物に当たる人の心理とは? 特徴と癖を直す対処法
物に当たる心理とは? 当たってしまった時の対処法や、物に当たる癖を直したい、やめたいと思った時の対策について解説します。また、周囲の人が物に当たって怖いと思った時の相手別接し方も紹介します。
あなたの周りに、物に当たる人はいませんか? 恋人や両親など身近な人が暴れると恐れを感じる瞬間もありますよね。
そんな時は、どう対処したら良いのでしょうか。
あるいは、自分自身が物に当たるタイプだと悩んでいる人もいるかもしれません。ついカッとなり、後でいつも自己嫌悪に陥ってしまうパターンです。
今回は、そんな「物に当たってしまう人」の心理や特徴を紹介します。物に当たる癖を直すコツや対処法について解説していきます。
物に当たる人の心理とは?
いけないとは分かっていても、感情が抑えられなくなるとつい物に当たってしまう。それはなぜなのでしょうか? まずは、物に当たってしまう心理からひも解いていきましょう。
(1)感情をうまくコントロールできない
自分では対処できないような不測の事態に直面した時に、動揺して頭に血がのぼってしまう人がいます。感情が暴走してうまく制御できないため、物に当たるのです。
衝動的な行動ではあるものの、どこかでブレーキがかかるため、人に暴力を振るうのではなく物に当たります。あとで冷静になった時に後悔することもあるでしょう。
(2)怒りや不安を理解してほしい
自分の怒りや不安を周りに理解してほしくて物に当たる人がいます。
これは、自分のやり切れない感情を秘めたままではいられず、何とか気付いてもらおうという心理から起こります。言葉にして伝えられたらいいのですが、なかなかそれはうまくできません。
この場合、ドアを勢いよく閉めたり、聞こえるようにため息をついたりと、わざとらしく音をたてる特徴などもあります。
怒りを抑えられないのはなぜ? 対処法を心理カウンセラーの高見綾さんが解説します。
(3)自分を強くみせたい
自分を強くみせるためのマウンティング行為として物に当たる人もいます。
相手になめられてバカにされたくないという心理が働き、つい威嚇してしまうのです。本当に強ければわざわざ威嚇する必要もないので、自信がない人に多いと言えるでしょう。
自分を強く見せたい=自己顕示欲が強いタイプ? 10の質問に答えて診断してみましょう。
(4)相手に対する支配欲の表れ
相手を支配したいという心理から物に当たる人もいます。
物に当たることで相手に恐怖心を植え付け、コントロールし、自身の欲求を満たしているのです。
職場や学校などの社会で認められない人が、満たされない欲求の代替として、プライベートでは恋人や家族に対して支配的になるケースもあります。
支配欲が強い人の心理とは? 心理コーディネーターの織田隼人さんが解説します。
(5)ストレス解消方法を他に知らない
ストレスを解消したい心理から物に当たる人もいます。
この場合、特に悪気や主張があるわけではなく、「物に当たりたい」という意思のもと行っています。
趣味やリラックス方法など、他にストレス解消する術を知らないために、物に当たるのが自然だと捉えているようです。
自分に合ったストレス発散方法は? 10の質問に答えて診断で見つけてみましょう。
▶次のページでは、物に当たりやすい人の特徴を解説します。
物に当たりやすい人の特徴
物に当たる動機には、上記のような理由が挙げられます。
そして、このような心理に陥りやすい人には、次のような特徴があります。あなたや周囲の人に、当てはまるポイントはないでしょうか? チェックしてみましょう。
(1)短気でカッとなりやすい人
短気で感情のコントロールが利かない人は、物に当たりやすい傾向があります。
嫌なことが起きて苛立った時、普通の人ならすぐに冷静になるところを短気な人はなかなか平常心を取り戻すことができません。
物事に過剰に反応し、カッとなりやすいので、条件反射的に物に当たります。
短気な人の特徴と心理をさらに詳しく解説します。
(2)精神年齢が低い人
また、精神年齢が低いと、物に当たりやすくなります。
幼稚な性格の人は、子どもの頃と同じように駄々をこねて意思表示する癖が抜け切れていません。
大人になると対処法を他にいろいろと知っていくはずなのですが、ある意味ピュアであるため、子どもの頃と同じように暴れることがあるのです。
あなたの精神年齢を10の質問に答えて測ってみましょう。
(3)言葉でのコミュニケーションが苦手な人
口数が少なく、言葉でコミュニケーションを取るのが苦手な人も、物に当たる可能性があります。
口下手な人は、自分の気持ちをうまく言葉にして表現できません。
その代わりに、大きな音を立てたり物を破壊したりすることで、自分の意思や意見を表現することがあります。
普段おとなしい人が急にキレて暴れる場合は、このパターンの可能性があります。
(4)攻撃的な気質がある人
攻撃的な気質がある人も、物に当たり散らします。
相手を追い込んだり、怖がる姿を見たりすることで自分が正しいと確認し、満足しているのです。
本当は劣等感が強く、傷付くのが怖いがために、身を守る手段として物に当たっている場合もあります。
攻撃的な人の特徴を心理カウンセラーの高見綾さんがさらに詳しく解説します。
(5)実は小心者な人
物に当たっている人は、実は小心者である可能性があります。
自信がないからこそ、虚勢を張って「自分は強いんだ」とアピールする必要があるのです。弱い犬ほどよく吠えるパターンです。
小心者の特徴を心理カウンセラーの高見綾さんがさらに詳しく解説します。
(6)自己顕示欲が強くかまってもらいたい人
自己顕示欲が強い人も、かまってほしくて物に当たり散らすことがあります。
暴れることで周りの注目を集め、自分の存在をアピールできることに快感を覚えるのです。このタイプは、人が多い場所でも物に当たる傾向にあります。
(7)心に余裕がない人
物に当たる人は、心に余裕がなく後先のことまで頭が回らない状態かもしれません。
元々メンタルが弱い人はもちろん、仕事やプライベートのトラブルでまいっている人は、精神的に追い込まれています。
そのために判断力が鈍った状態で強いストレスを受けたり、予想外の出来事が起きたりするとナーバスになり、後先考えずについ物に当たってしまう可能性があります。
普段は当たり散らすタイプではないだけに、あとで素に戻った時に後悔することが多いでしょう。
心に余裕がある人とない人は何が違う? 余裕を持つコツを解説します。
(8)プライドが高く自尊心が強い人
プライドが高く自尊心が強い人も、物に当たることがあるかもしれません。
能力が高いと共に理想が高く、いざ現実が立ち行かなくなると大きな自己嫌悪に陥るからです。
やり場のない怒りを処理するために物に当たってはいるものの、心はスッキリせず、かえってモヤモヤが増すことになります。
プライドが高い人の特徴を心理カウンセラーの大塚統子さんが解説します。
▶次のページでは物に当たってしまった時の対処法を解説します。
物に当たってしまった時の対処法
気持ちに余裕がなかったり、冷静になれていなかったり……。イライラややり場のない気持ちを解消するために、物に当たるケースもあるということです。
では、自分や相手が物に当たっている時、応急処理的にどのような対処法で気持ちを鎮めるといいのでしょうか。心を落ち着ける手順を紹介していきます。
STEP1:大切な物を片付ける
直接的な対処法ではありませんが、まず大前提として、大切な物を目につく所へ置かないよう、しまってしまいましょう。
頭に血が上っている時は、たとえ貴重品であってもお構いなしに当たってしまうはず。自暴自棄になっていたら、あえて大切な物を壊そうとしてしまうかもしれません。
自分や相手の癖に困っている時にできる応急処置です。クッションなど、叩きつけても大丈夫なものをあえて用意しておくのも良いでしょう。
STEP2:深呼吸をして落ち着く
イラッとして物を蹴とばしたり、投げつけたりしたくなったら、まずは深呼吸しましょう。深呼吸を繰り返していくうちに、徐々に心まで落ち着いていきます。
また、呼吸に意識を集中することで、怒りの対象から気をそらすことができるかもしれません。
相手にこれを促すのは難しいかもしれませんが、自分が物に当たりそうになった時の対処法として覚えておきましょう。
STEP3:その場から離れて落ち着く
物に当たってしまいそうな時は、いったんその場から離れる。もしくは、相手が物に当たりそうな時は、こちらが離席する。
イライラしている対象から物理的に離れて、落ち着くまでしばらく待つ方法です。
感情的になっている時は物に当たりやすくなります。また、ケンカや争いの当事者がその場に居合わせることで、行動がさらにエスカレートすることも。
どんなに物に当たっても構わずに放っておき、後片付けまで全て一人でやる、というのも1つの方法です。片付けをすることで、自分のやったことを冷静に自覚できます。
STEP4:外出して1人になる
それでも物に当たりたい衝動が収まらないなら、当事者が外に出たり、1人になれる場所へ移動したりするのも有効です。
表に出ると、他人の目があるので行動にブレーキがかかるかもしれません。より気持ちが落ち着く可能性があります。
STEP5:冷静になったら話し合う
気持ちが冷静になったら、物に当たった理由や、感じたことなどを整理しましょう。
相手が物に当たっていた場合、人格や行動を感情的に否定するのはNGです。再び怒りに着火してしまう可能性があります。
あくまで冷静に相手を尊重しつつ、当事者同士で話し合う必要があります。
STEP6:第三者の力を借りる
自分が物に当たるのをやめたい、相手が物に当たるのをやめさせたい場合には、第三者の力を借りるのもおすすめです。
当人同士では堂々巡りでこじれるケースも、間に他人が入ることで冷静になり、うまく対処できることがあります。
お互いの話合いでどうにも着地しないのであれば、第三者を頼りましょう。
STEP7:壊したものの金額を知る
ある程度冷静になった時に、壊したものの金額を知る、相手に伝えるということも有効です。
損害額を冷静に知ることで頭も冷え、暴れることにバカバカしさを覚えるかもしれません。後悔の念にかられることで、次回以降は行動がセーブされる可能性があります。
金額を淡々と整理しましょう。可能なら弁償するのもいいかもしれません。自責が大きくなり、より反省が促されます。
▶次のページでは、物に当たる癖を直す方法を解説します。
物に当たる癖を直す方法
できれば物に当たるという癖自体を直したい、と望む人もいることでしょう。
日ごろからどんな考え方や行いをしていると、感情を冷静にコントロールでき、癖を直していけるのでしょうか。
(1)言葉で気持ちを表現する練習
たとえ気に入らないことがあっても、態度で不満を示すのではなく、言葉で気持ちを表現する努力が大切です。練習しておきましょう。
言葉による表現が苦手だからこそ、モヤモヤを物に当たることで解消しているケースがあると前述しました。しかし、苦手だからといって避けるのではなく、言葉で吐き出すトレーニングを日ごろからしておくのです。
(2)他人は変えられないと知る
どんなにこちらの意見を主張したところで、しょせん他人は変えられないものだと割り切ることも時には必要です。
「他者は変えられない」という根本を知りましょう。
物に当たる行為は、周囲に対する不満の表れという側面があります。相手の行動や意見を変えたくて物に当たっている場合は、そもそも他人はコントロールできないので仕方がないと悟り、大きな心で構えてみるのです。
他人に期待し過ぎないことで、物に当たっても仕方がないと考えられるようになるかもしれません。
(3)自分なりのストレス解消法を見つけておく
自分なりのストレス解消法を見つけることは、物に当たる行為を改善するのに役立ちます。
精神的に疲れてストレスがたまった状態では、感情のコントロールが利かずにキレやすくなります。
読書や動画鑑賞で物語に没入したり、音楽を聴いてリラックスしたり、バラエティを観て笑ったり、運動でさわやかな汗を流したり。さまざまなストレス対策があります。
自分に合ったストレス解消法を実践していきましょう。
(4)睡眠をしっかりと取る
睡眠をしっかり取ることも大切です。
睡眠不足だと心身ともに疲労がたまり、集中力が低下します。イライラして正しい判断ができないこともあるので、思い当たる人はぜひ改善しましょう。
睡眠の質も大事です。たくさん寝ているはずなのに心にゆとりがないという人は、質の良い睡眠が取れているか確認するといいかもしれません。
(5)アンガーマネジメントを学ぶ
興味のある方は、アンガーマネジメントという、怒りをコントロールするメソッドを学んでみてもいいでしょう。
有名なのは、「イライラしたら6秒待つ」というやり方です。
アンガーマネジメントの見地からは、物に当たることはむしろ怒りの感情を強くし、苛立ちを抑えるのには逆効果であるとされています。納得する理由が見つかれば、必要以上に物に当たらなくなるかもしれません。
参考:日本アンガーマネジメント協会「怒って物に当たると逆効果」
▶次のページでは、他人が物に当たる時の接し方を相手別に解説します。
相手別・物に当たる人との接し方
反対に、自分ではなく他人が物に当たる癖に悩むこともあるでしょう。身近な人のそんな姿は、正直怖いと感じてしまいますよね。
では、物に当たる人とはどう付き合っていけばいいのか。接し方のコツを解説します。
彼氏・夫(男性)の場合
男性パートナーが相手の場合、怖いと思ってしまうのは体格差。体で止めようにも、敵わないことが多いでしょう。まずは、少しだけ物理的な距離を取ることを意識して。あなたが怪我をしてしまっては、お互いの中でしこりが残ってしまいます。
男性はプライドを侵害された時にイライラする傾向があり、それが物に当たるという行為に直結してしまったのかもしれません。
従って、彼を否定するようなことは言わず、距離を置いて冷静になるのを待ちましょう。彼の激情には付き合わず、その場を離れるのも手。相手が落ち着いた様子になったら、「何があったの?」と話を聞いてみてください。
物に当たる彼氏の心理と対処法をさらに詳しく解説します。
彼女・妻(女性)の場合
女性パートナーが相手の場合、物に当たる行為の裏には不安やモヤモヤといった言葉にできない気持ちがあるのかもしれません。また、PMS(月経前症候群)で気持ちが不安定になっているケースもあります。
物に当たる様子が見られたら、「大丈夫だよ」と落ち着かせてあげましょう。ハグをして安心させてあげるのも効果的なはず。
あなたは何があっても彼女の味方で、理解したい気持ちがあることを伝えれば、段々と落ち着いていくはずです。
上司の場合
上司の場合は、あなたから進言するのは難しいもの。面と向かって、「物に当たらないでください」とは言いにくいですよね。
有効なのは、“上司の上司”や会社へ報告する手段。どんな状況で、何を言われ、物に当たる経緯に至ったのか。事実を伝えましょう。
上司よりも上位の立場・組織からの対応を促すのが適切なはずです。
高圧的で怖い上司との接し方を外資系OLコラムニストのぱぴこさんが解説します。
親の場合
自身の親が物に当たる姿を見て、ショックな気持ちになる人もいるでしょう。ですが、親も1人の人間です。子どものようにイライラしたり、どうしようない気持ちに悩んだりすることだってあるのです。
「親だから」という期待をかけるのではなく、1人の人間として心理を理解してあげましょう。
その上で、体格差があり危害を被る可能性があるのならば、まずは逃げること。
そして、落ち着いた時に対話をすることです。物に当たられて怖いと思ったこと、自分に対して何を伝えたかったのか、など腹を割って話せるとベター。
とはいえ、家族の形はそれぞれ。「親だから必ず腹を割って話し合わなきゃ」ということはなく、どうしたらあなたの気持ちが楽になるかを優先してください。
もしかして毒親? 毒親の特徴と接し方を心理カウンセラーの高見綾さんが解説します。
物に当たる心理をまず知ろう
物に当たる人には、その人なりの事情があるものです。
相手が物に当たるのをやめさせたい時や、自分が物に当たる癖を改善したい時には、まず理由を知って対策することが大切です。
その上で、今回紹介した対処法を試したり、相手と話し合ったりしてみましょう。
(シシィ)
※画像はイメージです
※この記事は2021年04月08日に公開されたものです