「優越感」に浸る心理とは? 意味や優越感の抑え方を専門家が解説

#心理学の基本

優越感とは、自分が他人よりも優れていると感じる時に抱く感情のこと。その瞬間は安心したり気持ち良くなったりしますが、この感情の裏には、劣等感が隠されている可能性も。今回は、心理カウンセラーの笹氣健治さんが優越感の意味や抑える方法を解説します。

優越感の抑え方

ここまで読んでこられて、「自分も優越感に浸りたがる傾向にある」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そこで次に、優越感を求めなくなるにはいったいどうすれば良いのか、について考えたいと思います。

優越感に浸りたがる人の課題は、「自分で自分の価値を感じられるようになること」と「精神的に成熟すること」です。

それぞれの課題ごとに、その克服法をご紹介します。

(1)自分の現実を受け入れる

自分の価値を感じられないのは、「私はこうあるべきだ」という理想にとらわれているからです。この思考に陥っていると、理想通りの自分になれていないことで、自分には価値がないと決めつけてしまうのです。

理想を持つことは自分がレベルアップするために必要ですが、それにとらわれすぎていると、現実の自分を受け入れられなくなります。

そして、現実を受け入れる代わりとして、有名ブランドやステータスを身につけて、優越感に浸ろうとしてしまうのです。

この状態から抜け出すには、自分の現実を受け入れることが役に立ちます。

そのために、次のように考えてみてください。

自分の理想通りになるのは、誰にとっても難しいことだ。だから、今はまだ自分が自分の理想通りになっていなくても何ら問題ではない。

そもそも、人それぞれ経験も素質も異なるのだから、他人と自分を比較するのは、本来は意味がないことだ。

他人と自分を比較するのではなく、昨日の自分と今日の自分を比較して、自分が着実に成長できているかどうかを考えることに意味がある。

理想通りになるよりも、理想を目指して努力することの方が重要なのだ。

理想を目指すためにも、自分の現在位置を知ることが不可欠である。自分の現在位置を知るためには、等身大の自分を認めることが必要である。

現実の自分を受け入れることが、全ての始まりとなるのだ。

これは極めて当たり前のことなのですが、つい忘れがちの真実です。

だから、優越感に浸りたがる自分に気づいたら、ぜひこのことを思い出してください。今は理想通りになっていなくても、理想を目指しているだけで自分には十分価値があることに気づけるはずです。

すると、きっと自分には優越感など必要ないと思えるようになるでしょう。

(2)他人の気持ちにも意識を向ける

精神的に成熟するための鍵は、意識が自分にしか向いていない状態から他人にも向いた状態に変えること。

精神的に未成熟な人は自分の満足を追い求めていますが、人は誰もが自分が一番大事なので、このこと自体は問題ではありません。

自分「だけ」の満足を追い求め、他人をそのための道具のように見ていることが問題なのです。

他人もあなたと同じように1人の人間であり、他人もまた自分自身の満足のために生きているのであって、あなたを満足させるために生きているわけではないという真実にまずは気づきましょう。

他人は、あなたが主人公の物語の中では脇役かもしれませんが、あなたもまた、他人の物語の中では脇役なのです。

精神的に成熟するということは、自分自身を尊重するのと同じように、他人も尊重できること。他人を尊重するには、まずは他人の気持ちを理解しようという意識を持つことが必要です。

他人の気持ちを理解するためのポイントとして、次の4つの視点を持つことが役に立つでしょう。

・この人は、何が好きで、何が嫌いのだろうか?

・この人は、何に喜び、何に傷つくのだろうか?

・この人は、他人から何をされるのが嫌なのか、何をされるとうれしいだろうか?

・この人は、どのような価値観を大切にして生きているのだろうか?

こうやって意識を他人に向けている時は、自分が特別扱いされたいという気持ちも湧いてこないはずです。

自分が特別扱いされて優越感を抱く時よりも、他人の喜びを自分の喜びとして感じる時の方が、何十倍も満たされた気持ちになります。その時の満足感を、ぜひ味わってみてください。

▶次のページでは、優越感に浸っている人との接し方を紹介します。

※この記事は2021年06月22日に公開されたものです

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