アップルとIBMのいいとこ取り

エンタープライズ市場の雄・IBMと、コンシューマ業界の覇者・アップルというのは、一見、あまり接点がなさそうな組み合わせだ(実は過去にMacのCPU「PowerPC」や共通プラットフォーム「PReP/CHRP」、幻となったオブジェクト指向OS「Taligent」などで協力していたのだが)。

しかしMobileFirst for iOSでは両者が緊密に協力し、iOSを知りつくし、使いやすいインターフェースの開発に定評があるアップルと、企業システムの構築やビッグデータのハンドリングに強いIBMの長所が合わさることで、非常に強力な製品となっている。アップルにせよIBMにせよ、エンタープライズ市場のモバイル活用に向けて相当本気であることがうかがえるカップリングだ。

これまでモバイル端末を利用した企業向けシステムを開発するベンダーは多数あったが、バックエンドとフロントエンドのアプリケーションをそれぞれ個別に開発するところがほとんどで、すべてを統合して開発できるところは少なかった。

その点、IBMは企業内システムを構築してきた実績と経験があり、またiOSのように11から12カ月おきにシステムがアップデートするような更新頻度の早い環境にも対応して維持管理できるといった強みがある。

中小規模のデベロッパーにとってはかなり強力な競合が登場してしまった感もあるが、IBMのような大規模なデベロッパーも本格的に参入してきたというのは、市場が十分大きくなった証拠だともいえるだろう。