第16話「さらば源内、見立は蓬莱」では、1779(安永8)年から1780年(安永9)年の様子が描かれた。
物語序盤より蔦重の強力な支援者として活躍してきた平賀源内だが、今回をもって退場となる。本草学者、地質学者、蘭学者、医者、殖産事業家、戯作者、浄瑠璃作者、俳人、蘭画家、発明家といった多くの肩書をもつ多才な源内だが、その生涯は波乱に満ちたものだった。
注目度トップ3以外の見どころとしては、死の手袋をめぐって意次と源内が対立した冒頭のシーンが挙げられる。暗殺事件に深入りすると、自分だけでなく十代将軍・徳川家治(眞島秀和)の身にも危険が及ぶと判断した意次は事件から手を引くことを決断した。しかし、あくまで真相究明にこだわる源内と意見が真っ向から対立。現在の境遇に不満をもつ源内のうっぷんが爆発し激しい口論になった。
SNSでは、「追いつめられていた源内さんには意次からの金が手切れ金に見えたんだろうな」「あれだけ仲の良かった意次さまと源内さんがすれ違うのは見ていてつらかった」「開幕からこんな重い展開になるなんて」と、2人の対立を悲しむ視聴者の投稿が寄せられた。
そして、蔦重とりつ(安達祐実)が訪れた芝居小屋の座元を演じた弁護士・本村健太郎も注目を集めた。大河ドラマは1998年『徳川慶喜』以来2度目の出演になる。人気バラエティ番組『行列のできる法律相談所』(日本テレビ)に出演して知名度を得た本村だが、東京大学在学中の1985年にはテレビドラマ『イッキ!イッキ!東大へ』(テレビ朝日)で俳優デビューを果たしている。テレビドラマに出演すると同時に、企業法務を数多くこなし、俳優業と弁護士業を見事に両立している。その多才ぶりは源内に通じるものがある。
さらに、源内の死の黒幕と思われる一橋治済(生田斗真)も出番が少ないにもかかわらずその存在感を大いに発揮している。田安治察(入江甚儀)や徳川家基(奥智哉)、松平武元(石坂浩二)暗殺事件について裏で糸を引いていると考えられている治済だが、源内の遺稿を焚火にくべるのを眺めながら笑顔でさつまいもをほお張るという、サイコパス感満載のシーンが描かれた。
SNSでは、「『鎌倉殿の13人』を彷彿とさせる展開が続くけど、今後も治済が暗躍するのかな」「やはり黒幕は治済なのか?意次も転がされているのか」「今まで目が笑っていない鶴屋が怖いと思っていたけど、治済はその比じゃないな」と、ネクロマンサー治済のサイコパスぶりが話題となっている。
5月4日に放送される第17話「乱れ咲き往来の桜」では、蔦重のもとへ懐かしい人物が訪ねてくる。そして蔦重は新たな版物として往来物という子ども用の教科書に目を付ける。一方、幕府では徳川家基の急死に伴い後継者問題が表面化する。