米・ラスベガスで1月7日より開催されている「2014 International CES」のオープニングを飾る基調講演で、ソニーの平井一夫社長が登壇。ソニーの製品作りの「核」となる哲学について語った。

ソニーの平井一夫社長

平井社長のスピーチのキーワードは、「WOW」と「Kando(感動)」だ。製品やサービスに対して、ユーザーが感動し、「WOW」と言うような価値を提供し、好奇心を刺激するような商品を提供すること。そうしたソニーの哲学を、平井社長は強調していく。

子供時代から、いろいろな物事に強い好奇心を抱いていたという平井社長は、現在でも好奇心を抱き続けているという。この「好奇心」を大切にして商品の開発を行っていることを大事にしてきたのがソニーという会社で、驚きを生み出すような商品を提供し、「WOW」と言ってもらえることを目指している。

こうした好奇心によって生み出された商品例として上げられたのが、1979年登場の「ウォークマン」で、音楽を聴く体験を一新させた発明だが、これを「WOW」な製品として紹介する。1982年にはコンパクトディスク(CD)が登場。音質の向上によって、平井社長は初めてCDで聴いたビリー・ジョエルのアルバム「ニューヨーク52番街」に「WOW」を感じたそうだ。1994年のプレイステーションでは、「WOW」の可能性を感じた平井社長は音楽部門を離れてゲーム部門に移るほどだったという。

こうした製品によって、「新しい商品カテゴリを想像したり、再定義したりした」と平井社長。これらの製品は、好奇心によって作り上げられ、人々の感性に訴えてきたと話す。成功した製品の陰には、セールス的には失敗に終わった製品もある。しかし、平井社長は、「ソニーにとって失敗は終わりではなく、取り組み続ける理由になる」と強調する。

そうして紹介された「失敗した製品」として、eVillaやRolly、VAIO type U、mylo、chumby、dashといった製品の写真が登場したあと、ビデオのベータマックスだ。VHSとの規格競争に敗北して消えていったが、市場投入が早く、技術的にも優位性があったものの、セールス的に失敗となった。

「失敗」した製品

その代表的な例として紹介されたベータマックス

「ただ、放送局向けのフォーマットとしてデファクトスタンダードとなったベータカムに生かされ、完全な失敗というわけではなかった」とも平井社長は語りつつ、単なる失敗だけでなく、アイデアを生かしてさらなる新しい体験を提供する製品に取り組んでいくことを強調する。

ベータマックスの1975年のキャッチコピーは「今でも共感する」という

放送局向けのベータカム