったようになったファンたちがスッキリとした顔で笑っていた。

激しくお腹の底に響くようなラップで会場を揺さぶったXzibit

abingdon boys school

ステージに登場するアーティストによって、会場内の観客たちが変わっていくのも、こうした音楽イベントの特徴のひとつ。先程までとは一転、ビジュアルチックなファッションの女性客が最前ブロックに詰め掛ける中を現れたのは、abingdon boys school(以下abs)。TMR西川貴教がフロントマンを務めるabsは、昨年12月にデビューしたばかり。

揃いの赤いチェックのスカート付きパンツの"制服"が目に鮮やかだったabingdon boys school

黄色い歓声が飛ぶ中を始まったのは『HOWLING』。続く『NERVOUS BREAK DOWN』で十分に伸びと張りのある声を聞かせたあと、「この地球で僕らの手でもう一回何かを作り出すためにこのライヴに参加して、そしてここにいる人のためにこの曲を歌います」と西川が語り『Nephilim』へ。日本語のミディアムナンバーを哀しく切なく歌い上げる西川。ファンの心を鷲掴みにしたまま『LOST REASON』、『Fre@k $HoW』、そしてデビュー曲の『INNOCENT SORROW』と一気に突き進んだ。

Cocco

会場の外が薄暗くなるころ、張りのある透明な声を響かせたのはCocco。『強く儚い者たち』を歌い終ると、はにかんだ笑顔で「こんにちは、沖縄から来たCoccoです」と挨拶。アコースティックギターを構え「ギターは下手です」と笑いながら曲を弾き始めすぐに中断し、「間違えちゃった(笑)」と照れ笑い。気を取り直し、会場中が笑顔で見守る中、奏で始めたのは沖縄の子供たちと一緒に作ったと言う『Heaven's hell』。さらに軽快な『ハレヒレホ』、ニューアルバムからの『小さな町』。

ここで「沖縄の女なので、沖縄の話をします」とCocco。「沖縄の海はとても綺麗に見えます。そしてジュゴンを見たこともない人が付けた"ジュゴンの見える丘"と言う丘があります。その丘に米軍のヘリポート移設が決まりました」。今、沖縄が直面している危機について訥々と話すCoccoは、「でも先月、その海にジュゴンが帰って来ました」と声を詰まらせ「人様のイベントですが、今日だけはわがままに歌わせて欲しいです。次の歌を、あのジュゴンのためだけに歌いたいです」と『ジュゴンの見える丘』を静かに歌い出した。彼女の想いは、彼女の言葉に涙を流していた人たちの心を強く震わせただろう。

真摯なメッセージを個性たっぷりな口調で語ったCocco

そしていよいよ、あのバンドが登場する。