「いけず」の意味とは? どこの方言? 語源と「いけずな人」の特徴も紹介
「いけずな人」という表現を見聞きしたことがあっても、意味はよく分かっていないという人もいるのではないでしょうか? この記事では「いけず」の意味や語源、使い方を解説。また、「いけず」とされる人の特徴を紹介します。
関西地方の方言で、「いけず」という言葉を聞いたことはありますか?
意味はなんとなく想像できても、説明するとなると難しい……という人もいるでしょう。
そこでこの記事では、「いけず」の意味や語源、使い方を解説します。また、言葉の理解を深めるために、「いけずな人」の特徴も紹介します。
「いけず」の意味や語源とは?
まずは「いけず」の意味や語源を確認しましょう。
「いけず」は関西の方言で「意地悪」という意味
「いけず」という言葉を辞書で調べると、以下のように記載されています。
いけ‐ず
[名・形動]1 (関西地方で)意地が悪いこと。また、そういう人や、そのさま。「いけずなことばかり言う」
2 《近世上方語》悪人。ならず者。
「今も今とて—たちがわっぱさっぱ」〈浄・浪花鑑〉
(『デジタル大辞泉』小学館)
一般的には、1にある関西地方の方言として、「意地悪」「意地悪な人」を指す時に使われることが多いようです。
語源は「池之端の芋茎(いけのはたのずいき)」
「いけず」という言葉の由来には諸説ありますが、「池之端の芋茎(いけのはたのずいき)」が変化したもの、というものが通説のようです。
「芋茎(ずいき)」は里芋の茎を指し、栄養をたくさん必要とします。
そのため、池に植えるとそこにある養分を独占し他の植物に与えないことから、意地悪な様子を表すのに「池之端の芋茎(いけのはたのずいき)」が使われるようになったとされています。
そして、「池之端の芋茎」が短くなって「いけず」になったのです。
「いけず」の使い方(例文つき)
「いけず」の意味を確認したところで、使い方を見ていきましょう。
(1)親しい人にからかわれた時
親しい人にからかわれた時、「いけず」という言葉が使えます。
恋人や友達などから、ちょっかいを出されたり悪ふざけをされたりした時に、親しみを込めて以下のように表現できます。
例文
・「なんでそんないけずばっかりするの~!」
・「○○さん、いけずなんだから」
(2)嫌がっていることを遠回しに伝えたい時
「いけずな人やね」と言うことで、遠回しに「あなたの言動に嫌な思いをしている」ということを伝えようとする人もいるようです。
このように、関西弁のフランクなイメージのおかげか、「いけず」を使うと「嫌です」というよりも角を立てずに否定的な気持ちを表現できる場合があります。
例文
・「そんなことを言うなんて、○○さんはいけずな人やね」
(3)意地悪な言動を非難する時
意地悪な言動を非難する時にも、「いけず」が使われます。
前述したように、「いけず」は親しみを込めて使われることもありますが、文脈によっては非難の意である可能性もあるため気をつけましょう。
・「今回の○○さんの仕打ちは、本当にいけずよね」
いけずな人の特徴5つ
では、「いけずな人」とはどのような人を指すのでしょうか?
ここからは、「いけず」といわれる人の特徴を紹介します。
(1)すぐちょっかいを出す
仲が良い人にすぐちょっかいを出すような人は「いけずな人」とされることがあります。
この場合の「いけず」は、陽気で茶目っ気のある人に対して、親しみを込めて言うパターンです。
悪ふざけしつつも周囲の人から好かれていることは、いけずな人の特徴といえます。
(2)よくブラックジョークを言う
いけずな人の中には、よくブラックジョークを言う人もいます。
頭の回転が速く、毒のある言葉を絶妙な加減で使って笑いを取ることが得意なようです。
しかし、時に場を凍りつかせることもあるため、そんな時に周囲から「いけずなこと言う人やね」と言われることがあるかもしれません。
(3)強情
周囲から「いけず」といわれる人には、強情な面があるようです。人から反対されても「自分はこうしたい」という思いをなかなか曲げません。
自分がこだわりを持っていることに関してはなかなか譲らず、時に周りを困らせてしまうことも。
このような時に、相手から「○○さんはいけずやね」と言われる場合があるかもしれません。
(4)時に厳しい言葉を使う
厳しい言葉を使うことがあるのも、いけずな人の特徴といえます。
自分が「良くない」と思ったら、相手が気にしていることであってもストレートに伝える傾向があります。本人としては素直に意見を言っただけで、特に悪気はないかもしれません。
しかし、相手からしたら意地悪に聞こえる場合もあるため、「いけずな人」と言われることがあるのでしょう。
(5)すぐに反論する
会話中にすぐ反論するような人も、「いけずな人」と呼ばれることがあります。
相手の発言について、揚げ足を取るようなことを言ってしまう人もいるようです。細かい間違いなどにすぐ気づくので、ついからかいたくなるのだと考えられます。
相手も一緒になって楽しんでくれる場合もありますが、「そこまで言わなくて良いのに」と内心ムッとする場合もあるかもしれません。
「いけず」という言葉には微妙なニュアンスがある
「いけず」とは「意地悪」という意味。しかし、ネガティブなニュアンスで使われるばかりでなく、シーンによって意味合いが変わる言葉です。
本文でも紹介したように、ふざけてちょっかいを出してくるような人に対して好意を込めて使われる場合もあれば、否定的な意味で使われることもあります。
「いけずな人やね」などと言われたら、その前後の文脈で真意を考えるようにすると良いでしょう。
(#にほんご倶楽部)
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※この記事は2022年04月12日に公開されたものです