宇宙大会選抜競技と表彰式 - 「OmniZero.9」が完全優勝を果たす

決勝トーナメントの合間には「宇宙大会選抜競技」も行われた。通称"投げロボ"と呼ばれるこの競技は、参加者が所定の位置から手で投げたロボットが両足で着地できれば成功、というもの。3回投げて1回成功ごとに10万円、3回とも成功すれば将来予定されている宇宙大会(当初は2010年の予定だったが延期)の出場権も得られる。

"OmniZero.9"で格闘競技の優勝を果たした前田氏は、こちらにも「OmniBall」で参戦。今回は全4機がチャレンジしたが、その中で唯一着地に成功した。しかも、3連続成功こそ逃したものの、1回目と3回目の2回成功という初の結果を出した。

さて、一通りの試合が終わった後は、参加ロボットたちがリングに並べられ表彰式が行われた。前田氏は今回、予選1位の賞金50万円と優勝賞金50万円の両方、さらに宇宙大会選抜競技では唯一の成功2回で20万円、総額120万円を獲得。富山名産のかまぼこで作られた特製トロフィーとメダルも贈られた。

続いて、準優勝"Aerobattler MON☆(なぐ)"には賞金10万円、3位"ザウラー(KENTA)"には賞金5万円、それぞれに鯛かまぼことメダルが贈られた他、サンライズ提供のアイディア賞(奨励金10万円)、JR PROPO提供の大技賞(ロボットキット「RB3000」)は「で・か~る(道楽、)」がW受賞。惜しくも決勝トーナメント3位入賞を逃した「ハンマーヘッド(大阪産業大学歩行ロボットプロジェクト)」には、神谷みのる氏提供のプラレスラー賞(サイン入りTシャツ)が贈られるなど各賞が表彰され、最後は記念写真の撮影で「第16回ROBO-ONE in 富山」は幕を閉じた。

中央に優勝の"OmniZero.9"、その右側に準優勝の"Aerobattler MON☆"、左側に3位の"ザウラー" (左側後方の青い大型ロボットは「ビグ・グランデ(ロボットフォース)」)

表彰式の様子

ROBO-ONEチャンピオンベルトを奪還した優勝の前田氏

決勝トーナメント上位3チームには、富山名産の巨大かまぼこがトロフィーとして贈られた

最後は、審査員・スタッフも一緒に記念写真を撮影

第4回の参戦以来、毎回"Omni"シリーズの新型でROBO-ONEに挑んできた前田氏は、予選デモンストレーションでは何度も1位になりながら決勝トーナメントではなかなか優勝できず、長らく"無冠の帝王"と呼ばれてきた。第14回には超大型機「OmniZero.7」の投入でついに念願の初優勝を果たすも、この時は予選2位。第15回の軽量級選抜大会にも「OmniZero.8」で出場したが、こちらでは残念ながら2回戦敗退でベルト防衛とはいかなかった。そこへ来てついに今回は文句ナシの完全優勝、まさに面目躍如の結果となった。

ロボカップ5連覇を果たした"TeamOsaka"の盟友でもある高橋智隆氏(右端)と前田氏

高橋氏の希望もあり、イベント終了後に"OmniZero.9"の予選デモを再演

"乗れるロボット"で新時代の扉を開いた前田氏 - 次の目標は?

大会終了後、バックヤードで記者の取材を受けていた前田氏は、「完全優勝を果たし、もう目標がなくなってきたのでは?」という質問に「もうやることがないとか、これで終わったとかいう感覚はないですね」と答え、次回も優勝を目指したい、と意欲を見せた。

自分にしかできない、自分のロボットにしかできないことを追求して今回の変形・搭乗可能な"OmniZero.9"になった、と言う前田氏は、さらに「予選で1位を取れたのがすごく嬉しい。今回の"今までやったことないこと"というテーマは自分の得意分野だなと思ったので(笑)、皆が驚いてくれ、"こうなるとは思わなかった!"と言われたのが嬉しかったですね」と笑顔で語った。前田氏にとっては、優勝という結果以上に、見る者に驚きを与えられたことが何よりの喜びだったようだ。

バックヤードにて、頭部と胸部の外装カバーを外される"OmniZero.9"

肩のカバーも外された状態

ホィールと腕の構造

背面から

次回「第17回 ROBO-ONE」は軽量級選抜大会として、2010年3月下旬に川崎での開催が予定されており、出場権のかかった大会が順次開催されているが、間に合えばこちらにも参戦したいという前田氏。

今回のような無差別級大会も再び来年秋に開催されるはずだが、そちらにはまた許される限り大型機で参戦していきたいとのこと。ROBO-ONE委員会の西村委員長からは機体の重量制限を10kg程度まで軽量化することも示唆されたが、「これ(OmniZero.9)をシェイプアップするのは無理なので、制限に合わせてまた新しい機体を作るでしょう」と語った。

"可変"ブーム世代の筆者としては、ここまできたら次はぜひ乗ったまま変形可能なロボット(もしくは前田氏が装着してパワードスーツ化!?)を期待したいところだが、10kg制限となるとさすがにそれは厳しいだろうか?。とは言え、そこは前田氏のこと、きっとまた予想を超えた驚きを与えてくれる、新"OmniZero"を見せてくれるはずだ。

常に"新しいこと"を追い求める前田氏の姿勢に刺激を受け、他のロボットビルダー達も、ますます個性的で完成度の高いロボットで挑んでくるだろう。これからのROBO-ONEの展開にますます期待が高まるところだ。

巨大かまぼこトロフィーをサカナに(?)談笑する前田氏と高橋氏

最後にお知らせ。本大会ではないがROBO-ONEエンターテイメント事務局主催の「ROBO-ONE GP 2009 FINAL」「第6回 ROBO-ONE GATE」「第2回 S.H.R.B -サンライズヒーローロボットバトル-」が、11月末に東京ビッグサイトで行われる「2009 国際ロボット展」の会期中11月28日(土)に開催される。国際ロボット展来場の際にはぜひこちらにも注目したい。