MM総研が行った市場調査によると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の国内パソコン出荷台数は1,728.3万台(前年度比12.9%増)で、1995年の調査開始以来最高だった2013年度の1,651.3万台を上回り、過去最高を更新した。政府が推し進めるGIGAスクール構想が大きく影響した。

2020年度の国内パソコン出荷台数が統計開始以来の過去最高を更新した。全体で1,728.3万台だったうち、メーカー別の出荷台数シェアはトップのNECレノボが632.8万台、シェア36.6%(前年度比9.5ポイント増)。同社はGIGAスクール向け出荷に力を入れたことなどから、GoogleのOSを搭載した普及型パソコン「Chromebook」の出荷台数が大きく伸びた。

  • 2020年度の国内PC出荷台数が過去最高、「XP」更新特需を超える - MM総研

    国内パソコン出荷台数シェア(2019年度/2020年度) 出展: MM総研

2020年度のパソコン市場全体のうちGIGAスクール向け出荷は約481万台(市場構成比27.8%)。Chromebook全体では約430万台が出荷され市場構成比24.8%と、2020年度に出荷されたパソコンの4台に1台がChromebookだった。

なお、総出荷金額は1兆4,009億円(前年度比1.2%減)と減少。低価格ノートパソコンの出荷が増加したことで、出荷平均単価が8万1,057円となり、2019年度の9万2,663円から1万1,607円低下した。

個人・法人向け市場の動向

個人市場は、482.1万台(前年度比11.3%増)と2019年度に続き2年連続の増加。コロナ禍の在宅勤務・在宅学習のニーズでパソコンの買い替えや買い増し需要が増加した。個人市場のメーカーシェアではAppleと日本HPがともに1ポイント以上数字を伸ばした。

法人市場は1,246.2万台(前年度比13.6%増)と成長したものの、GIGAスクール需要分を除く法人市場は約750万台となり、Windows 7の入れ替えで好調だった2019年度を32%下回った。シェアはNECレノボが40.2%と14.0ポイント増となったほか、Acer、ASUSもGIGAスクール需要でシェアを伸ばした。

2021年度は過去最大の台数減少を予測

同調査では、2021年度のパソコン出荷台数が前年度比30.7%減の1,198万台を見込んでいる。予測通りであれば、1995年の統計開始以来、過去最大の減少率という。

2021年度は、個人市場がほぼ横ばいになりそうな一方、GIGAスクールを含む法人需要が大幅に減少しそうだ。テレワークを維持拡大する法人が首都圏の大企業などに限定される傾向が見られるほか、世界的な半導体の供給量不足の影響で、2021年度上半期を中心にパソコン部品の供給不足による出荷台数抑制が発生すると見られている。