
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は2005年マセラティ4200GTほかを所有するピーター・ベイカーが、車検やイベント参加の様子を報告する。
【画像】ピーターの愛車、マセラティ4200GT、アルファロメオ・ブレラ、ダイムラー(写真3点)
毎回MoT(車検)の時期になると、とてもドキドキする。通るのか、通らないのか。歯医者に行くのと少し似ている。必ず何かが見つかってしまうのだ。しかも、絶対に安くは済まない…
なので、私のマセラティ4200GTカンビオコルサの 「エンリコ」が、特に何の指摘もなく初めてMoTをパスしたときの、私の安堵を想像してみてほしい。これはもう、勝利と呼びたい。地元のブロムスグローブにあるフェラーリとマセラティのスペシャリスト、ミリオーレ・カーズ社のオーナーであるヴィックが、この車をを自らチェックしてくれた(クラッチの磨耗も30%で良好だった)。さらに嬉しいことに「今まで運転した中で最高クラスの1台だ」と言ってくれた。
そんなわけで私は今、天にも昇る気分だ。この夏は、何の不安もなくイタリア車らしいドライビングを、思いきり楽しめそうだ。
一方で5月の初めには、プレスコットで開催された今シーズン最初のヒルクライムのイベントに、私は公道仕様のアルファロメオ・ブレラ2.2JTSプロドライブ、通称「エール」でエントリーした。参加費の170ポンドを支払い、準備は思ったより簡単で安上がりだった。実際のところ、1時間もかからなかったくらいだった。必要だったのは、シンプルなタイミングストラット(計測用バー)を作って取付け、前後に牽引フックをねじ込み、心配性のマーシャル達にバッテリーの位置とイグニッションを切る方法を知らせるラベルを2、3枚貼るだけだった。とても簡単な準備だったので、お金をかけずに軽くモータースポーツを楽しみたい人にはヒルクライムをお勧めする。車にも財布にも優しい。
そして当日がやってきた。実際には2日間だったのでお得感もあった。いよいよ私の出番だ。目標は、ハンディキャップタイムの60.5秒(油断のならないタイムキーパーによって、それはあっさりと59.75秒に修正されてしまったのだが)を切ることだった。予想に反し、最後の走行でまさかの自己ベストの59.27秒をマークし、見事クラス優勝を果たした。
その3週間後。1954年デイムラーの「ドリス」について。ウィットサン・モータースポーツ社のダニエル・ハンターが時間を割いて対応してくれたおかげで、ドリスは「プレスコ・ヒストリック」イベント前日に、ようやく納車された。
このイベントも2日間にわたって開催されたのだが、私が最初の練習走行をしていたとき、週末の間あれほど続いていた晴天が突如終わりを告げた。雨は一日中降り続いたので、ドリスの本領を発揮するチャンスはついに来なかった(まぁ75馬力で2トンの車なので、本領もなにもないのだが)。ちなみに最後の走行では、あまりにも遅かったせいか、公式の計測装置が止まってしまったほどだった。
日曜日の朝になって、ようやく青空が広がった。コンディションが良ければ、自分のハンディキャップタイムも狙えると思っていた。ドリスはほぼ完璧なコンディションの中で走ることができたのだが、目標タイムには0.18秒及ばず。惜しかった、というレベルではないだろう。でも、ドリスは冬用タイヤを履いていたにもかかわらず、よく頑張ってくれたと思う。
報われない賭けだった、と言う人もいるけれど。
文:Peter Baker