――今回のアルバムの曲順はどうやって決めたのですか?

Rita「全体のデモを並べてみて、一番バランスのいい感じに並べました」

折倉氏「正直、曲順の話をしだしてから、ほんの数分で決まった感じです」

Rita「『二つめの空』はゲームだとオープニングだったのですが、今回はあえて後ろのほうにもってきていることで変化がついてよかったのかなって思います。そのあたりは、ゲームをご存じない方にも楽しんでいただきたい、先入観なしに楽しんでいただきたい、そんな想いもありました」

――エンディングがオープニングの前に来ていますよね

Rita「これを機会に、ぜひゲームも楽しんでもらいたいのですが、なかなか難しい状況のようで……。逆に曲が生き残ってくれて良かったなと思います。ゲーム、特にPCゲームにはロットアップという宿命がついて回るので、それと一緒に曲が失われてしまわなかったことに私自身感謝していますし、自分自身が楽曲を歌わせていただくときもそこが一番気をつけているところでもあります。今回、ひとつのコンセプトをもとに、すべての楽曲を折倉さんにおまかせできたので、非常に筋の通ったアルバムになったと思っています」

――ゲームの音楽はなかなかCDにならないことが多いですからね

Rita「そうですね。昨今音楽の注目度が上がり、皆さんが音楽を大事にしてくださり、メーカーさんもとても大事にしてくださっているのが本当によくわかるので、ありがたいなと思いながら歌わせていただいています。今回のアルバムの場合、5年前の楽曲というのがポイントで、ちょうどその頃が過渡期なんですよ。そこからだんだんと皆さんが音楽に注目し始めていった感じですね」

――そういう意味では、同じ2007年発売で、Ritaさんも歌っていらっしゃる『リトルバスターズ』が、この2012年にアニメになったというのも面白い流れですよね

Rita「そうですね。たぶん、ちょうどいい頃合っていうのがあるんだと思います。私の中では『夢を見る夢』と『二つめの空』という楽曲が熟成した時期なんだなって」

――5年も前なのか、まだ5年なのかというのが難しいところでもあります

Rita「意外とあっという間だった気もしますが、あらためて5年と聞くと、やはり長い時間が経っているんだなって思います。折倉さんとお会いしたのも、その5年前は本当に初めてで、右も左もわからないままにご一緒させていただき、それからいろいろな作品で関わらせていただいたり、一緒にバンドで歌わせていただいたり、そういった交流の場を重ねさせていただいた中で、今回のアルバムがひとつの形としてまとまったのだと思います」

――Ritaさんのアルバムというと「m」で始まるイメージが強いのですが、今回「星ノ雨」というタイトルはどうやって決めたのですか?

Rita「折倉さんと一緒に考えました」

折倉氏「実際に『Aster』をプレイした方なら、"星"とか"星空"といったイメージがすぐに思い浮かぶと思いますし、『夢を見る夢』の歌詞にも、『二つめの空』の歌詞にも、よく出てくるキーワードなんですよ。星というと夜なので、暗いイメージにはなるかもしれませんが、暗い中でも、すごくたくさん星、それこそ雨のように降り注ぐ星に囲まれたら、ちょっと救われた気分にもなるかもしれない。そういった情景を思い浮かべていただければなという思いがあります」

――「Closed Garden」という副題がついてきますが、こちらは?

Rita「これは私がつけました。『Closed Garden』という言葉をどうしても入れたかったんですよ。少し閉じた世界、このアルバムの中に『スタードーム』という曲が入っていますが、ドームのような小さな空間、プラネタリウムのような少し閉ざされた空間の中でいろいろな想いが錯綜する……作品に対して、そんなイメージがあったんですよ」

――"閉ざされた"といっても決してネガティブな意味ではないんですね?

Rita「みんな、ひとつの世界の中に生きていて、その中で個人個人の世界がある。そういったニュアンスをちょっと出してみたかったのですが、やはり『スタードーム』という曲からインスパイアされているところがあります」

折倉氏「閉ざされた世界といっても、中にいたらすごく狭い世界かもしれませんが、それを外からみたらすごくきれいな世界じゃないですか。そういった俯瞰的な視点も含まれています」

Rita「一曲目のインストにも"箱庭"というタイトルがついているのですが、実は私、箱庭がすごく好きなんですよ。箱庭自体はすごく小さい世界ですが、折倉さんもおっしゃったとおり、俯瞰で世界を眺めることができる。そういう意味では、閉じているけど、広い世界なんですよね。個人的にもプラネタリウムが好きで、よく自分でも行くのですが、閉ざされた世界というのは、それだけで不思議な雰囲気を持っている気がします。あと、『星ノ雨』って、カタカナになっているのは、エグゼクティブプロデューサーが決めたんですけど、結果的には、カタカナになったおかげで、作品自体が締まった感じがします」

(次ページへ続く)