米Appleは、現行のiPadやiPhone 4で採用されている「microSIM」よりもさらに小型のSIM規格を標準化すべく、業界関係者へと持ちかけているという。英Reutersが5月17日(欧州時間)に伝えている。その狙いはSIMの実装面積をさらに小さくするためで、結果としてより薄型で小型のデバイスが製造可能になるという。

SIM(Subscriber Identification Mobule)カードとは、携帯電話などのデバイスに挿入してキャリアの加入者情報を提供するモジュールだ。GSM圏の携帯電話では、このSIMカードを差し替えることで端末の乗り換えが可能になる。現状、多くの携帯電話で利用されているSIMやUSIMといったカードは、クレジットカード大のフル規格のSIMカードを小型化したもので「miniSIM」と呼ばれる。この2つのSIM規格のサイズは、ICカードについて定義した「ISO/IEC 7810」で定められているが、これとは別に「microSIM」と呼ばれるより小型のSIMカード規格がETSI(European Telecommunications Standards Institute)によって提案された。microSIM自体は、2010年に登場したiPadならびにiPhone 4によってメジャーな規格としてようやく認知され、このサイズのSIMを一般提供するキャリアが出始めている。その登場経緯はやはり、より小型デバイスへの実装を実現するためだ。

AppleがmicroSIMより小型のSIM規格を検討していることは、フランスのキャリア大手Orangeの幹部によるReutersへの報告の中で伝えられた。Reutersによれば、この話はETSIも認めており、Appleからの提案は1年以上前からあったものの、いまだ標準化プロセスには到達していない段階だという。これが標準化の道を歩むかは業界各社の反応しだいだが、場合によってはより早いタイミングで決着がつく可能性もあるという。Orangeではこの動きを歓迎しており、Appleが先週になりETSIに新しい仕様の提案を行ったことを紹介している。

microSIM自体、現時点でメジャーな存在になったとは言い難いが、デバイスシェアの一端を担うAppleが積極的な動きを見せることで、今後の素早い展開が期待できるかもしれない。ユーザーとしての希望は、これがやがてよりスリムでファッショナブルな端末として目の前に現れることだ。