Intel Developer Forum(IDF) Beijing 2007にて、モバイルコンピューティングの最新動向を紹介する基調講演「Where Does WirelessGo From Here」が催された。David Perlmutter氏の講演に引き続き、本稿ではChandrasekher氏の講演内容をお届けしたい。45nmプロセスで製造されるLPIA(Low Power on Intel Architecture)プロセッサ「Silverthorne」を搭載する、UMPC/MID(Mobile Internet Device)向けプラットフォーム「Menlow」の話題が興味深い。

IntelのSenior Vice Presidentで、Ultra Mobility GroupのGeneral ManagerでもあるAnand Chandrasekher氏

Hotspotに縛られないワイヤレス、ポケットにYouTubeを

Chandrasekher氏は「1973年、5ポンドという重さではあったが、はじめての携帯電話が登場した。有線電話が普通だった世界に、携帯電話が登場したときのことを思い出してほしい」と話す。インターネットでも同じようなイノベーションを起こしたいという。「本当のモバイルインターネット」には、PCと同様のFull WebやMedia機能、ハードウェア性能、ユーザーにとって、そしてデベロッパーにとってのソフトウェア互換性、常に使えて常に繋がることが必要とする。

進化が進化を喚起するというスパイラル。アプリがハードを、ハードがアプリをというPCの世界で起こっていることを、今度はモバイルへ

同社は、デスクトップからハンドヘルドまで、すべてをひとつのエコシステムで実現しようと計画している。Second Life、MySpace、YouTube、今はポケットには入らない。ならば、ポケットにもIA(Intel Architecture)が入ればいいと述べるChandrasekher氏。「IAは、ライブラリの入館証のようなものだ」。それは容易ではないとしながらも、熱を減らし、性能を向上し、サイズを縮小することがイノベーションにつながる。その取り組みの1つがUMPCだとされる。

PCと同じ体験を、ポケットに入る端末で実現したい

IAという入館証あれば、膨大なコンテンツにアクセスできる

そして2007年のUMPC/MIDのプラットフォームとして、McCaslin(コードネーム)こと「Intel Ultra Mobile Platform 2007」がアナウンスされた。このMcCaslin、2006年のUMPCと比較して、互換性を確保したまま、パッケージサイズは1/3、消費電力はAverage、Standbyともに1/2を実現している。コンポーネントはA100およびA110プロセッサ、945GU + ICH7Uチップセットなどを中心に構成。登場は夏以降を見込み、富士通、Asus、HTC、Samsungなどから製品が投入される予定だ。

互換性を保ったまま、多くの向上を実現する「Intel Ultra Mobile Platform 2007」

コンポーネントの構成はPCに非常に近い

OSにはWindows Vistaのほか、Linuxディストリビューションを搭載する製品も

登場は夏から。各社が製品投入を計画している

講演内のビデオ上映では、NTTドコモの執行役員である徳広清志氏がIntelの取り組みへの期待を語った。もしかして、IAアーキテクチャを搭載したドコモ端末の可能性も?

Chandrasekher氏からは、さらに2008年のUltra Mobile Platformの計画が語られている。「2005年の秋のIDFでPaul Otellini(同社CEO)が、2010年までに消費電力を1/10にすると約束したが、これはアップデートされた」。45nm High-kプロセスで製造されるLPIAプロセッサ「Silverthorne」、およびチップセットである「Poulsbo」を搭載した次世代UMPC/MIDプラットフォーム「Menlow」を投入するからだ。

2010年を待たずして、2008年のプラットフォームはポケットに入る

2007年からさらに劇的な向上をアピールする「Menlow」プラットフォーム

Menlowで採用される「Silverthorne」プロセッサ。中国の硬貨とサイズ比較している。ところで、ベースとなるマイクロアーキテクチャが気になるが、例えばSSEのサポートなどはプレスの質問に対しても伏せられていた

こちらはMenlowのメイン基盤のイメージ。チップセットの「Poulsbo」も載っている。メインメモリにはDDR2を利用するとされている

Menlowマシンのモックアップ。ディスプレイをスライドするとキーボードが

真ん中がMcCaslin、右端がMenlowのプロセッサ/チップセットサンプル。先ほどの中国硬貨との比較ではちょっとわかりづらかったと思うので、日本の1円硬貨を並べてみた

Mnelowの投入時期は、元々のスケジュールから半年前倒しされているという2008年の前半。講演のなかでChandrasekher氏は、このMnelowプラットフォームのプロトタイプをポケットから取り出し、「YouTubeがポケットに入った!」と、YouTubeを実際に利用するデモンストレーションを披露してみせた。