実際に、ワイヤレス通信の速度を調べてみた。11n対応の小型ノートPC「VAIO type P」を無線LANの受信機として、通信速度と電波の到達状況をチェック。「WZR-HP-G300NH」と他社製ルーターを下り理論値で最大100Mbpsのひかりファイバー回線に接続し、両者の通信速度を比較した。

テストには「GyaOスピードテスト」を採用。3回づつ計測し、平均値を割り出している。もちろん、速度は環境にもよるので、あくまでも参考値と考えていただきたい。

パソコンを同じ室内に置いて接続テストしたところ、他社製ルーターの平均速度は32.9Mbps。対する「WZR-HP-G300NH」は34.8Mbpsとなり、大きな差はなかった。

ところが、部屋の外に出てドア1枚を隔てた地点で計測すると、他社製ルーターの平均速度は15.1Mbps、「WZR-HP-G300NH」は21.4Mbpsで、およそ6Mbpsの開きが生じた。ルーターのすぐ近くでは通信速度がほとんど変わらないが、障害や距離があると、「WZR-HP-G300NH」のほうが優れたパフォーマンスを発揮するのだ。さらに10mほど離れて接続してみると、「WZR-HP-G300NH」の通信速度は3.4Mbps、他社製ルーターは接続できなくなった。

ルータのある室内 WZR-HP-G300NH 他社製ルータ
1回目 35.7 34.1
2回目 35.6 31.2
3回目 33.2 33.3
平均速度 34.8 32.9
ドア1枚を隔てた室外 WZR-HP-G300NH 他社製ルータ
1回目 21.3 19.6
2回目 21.2 11.3
3回目 21.8 14.4
平均速度 21.4 15.1
ルータから10m地点 WZR-HP-G300NH 他社製ルータ
1回目 6.5 計測不能
2回目 2.5 計測不能
3回目 1.3 計測不能
平均速度 3.4 計測不能

なお、無線LANによる通信は、別の無線LANとの混線や障害物など、周囲の状況により速度や到達距離が変化する。4部屋ある1戸建てで下り最大30MbpsのCATV回線に接続し「WZR-HP-G300NH」をテストしたところ、どの部屋でも同様のスピードで通信できた。

11n対応の無線LAN子機「WLI-UC-G300HP」。USB接続なので、ほとんどのパソコンに装着できる

通信速度をさらに向上できるという「倍速モード」。ユーティリティツール「クライアントマネージャー」では、接続速度が270Mbpsとなっている(通常は130Mbps)。しかし、実際に接続してみると、大きな効果は得られなかった。設定画面には、2チャンネル分の周波数帯域を使用しているため電波干渉により通信が不安定になる可能性がある、という旨が記載されている