アイリスオーヤマは7月15日、炊飯器の新モデルとなる「瞬熱真空釜 IHジャー炊飯器5.5合(RC-IF50-B)」(以下、瞬熱真空釜)を発表しました。発売日は8月6日で参考価格は60,980円です。
大きな特徴は、世界で初めて炊飯器に搭載したという「ヒートパイプ」技術(同社調べ)。これによって炊飯時にあえてお米を「おどらせない」炊飯プログラムが可能になったとし、いままでにない粒立ちのご飯が炊けるといいます。新製品発表会で実機を触ってきたので、発表会の内容とともにレポートします。
炊飯器では世界初となるヒートパイプ技術を搭載
瞬熱真空釜の特徴は、その名前の通り内釜に真空釜を採用していること。釜内部には4mm厚ほどの真空な空間があり、この空間内に作動液を封入。釜底を加熱すると作動液がすぐに沸騰し、加熱された蒸気が釜上部の空間を即座に温めます。
これにより、釜全体をすばやく均一に加熱するのが従来製品との違いです。この「真空内に封入した液体が蒸発してすばやく熱移動する」仕組みをヒートパイプといいます。
高級炊飯器の多くは加熱方式にIHを採用していますが、IHはコイルが接している金属を発熱させる方式。このため、炊飯器底面にIHコイルを配置すると、底面だけが熱くなりやすいという問題がありました。
メーカーによっては側面にもIHを配置したり、炊飯器のふた部分にもヒーターを内蔵したりと、熱ムラが出にくいように工夫していますが、どうしても多少の熱ムラは起こります。今回の瞬熱真空釜はヒートパイプを利用することで、内釜の熱ムラを解消。会場のサーモグラフィー映像を見ると、釜が驚くほど均一に加熱されているのがわかります。
かまど炊きのお米は「おどらない」!?
ヒートパイプ技術を使うことで、瞬熱真空釜が実現したのは「おどらせない炊飯」です。現在、家電メーカーの多くが高級炊飯器に「高温で激しく沸騰させてお米をおどらせる」機能を搭載。お米が釜内で大きく動くことで、一粒一粒の温度ムラをなくしたり、表面をうまみ成分で覆ったりする効果があるとされます。
しかし今回、アイリスオーヤマが本物のかまどで実験してみたところ、実はかまど炊飯では、釜内のお米はほとんど動いていないという結果が。むしろお米が激しく動くと、お米表面が傷つくデメリットがあるといいます。
アイリスオーヤマによると、かまど炊きが美味しい理由は、炎がかまどを包み込むことで釜全体が瞬時に、そして均一に加熱されるからだと。そこで瞬熱真空釜では、前述したヒートパイプ技術を採用し、釜全体が短時間で均一に加熱できるようにしています。
炊き上がりは、かまど炊きのように粒立ちがよく、ツヤのあるご飯になるそうです。また、一般的な炊飯器は釜底面近くのご飯は潰れやすく、ベチャつきやすいものですが、瞬熱真空釜で炊いたご飯は底面近くでもしっかりとした粒立ちを保持できるとしています。
今回の発表会では残念ながら、コロナ禍の影響で試食はありませんでした。登壇したお米のスペシャリスト、お米マイスターの西島豊造氏によると、「米に精通した自分でも、いままで経験したことのない食感」のご飯に炊き上がると。味については、比較的主張しすぎない優しい味で、米本来の味を堪能しやすいとコメント。味や香りを主張させすぎないので、とくに朝ご飯にオススメとしていました。
瞬熱真空釜は、アイリスオーヤマの人気シリーズ「銘柄量り炊き」最上位モデル
今回の瞬熱真空釜は、アイリスオーヤマの炊飯器シリーズ「銘柄量り炊き」のフラッグシップモデルでもあります。銘柄量り炊きシリーズは「こしひかり」や「つや姫」といった銘柄ごとに、最適な加熱ブログラムで炊き分けが可能です。
瞬熱真空釜でも、「こしひかり」や「つや姫」など有名6銘柄のブランドをボタンで切り替えられますが、本体で表示する銘柄以外にも「きらら397」や「ハナエチゼン」は「こしひかり」に対応。「あさひの夢」「ふっくりんご」は「ゆめぴりか」に対応するなど、表示できる銘柄以外のお米にも対応しています。
銘柄量り炊きのもうひとつの特徴が、本体内に重量計を内蔵していること。お米を投入すると、その重量から銘柄に最適な水の量を計算してくれます。また、内蔵の重量計を利用して、お椀によそった分のカロリーまで計算できるます。こうした機能から、銘柄量り炊きはカロリーを気にする層にも人気がある炊飯器です。
瞬熱真空釜のポイントでもある「ヒートパイプ」は、アイリスオーヤマが製造しているLED照明に採用している技術でもあります。瞬熱真空釜はある意味、アイリスオーヤマだからこそ開発できた炊飯器といえるかもしれません。今回の発表会では瞬熱真空釜で炊いたご飯を試食できませんでしたが、お米のプロが「いままで経験したことのない食感」というだけに、近々ぜひその味を確かめてみたいと思っています。