米アップルは9月2日、iPhoneやiPadなどのアップル製デバイスで電子書籍や音楽、動画などの購入を管理する「リーダー」アプリのガイドラインを変更し、ユーザーアカウントを管理するデベロッパーのWebサイトへのリンクを1つ含めることを許可すると発表しました。有料コンテンツの購読や購入が、アップルの決済システムを経由するアプリ内課金だけでなく、デベロッパーが独自に用意したWebサイト経由で可能になります。アップルの手数料を回避できるため、ユーザーにとってはコンテンツ価格の引き下げが期待できます。なお、今回の変更はリーダーアプリに限られ、ゲームなど一般のアプリは対象外となります。

ガイドラインの変更は2022年初めの予定で、日本だけでなく全世界で適用されます。

今回のガイドライン変更は、日本の公正取引委員会による調査を受けてのもの。デジタル版の雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、ビデオの購入済みコンテンツやサブスクリプションコンテンツを管理するリーダーアプリを利用しているデベロッパーが、自社のWebサイトへのリンクをアプリ内に1つ設置できるようにすることで、公正取引委員会と合意しました。

これまでは、各種コンテンツの購読や購入はアップルのアプリ内課金の決済システムを用いることが義務づけられていましたが、今回のガイドライン変更でデベロッパーが用意する決済システムを通じて購読や購入ができるようになります。

アップルのアプリ内課金は、Face IDやTouch IDによる認証を用い、クレジットカード情報が外部に漏れないことから、もっとも安全で信頼できる方法となります。それに対し、アプリのデベロッパーが用意する決済システムは、デベロッパーにより安全性や信頼性が異なるとみられるので、その点は承知したうえで利用する必要がありそうです。アップルは、ユーザーを外部のWebサイトにリンクする場合のユーザーの保護をサポートしていくとしています。