誰にでも手が届く3Dプリンタを

XYZプリンティングジャパンの吉井宏之ゼネラルマネージャー

光造形式の「ノーベル 1.0」は、ガルバノメータ(検流計)で操作したレーザー光を樹脂に照射し、吊り下げ方式で造形する。レーザー光は本体下部から照射され、2枚のミラーで反射してタンクスロットに届く仕組み。素材となる専用レジンは、当初はクリアのみの用意するが、順次レッドやブルーなど、カラーバリエーションを増やしていく。

同社の吉井宏之ゼネラルマネージャーも、「ノーベル 1.0」の大きな特徴は価格面と強調する。同社が属する新金宝グループ全体で培った部品調達やコスト削減のノウハウを集結させ、「ダヴィンチ」シリーズと同じく誰にでも手が届く3Dプリンタを目指したとする。

製品自体はミドル・ハイレンジとし、「プロシューマーの中の下位モデル、コンシューマ向けの『ダヴィンチ』シリーズの上位モデル」と位置づける。0.025mmの積層ピッチの実現でフィギュアやジオラマなど趣味の分野から、建築事務所やデザイン事務所でのモデル製作まで、「『ダヴィンチ』に満足できなかった人や、プロシューマーも満足する」高精細な出力が可能とした。

この他の特徴として、造形レビューや積層ピッチ設定などが行える同梱の専用ソフトウェア「XYZwareNobel」、レジン残量を一定に保つレジン自動充填機能、PCレスでデータを出力するUSBホスト機能などを紹介した。

販売チャネルは、家電量販店、ECサイト、販売代理店。家電量販店はビックカメラ、ヤマダ電機、ノジマ、コジマ、ベスト電器、ケーズデンキ、ソフマップ、Joshin、アプライドなど。ECサイトではamazon.co.jp、楽天、Yahoo!JAPANなど。販売代理店ではソフトバンク コマース&サービス、加賀ハイテックで販売する。

同社は当面、FDM方式の3Dプリンタ、光造形式の3Dプリンタ、フードプリンタの3本を軸に3Dプリンタ事業を展開する。1年間の販売目標数は、「ノーベル 1.0」単体で7,000台から8,000台を目指す。

「ノーベル 1.0」。本体内部にレジンタンクスロット(樹脂槽)を備え、上部のプリントプラットフォームをタンクスロットに浸け、下から照射したレーザーで樹脂を固めて造形していく。メニュー表示は日本語(カタカナ)。写真は黒いトップカバーを外した状態

「ノーベル 1.0」で制作した造形物。FFF(熱溶解樹脂積層法:Fused Filament Fabrication)式3Dプリンタより精細な造形が可能といい、実際に細かい服のシワや線なども。なお、タンクスロットから引き上げた制作物は、アルコール75%を含んだ液体で清掃する必要があり、商品には清掃用のリンスタンクも同梱される