50V型の4K液晶テレビを購入した。シャープの4T-C50DN2だ。有機ELテレビにするかどうか、ずいぶん迷ったのだが、結局、進化の著しくまだまだ先がありそうな有機ELではなく完成形に近い液晶を選んだ。価格的にもずいぶんリーズナブルだった。

通販での購入だが、届いた段ボールの梱包を解いて床に直置きで仮設置し、今、それなりのテレビ台を物色しているところだ。

コンテンツ配信がメインのAndroid TV対応テレビ

この製品はAndroid TV対応機だ。テレビ受像機というカテゴリの製品を購入するのは、ほぼ15年ぶりだが、初期設定をしていてちょっと驚いた。

まず最初にGoogleアカウントを入力してAndroid TVを使えるようにする。地デジやBS/CSの電波スキャンはそのあとだ。つまり、主が配信コンテンツで、従がテレビ放送のように感じる。

リモコンには、アマゾンプライムはもちろん、YouTubeやNetflix、U-NEXTといった主なコンテンツプロバイダーの専用ボタンが並び、それぞれのボタンを押すだけで、そのサービスを楽しめる。

各サービスのアカウントやパスワードはGoogleが覚えているので、すでに別のデバイスで利用している場合は、その場で入力する必要もない。

  • Android TV対応テレビ付属のリモコン。コンテンツ配信サービスのボタンが並んでいる

    4T-C50DN2付属のリモコン。コンテンツ配信サービスのボタンが並んでいる

誰のGoogleアカウントを設定する?

この手のハードウェアのセッティングでいつも気になるのが、設定するGoogleアカウントを誰のものにするかだ。

Googleアカウントは個人に紐付けられている。各種の履歴などが記憶され、他のサービスにも影響してくる。だが、大型テレビは自分一人のものではなく、同居人も見る。そのときに、自分のアカウントでのコンテンツ履歴にいろいろな履歴が残るというのはちょっとうっとおしい。

その点、アマゾンプライムやNetflix、U-NEXTなどは、契約アカウントに対して「誰がこれからサービスを利用するか」という選択肢を設定しておき、登録しておいた別のユーザー名でのサービス利用が可能だ。

履歴や自分好みのコンテンツがごちゃまぜにならないようにするためには、これからサービスを利用する人をきちんと選択してから利用をスタートすればいい。

GoogleもYouTubeのようなコンテンツサービスを提供しているのであれば、こうした個人でもなく、公共でもない特定ユーザーをグルーピングするアカウントの考え方を取り入れてくれればいいのにと思う。

テレビの配線はいまだ煩雑

既存のテレビでコンテンツサービスを利用するには、それぞれのサービス用デバイスをテレビに接続すればいい。配線は煩雑になってしまうが、好きなサービスを利用するのはたやすい。

だが、テレビにオールインワンで最初から入っていれば、ChromecastやFire TV Stickといった個別のデバイスを付加することなく、それらのサービスをリモコンひとつで利用できる。

電源ケーブルは直付けだったので、購入したテレビの背面端子に接続したのはLANケーブル1本、アンテナ線2本だけだ。Wi-Fiを使うならLANケーブルも接続する必要はない。

テレビ放送の視聴にはどうしてもアンテナ線の接続が必要だ。しかもこのテレビは地デジとBSの分波器を内蔵していないので、マンションなどの共聴システムで、壁のアンテナコンセントに混合された状態で電波が届いている場合、分配して地デジ(UHF)とBS、個別にアンテナ線を2系統入力する必要がある。

手元に分波器があったので問題なく接続できたが、同梱はされていなかった。もちろんケーブルも自前で調達したものだ。そのあたりの煩雑さはなんとかするべきだと感じた。

テレビの「新しい当たり前」がやってくる

こうした点を見ても、もはや放送の時代ではないのだなということを強く感じる。もしWi-Fiでコンテンツサービスだけを利用するなら、電源ケーブルの接続だけでいい。しかも電源ケーブルは直付けだ。直付けケーブルをコンセントに差し込むだけ。迷いようがない。

本体に接続するケーブルが少ないということは設置の自由度が向上するということだ。

たとえば電源コンセントは部屋の複数箇所にあることが多いが、壁のアンテナ端子は一箇所にしかないことが多い。ということは、そこのアンテナ端子からテレビまで延々とケーブルを引き回さなければならない。それを回避するために、テレビを設置したい場所が限定されてしまうということにもなりかねない。

近い将来、テレビ放送は、あらゆるものがリアルタイムのインターネット配信で見られるようになるだろう。現時点でも多くのコンテンツをインターネット経由で視聴できる。

もっともすべてのテレビがそれをやったら、全国津々浦々で使われるインターネットの帯域はパンクしてしまいかねないが、おそらくインターネットサービスプロバイダーは、そういう時代の到来に向けて準備を進めているはずだ。

コンテンツ配信の帯域という点では、今のところ放送の方が上だ。少なくとも、各種配信コンテンツの映像品位は放送コンテンツに遠く及ばない。でも、その画質が逆転するのも時間の問題だ。

テレビにはアンテナ線が必要。その当たり前が、新しい当たり前に置き換わるのはもうすぐだ。