日立製作所は5月26日、政府による緊急事態宣言の全面解除後の新常態(ニューノーマル)を見据え、幅広い職務で在宅勤務を標準とした働き方を推進すると発表した。同社は、在宅勤務を変革のドライバーとして働き方の多様化をさらに推し進めると同時に、従業員が最大限能力を発揮し生産性を向上していくため、ジョブディスクリプションやパフォーマンス・マネジメントなどの仕組みにより、個々の仕事・役割と期待成果を明確にするというジョブ型人財マネジメントへの転換をより加速していくとしている。

  • 新たな働き方のロードマップ(工程表)

同社は2016年から働き方改革を推進し、多様な人財が成果を挙げられるという在宅勤務を含む、多様な働き方を推進してきたという。 新型コロナウイルス感染拡大防止を受けた政府による緊急事態宣言発出後は、社会機能を維持するために出社せざるを得ない業務以外は原則在宅勤務を推進しているといい、全社の平均在宅勤務率は約7割だという。

さらに同社は、第2、第3のウイルス感染拡大や自然災害が発生した場合も通常通りの企業活動が維持・継続できるよう、新常態(ニューノーマル)での事業推進体制を早期に構築するという。

従業員及び家族の健康と生活を守ることを最優先とし、緊急事態宣言の全面解除後も幅広い職務(ジョブ)で在宅勤務利用を標準とし、これまで以上の生産性向上を実現する施策を検討・実行していくとしている。

具体的には、従業員の心身をケアする多様な仕掛け作りや、出社時と変わらないIT環境を整備すると同時に、従業員が自宅での就業環境を整備するための支援や、押印や会議などの出社を前提としたルールの見直しなどを行っているという。

また、人々の幸福感を指標化するという同社独自の「ハピネス度」を使用して「バーチャルな密」を創出することで、従業員間のコミュニケーションを活性化させる取り組みも推進しながら、並行してオフィス環境の変革も推進するという。

主な施策のうち、当面の感染リスクを踏まえた従業員への支援では、在宅勤務感染対策補助手当の支給、カフェテリアプラン制度における在宅勤務のための備品購入費用の補助、「新型コロナウイルス対応業務手当」の新設、外国人従業員向けの支援として日本国内で勤務する外国人従業員向け「外国語医療アシスタンスサービス」の導入の4点を柱とする。

中長期的に在宅勤務など継続するための主な施策としては、ジョブ型人財マネジメントへの転換加速・ジョブディスクリプション(JD)の導入、IT環境の整備、在宅勤務長期化に対応した従業員の健康支援、コミュニケーション活性化ツールの提供の4点を挙げる。

なお同社は1999年5月に在宅勤務制度を導入したといい、東京オリンピック・パラリンピックなどを見据えて進めていたテレワークのためのIT環境整備を前倒しで推進しているとのことだ。