米Intelは12月11日(現地時間)、半導体のデバイス技術とプロセス技術に関する国際会議「IEDM(IEEE International Electron Devices Meeting) 2021」に参加し、その中で技術講演を実施した。半導体における集積密度が時間に従って増えていくとする「ムーアの法則」を維持・前進させる最新技術を発表、今後リリースする製品で引き続きトランジスタ数の増大を目指していくという。
Intelでは「ムーアの法則」を維持・前進させていくための基盤として、トランジスタ数増大の根幹を支える「スケーリング技術」、電力効率とメモリ容量を拡大する「新しいシリコン機能」、革新的な設計を可能にする「物理学でのコンセプトの探求」の3つを提示。これまで実現され、ムーアの法則の壁を打ち破ってきた「歪みシリコン」「Hi-K メタルゲート」「FinFET トランジスタ」「RibbonFET」「EMIB」「Foveros Direct」などの画期的な技術も、これら3つからなるコンポーネントリサーチの研究活動から始まっていると述べた。
3つの要素の中でも特に、トランジスタ数増大のために「根幹を支えるスケーリング技術の重要な研究」を進めていると言及。パッケージ全体で10倍以上のインターコネクト密度を目指すとしたほか、複数のトランジスタを積層するアプローチによって、ロジックスケーリングを最大30%~50%向上。原子わずか数個分ほどの厚みしかない新素材の使用方法についても研究し、従来のシリコンチャンネル数の限界を超えたトランジスタ製造にも取り組んでいるという。
また、シリコンの新機能として世界で初めてシリコンベースのCMOS上に窒素ガリウム(GaN)ベースの電源スイッチを内蔵し、電力効率を高める新技術を実現した。新しい強誘電体素材を用い、次世代の組み込みDRAM技術の先駆けについても研究。物理学におけるコンセプト追求においては、シリコン製トランジスタをベースにした量子コンピューティングに加え、室温で動作する世界初の磁電スピン軌道(MESO)ロジックデバイスを実証し、ナノスケールの磁気スイッチングによる新しい種類のトランジスタの可能性を検討しているという。
Intelのコーポレーションシニアフェロー兼コンポーネントリサーチグループ ゼネラルマネージャーのRobert Chau氏は、IEDM 2021の発表に寄せて、「インテルは、ムーアの法則を前進させるために必要な研究とイノベーションを決して止めません。IEDM 2021において、インテルのコンポーネント・リサーチ・グループは、この業界と社会が求める強力なコンピューティングへの飽くなきニーズに応えるために、必要な革新的なプロセス技術とパッケージング技術での研究で重要、かつ飛躍的な進展をお伝えしました。これは、ムーアの法則を前進させるためにイノベーションの最前線に立ち続けているインテル最高峰の科学者とエンジニアによる絶え間ない努力の成果です」と述べた。