先ごろAdDuplexが公開した「AdDuplex Report for July 2021」によると、すでにWindows 11のシェアは約1%を獲得している。本稿執筆時点でMicrosoftが公開している数字だと、月間稼働するWindows 10デバイスは13億台(Microsoft by the Numbers)。AdDuplexの調査台数が約6万台のPCというのは少ないが、早々にWindows 11が含まれているのは驚きだ。
さて、今回の本題はWindows 11ではなくWindows 365。Microsoftは米国時間2021年7月14日、Windows 365が使用する仮想マシンのSKUを含めた詳細情報を公開した。公式ブログによると、5つのSKU(以下)が選択可能になる。スペックの並びは「CPU・メモリ・ストレージ(複数)」だ。仮想マシンのスペックは必要に応じてアップグレードできる。
- フロントワーカー向け:1vCPU・2GB・64GB
- 自宅業務向け:2vCPU・4GB・64/128/256GB
- 自宅業務でも負荷の重い作業向け:2vCPU・8GB・128/256GB
- よりハイエンド向け:4vCPU・16GB・128/256/512GB
- 開発者向け:8vCPU・32GB・128/256/512GB
Windows 365の利用条件として、仮想マシンのOSにWindows Proエディションを使用するには、「Windows 10 Enterprise E3+EMS E3」もしくは「Microsoft 365 F3/E3/E5/Business Premium」のライセンス、Windows Proエディション以外は「Windows VDA E3+EMS E3」もしくは「Microsoft 365 F3/E3/F5/Business Premium」のライセンスが必要になる。
加えて、仮想マシンのネットワークゲートウェイを使用するため、Azure仮想ネットワークを契約するMicrosoft Azureサブスクリプションも必要だ。ネットワーク周りの詳細な設定方法は先の公式ブログで解説されているので、IT管理者であればご一読されることをおすすめしたい。
当初、Microsoftは「Windows 365は使用するデバイスを選ばない」と紹介していたが、2021年8月2日以降のサービス開始時点で、デバイスのリダイレクト機能をフル活用できるのはWindows環境のみ。たとえば多用するであろうクリップボードだが、WebやAndroidデバイスは文字列の制限が設けられている。リモートデスクトップクライアントを使用しない場合、WindowsのWebブラウザー経由でアクセスするとUSBも使用不可だ。Windows 365の開発が進むことで制限は少なくなっていくと思われるが、しばらくの間はVDI(仮想デスクトップ基盤)感覚で使うことになりそうだ。
Windows 365は個人消費者向けではなく、企業のクラウドシフトを支援するソリューションである。だが、必要なときにWindows 365の仮想マシンにアクセスし、作業を終えたらネットワークを切断。データやアプリ、設定はクラウドに格納されるため、我々が長年悩まされてきた「PC管理」から解放される期待がある。さまざまな使用条件はともかく、仮に個人ユーザーが利用するとしてもメリットは大きそうだ。それだけに価格設定が気になるところだが、おそらく2021年8月2日の時点で発表されるだろう。