コロナ戦禍とともに健康モニターのためのスマートバンドやスマートウォッチに注目が集まりつつある。各社から発売される新製品の数々も、トレーニングやアクティビティについての豊富なトラッキング機能を誇るのはもちろん、心拍数測定や睡眠サイクル、そして、血中酸素レベルの測定機能など、健康のためのモニタリングをアピールするものが増えてきた。

今、こうしたウェアラブルデバイスは、ウォッチとバンドに大別できるが、やはり、常時腕につけているという点ではバンドの軽快さは貴重だ。

  • シャオミの「Miスマートバンド6」。前世代からディスプレイサイズが拡大し、日本語フォントによる表示も美しくなった

    シャオミの「Miスマートバンド6」。前世代からディスプレイサイズが拡大し、日本語フォントによる表示も美しくなった

気に入っている「Miスマートバンド4」の欠点

個人的にはずっとシャオミのMiスマートバンド4を愛用してきた。同社が日本市場に本格参入した2019年末の発売なので、すでに2年近くが経過しているが、スペック上では20日間のバッテリ駆動時間が、日常的な使い方をするとバッテリが一カ月ギリギリもつ。だから毎月末にバッテリをフルにすれば、翌月までバッテリの心配をする必要がなかった。これは本当にラクだった。

もちろん欠点がなかったわけではない。スマートバンド4は、

  1. とにかく文字が小さくて読みにくく、しかも日本語フォントが汚い
  2. バッテリ充電のために本体をリストバンドストラップから取り外す必要がある

という2点の致命的な欠点があった。次世代機のバンド5では、欠点の「2.」については解消されて、ストラップにつけたままでの充電ができるようになったが、欠点の「1.」についてはバンド4のままだったので、個人的にリプレースはパスした。バッテリ駆動時間のスペックが20日から14日間となってしまったのにも失望した。

そして、今回、バンド6が発売され、ついに欠点「1.」が解消された。同社のスマートバンドは世界でもっとも売れているウェアラブルバンドということだが、毎年、こうした進化があるのはうれしい。

画面は大きくなるも、駆動時間は短くなった

まずAMOLEDディスプレイは1.1型から1.56型へと大きくなり、従来より約50%も表示面積が増えた。見かけは変わらないのに面積が増えたのは不思議な感じがするが、前世代製品までは陸上トラック形状のディスプレイ上部の矩形だけが表示領域で、下部にはホームボタン的な用途に使うタッチボタンが装備されていたにすぎなかったからだ。

だが、新しいバンド6では全面が表示領域になり、326ppiで各種情報を表示する。ディスプレイ解像度は126×294から152×486ピクセルとなり、より精細な文字を高い視認性で表示できるようになった。日本語フォントも美しく改善された。価格については1,000円程度の値上げとなって5,990円がアナウンスされている。気になる人が多いであろう血中酸素レベルの測定機能追加などもあり、内容としては1,000円分の価値は十分にあると評価できる。

気になるバッテリだが、こちらは残念ながらさらに短くなってしまった。運用次第で一カ月を実完走できたバンド4に対して、カタログスペックで「14日間以上」となっている。実際に使ってみると10日間は無理という印象だ。ただし炎天下での視認性などを考えて輝度は最大、夜のスリープもしないが、各種計測についてはオフにして、スマホからの通知を受信するような設定での実使用時間だ。

こんな使い方で1週間程度使うとバッテリの残り容量は20%を切ってしまう。毎週末にはとりあえず充電するようにしなければ精神衛生上不安だ。ただ、実用性を考えると本当なら常時点灯機能も欲しいところで、それで駆動時間が10日が1週間になっても許せると思う。エンドユーザーはわがままだ。

「必要な使い方」をするために大事なバッテリ

数日でバッテリが空になるスマートウォッチ、スマートバンドが少なくない中で、以前の一カ月には遠く及ばないものの、10日程度というのはまあ許容範囲内ではある。バンド4がすごすぎたのだ。バッテリ容量を減らせばこの手のデバイスはいくらでも軽く小さくなるが、実用的な駆動時間を確保できないのでは意味がない。

また、屋外でよく見えないような明るさでも実用性は落ちる。こうした点を犠牲にすることなく、一週間以上のバッテリ運用時間を確保しているのはうれしい。これなら毎週末に充電すればそれですむし、10日を超える出張はまずないが、仮にあったとしても充電器を携行する必要はない。

スマホは毎日充電が基本で、誰もがそれを受け入れている。だが、ウェアラブルデバイスのように常時身につけるものについては毎日というのはめんどうだ。キリのいいところで週に一度、月に一度というのは忘れにくい。

バッテリ運用時間を長くするために輝度を落としたり、自分が必要な機能をオフにしたりといったことをするのでは、ウェアラブルデバイスとしての実用性を大きく抑制してしまう。本心では、かつてのソーラー腕時計のように、光で充電したり、あるいは、加速度センサーの動きで蓄電するような仕組みで充電フリーのデバイスにならないのだろうかといった妄想もしてしまう。

電子機器にバッテリは欠かせない。機能とバッテリ駆動時間を天秤にかけると同時に、消耗品としてのバッテリとデバイスの寿命とのかけひきもSDGs的に重要なテーマだ。こうした問題を各社がどのように解決していくのか。そういう意味ではウェアラブルデバイスのストーリーはまだ始まったばかりだといえる。