Stratix Vが狙う市場は超高速通信分野

Stratix Vファミリがターゲットとする市場はHu氏によると、「第1にコミュニケーション・インフラだ。この市場は2月の時にも話したように、より早い通信速度が要求されるようになってきている。こうした分野にStratix Vが使われることで我々はより強みを発揮できるようになる。第2には航空/防衛分野だ。ソフト無線などでの応用が期待できる。そして第3にフルHDなどハイエンドなビデオブロードバンド領域だ」とその適用市場を見ている。

こうした領域に向けたハードIPもI/OプロトコルとしてPCI Express Gen3や100Gイーサネット、CPRI/OBSAI、Interrlaken、SRIO 2.0などが用意されており、従来1年~1年半かかっていたターゲットアプリケーション向け開発期間を3~6カ月に短縮することが可能だという。

Embedded HardCopy Blocksによりカスタマイズ可能なハードIPブロックを活用することで、ハード化されたI/Oなどによりパフォーマンスと集積度の向上が可能となる

また、マルチ100Gイーサネット・ラインカードや複数のASICがそれぞれ別のプロトコルを、またそれぞれのVXCOが別々のクロックをサポートしたマルチデバイスOTNマックスポンダを1チップで置き換えできるようになるほか、レーダーシステムにおけるDSPデバイスの1チップ化も可能となるとしている。

Stratix Vによるアプリケーション活用例

Stratix以外のFPGAへの対応と日本のカスタマへの期待

なお、同社にはStratixのほか、ミドルレンジ向けFPGA「Arria」やローエンドFPGA「Cyclone」などもあるが、Stratixを28nmプロセス化したことについて「すでに提供を開始しているCyclone IVで十分カスタマの低コストへのニーズに対応できていると思っている。ただ、28nmプロセス製品のラインナップとしてStratix以外も検討はしている」(Hu氏)としている。

また、そうした次世代のArriaやCycloneに搭載されるトランシーバについては、「少なくともArriaについてはPCI Express Gen2に対応させ、ミッドレンジ分野にも適用を進めたいと考えている」(同)としている。

最後に、日本のカスタマ向けにHu氏にコメントを求めたところ、「日本にはメジャーな通信メーカーが多数ある。また、ビデオブロードキャストでも世界の先端を担っている国だ。そういった意味では、Stratix Vを活用したソリューションのファーストベンダとなる可能性が高い地域だと思っている。個人的には、日本のほか、米国と中国がその候補となると見ているので、ぜひ日本のカスタマにはStratix Vを活用して世界での存在感を増してもらえれば」と、日本のカスタマを重視していく姿勢を見せてくれた。

ハイエンドシステムにおける市場要求。Stratix Vではこうした要求に柔軟に対応することが可能となると同社ではしている