背面(iSight)カメラも、大きなサプライズはないが着実に機能が向上している。画素数は800万で変わりないものの、画素ピッチ1.5μメートルの新センサーを採用、A8チップの高速性を生かしたオートフォーカス機能「Focus Pixels」を追加した。ビデオ機能は4K対応しなかったものの、60fps対応とスローモーション撮影の強化(240fps対応)がうれしい。ただし、待望の光学式手ぶれ補正機能はiPhone 6 Plusのみの対応だ。センサーが変更されたこともあり、色味など写真の仕上がりは実物を見ないことには語れないが、期待していいのではないか。

iPhone 6 Plusのカメラには光学手ぶれ補正機構が搭載されている

従来にない要素といえば、NFCの搭載が挙げられる。Apple独自の決済技術「Apple Pay」は、指紋認証技術「Touch ID」で本人の認証を行い、NFCのセキュアな通信経路を使い決済処理を行う。決済を行う店舗には専用端末の設置が必要になるが、カード番号が店側に知られることがない。しかも決済のつど発行される使い捨ての支払い番号が利用され、Appleのサーバに履歴は保存されないという。10月から米国でサービス開始とのことだが、ユーザ数の多さを考えると日本での導入もそう先の話ではなさそうだ。

新iPhone全体の印象だが、やはり"もう一声"という感を拭えない。5.5インチ液晶搭載のiPhone 6 Plusはいうに及ばず、iPhone 6もiPhone 5sに比べひと回り大きくなり、しかも重量が17g増えている。もちろん性能向上は歓迎されるだろうが、日本ではこのサイズ感を敬遠する消費者が少なくないことだろう(ワールドワイドでは話は別かもしれないが)。ただし、今回は予約時点からApple Store OnlineでSIMフリー版が扱われる。販売面におけるキャリアの力の入れ加減も含め、秋より冬、春以降の販売動向が気になるところだ。