4つのプラットフォームのプレビューを順に振り返ると、最初に登場した「watchOS 3」は、刷新と呼べるようなアップデートになる。アプリ起動のスピードを改善し、またナビゲーションにも変更を加えている。

新カテゴリのデバイスだったApple Watchの登場から1年以上の間に、ユーザーからのフィードバックが蓄積されたはずである。ゼロからのスタートだったのだから、Appleの予想通りだったこともあれば、思惑から外れた点も多々あったと思う。そうしたユーザーの不満を解消し、直すべきところには大胆に手を加えたアップデートになっているように見える。

watchOS 3で大きく改善するのがアプリへのアクセスだ。Dockという、最近使用したアプリやよく使用するアプリが並ぶランチャー機能が用意され、サイドボタンからアクセスできる。素早く情報を確認できるウォッチフェイスのコンプリケーションと使い分けることで、効率的にアプリを使いこなせるようになりそうだ。

サイドボタンで呼び出し、左右にスクロールして操作する「Dock」

下からのスワイプで呼び出せる「Control Center」

watchOS 3では、よく使うアプリをメモリーに格納し、バックグラウンド・アップデートのサポートなどで、アプリの高速起動を実現している。デモではコンプリケーションからOnefootballアプリを起動して見せたが、watchOS 2では8秒程度かかっていた起動と最新情報の表示が1/7程度の時間に短縮され、文字通り一瞬で立ち上がった。

ナビゲーションでは他にも、画面を押し込まずにスワイプでウォッチフェイスを切り替えられるようになる。バンド同様に、利用シーンに応じてウォッチフェイスを変えられるのがApple Watchのメリットであり、簡単に切り替えらるようになることで、よりウォッチフェイスを楽しめるようになりそうだ。ミニーマウス、アクティビティ、シンプルなNumeralsなど、新しいウォッチフェイスがいくつか追加される。

新しいウォッチフェイスのミニーマウス、バンドの色にミニーの服の色を合わせられる

メッセージの返信を、「Scribble」を使って手書きによるテキスト入力で作成できる。返信メッセージ候補や音声入力も便利だが、それらでは入力できない言葉やフレーズでも、Scribbleがあれば、iPhoneを取り出す必要がなくなる。既存のApple Watchユーザーが、すぐに取り入れて欲しいと思うような新機能・強化機能が盛りだくさんだ。

手書きでテキストを入力できる「Scribble」

SOS機能も利用できるようになる。緊急時に、サイドボタンを長押しするとiPhoneまたはWi-Fiに接続していれば発信される。海外旅行時にその国の緊急通報番号が分からなくても、Apple Watchが場所に応じて自動的に緊急通報してくれる

Apple Watchの特徴的な機能の1つであるアクティビティは、シェアリング機能によって仲間とモチベーションを高め合える