作業員の効率を上げる「Expert Tech」

もう1つ例を見てみよう。「Expert Tech」は通信業の修理・保守サービスなどの作業員向けに作られたアプリだ。ログインすると、まず出発前に今日の仕事が割り当てられる。続いて、移動に使う営業車を選択するのだが、このとき車内に搭載済みの機材も考慮した上で、どのクルマなら何をどれだけ積んでいけばいいかがわかる。積み込む荷物が少なくて済むクルマを選べば、時間のロスが防げるというわけだ。

地図上に訪問先が表示され、左側のサイドバーに作業指示書が一覧表示される。次の訪問先へのルート案内などもアプリ上で行える

実際に現場に到着してからは、顧客がどういった理由でサービスを要求しているか、故障の原因には何が考えられるかといった情報から、各機器のマニュアル(ビデオマニュアル含む)、専門家へのヘルプ(チャットやFaceTimeも可能)などが用意されている。作業終了後に顧客へのアンケートも実施できる。

作業にかかった時間も計測されるので、「どの作業にどれだけ時間がかかったか」「どんな故障が多いか」「作業の問題点は何か」といった情報が、報告書を作るまでもなく自動的に蓄積されていく。これは作業者個人の評価に利用するだけでなく、製品の開発者が問題点を洗い出すのにも利用できる。

営業車の選択もアプリ上から行えるのはユニーク。必要な機材の確認も同時に行える点は効率的だ

これらの例のように、MobileFirstでは業種別に特化したかたちでアプリが用意されている。バックエンドのシステムがIBM製である必要はなく、また企業ごとにカスタマイズも可能ということで、既存のシステムを入れ替えることなく導入できる点も長所と言えるだろう。

今回展示されていたアプリは全11種類。現在、銀行・金融マーケット業向け、保険業向け、行政向け、小売業向けなど7種類のアプリが日本語化を完了している