次に壇上に上がったのが日本オンラインゲーム協会(JOGA)会長の植田修平氏と、NHN Japanセキュリティ室マネージャーの増村洋二氏であった。講演は主に増村洋二氏が中心に行ったため、ここ記載する内容は同氏の発表が中心となる。「オンラインゲーム不正行為とその対策」と題されたこの講演では、まずオンラインゲームコミュニティサイトとしてID総数2,500万を誇る「ハンゲーム」にもまた「残念ながら不正行為が後を絶たない」現状がある、という説明があった。その上で、一般的な不正な行為の動機は、RMTに起因するところが大きいのだという。RMT以外の動機は、自己顕示欲的なもの、嫌がらせ、他人のアイテムやアバターを単純に「欲しがる」というったものも十分考えられるという。

その上で、同氏はオンラインゲームにおける不正行為は、およそ次のようなものに分類できるという。

1. チート

ゲームクライアントに改造を加え、パラメータに不正な値を与えて、ゲーム内のアイテムや通貨を不正に入手することを指す。ハンゲームにおいても、多数のチートツールが提供されているといい、「一番メジャーな不正行為」であるという。また、「○○というゲームにチートツールが提供されている」といったサイトが多数開設されており、悩みの種であるという。

2. ボット

マルウェアとしてのボットではなく、ゲーム内に人間に代わってログインし、効率的に通貨やアイテムを収集するためのプログラムを指す。見た目は人間の操るキャラクタと変わらないが、他人との会話に参加せず、マナーを低下させ、他のユーザの妨害をするといった特徴があるという。「他人よりも強くなりたい」という願望の元に一般の利用者が使うケースもあるが、RMT事業者そのものが金銭目的で使用しているケースが圧倒的に多いという。

3. ファーマー

海外では「ゴールドファーマー」と呼ばれると。一般的なログインアカウントを作成するのではなく、まるで工場のように大量にPCを設置し、人を実際に配置して労働させることでアイテムや仮想貨幣を入手し、そのうえでRMTを実行するのだという。

4. ID、パスワードの不正入手

「ID、パスワードを教えてくれたら仮想通貨やアイテムを増やしてあげる」といったメールを送り、被害者の仮想通貨やアイテムを奪取することを指す。たとえば、ハンゲームに提供されている「プレゼント機能」を悪用し、不正に入手したアカウントから、自分の保有するアカウントに仮想通貨やアイテムを送信するといった行為。同氏は「若年層の利用者は、社会経験の少なさからこうした誘惑に弱い」と指摘する。