説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「高速道路の地下トンネルでも快適にiPhoneは使える?」という質問に答えます。

***

すべての路線ではありませんが、首都高速道路などで新設の地下トンネルには、通行中でも携帯電話による通話/データ通信を可能にするための通信設備が用意されています。2015年3月7日に開通予定の山手トンネルは、大井ジャンクションと大橋ジャンクションをつなぐ9.4キロの全区間で、主要3キャリアの電波を受信することが可能です。つまり、iPhoneで通話しながら、WEBブラウジングなどデータ通信を使いつつ、長い地下トンネルを通過できます。

電波が届きにくい場所での通信を可能にする技術としては、「漏えい同軸ケーブル(LCX)」がよく利用されます。小型基地局を設置することもひとつの方法ですが、トンネルのように距離が長く基地局の設置がむずかしい場所には漏えい同軸ケーブルが適しています。山手トンネルにかぎらず、東京メトロなどの地下鉄トンネル区間内でも漏えい同軸ケーブルが活用されていますし、携帯電話が普及する以前からラジオの放送波を流す目的で利用されています。

漏えい同軸ケーブルはその名のとおり、伝送しつつ信号を周囲に"漏らす"ことが特徴です。「スロット」と呼ばれる孔がところどころにあり、そこから携帯電話の電波が漏れ出すことで、音声通話やデータ通信が可能になります。漏えい同軸ケーブルが設置されたトンネルであれば、ケーブルから離れすぎないかぎり、iPhoneを含む携帯電話が利用できるというわけです。

快適に使えるかどうかという点については、山手トンネル内を歩いて見学できるイベントに参加し、au/KDDI回線のみで試したかぎりでは、じゅうぶん快適でした。トンネル入口から1kmほどのイベント実施区間だけでいえば、ほぼ「●5つ」の状態でした。FacebookやTwitterへの投稿も試しましたが、至ってスムーズ。実際にはクルマで走行中に(助手席か後席で)利用することになりますが、問題はなさそうです。なお、3回ほどフィールドテストを実行したところ、いずれも掴んだ電波はLTE/800MHz帯、帯域幅は10MHzでした。

3月1日に実施されたイベント「山手トンネルウォーク」では、一部キャリアの電波状況を調べることができました

フィールドテストを行ったところ、3回とも掴んだ周波数帯はLTE/800MHz帯・帯域幅は10MHzでした