「エモーショナル(エモい)」の意味は? 使い方や例文・類語を解説
「エモい」という言葉を聞いた時、それがどういう意味なのか把握できていますか? 語源は「エモーショナル」という英語で、「情緒的・感情的」という意味があります。今回はそんな「エモーショナル」について、ライティングコーチの前田めぐるさんに解説してもらいました。
「エモい」とは、心に響くような音楽や写真、映像などを表現する際に、主に若者の間で浸透している俗語です。
この「エモい」の語源になっているのが、英語の「emotional(エモーショナル)」。
どんな意味があるのか? ビジネスでも使うことができるのか? 類語や対義語も含めて、紹介します。
「エモーショナル(エモい)」の意味は?
「エモーショナル」は、英語「emotional」のカタカナ語で、次のような意味があります。
エモーショナル【emotional】
情緒的。感情的。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
英和辞典では、次のように書かれています。
emotional
形容詞(more emotional; most emotional)
1〈人・性質など〉感情に動かされやすい、感情的な、情にもろい、感激しやすい。
an emotional person(感情的な[情にもろい]人)
2〈音楽・文学など〉感情に訴える、感動的な。 emotional music(主情的な音楽)
3(比較なし)感情の、情緒の。an emotional decision(感情的な決定)
(『新英和中辞典』研究社)
以上のことから、「エモーショナル」とは、人や性質について「感情的な、情にもろい」という意味の言葉だと分かります。
また、音楽、写真、ファッション、文章など、何らかの表現について「感情をかき立てる。感情に訴える。感動的。情緒的」という意味を表す言葉です。
静かにじわじわと染みるような様子よりも、どちらかといえば心にグッと迫るような動的な感情を表現する時に、よりふさわしいといえます。
「エモーショナル」はどんな時に使えるのか?(例文付き)
前段で述べたように「エモーショナル(英:emotional)」とは、感情的、情緒的な人や様子を表現する言葉です。また、人の感情をかき立てる音楽や映像などの表現についても同様に使われます。
特に音楽については、90年代頃の雑誌でも「エモーショナルなロック」という表現が見られました。最近では、特にSNSなどで「この曲エモい」というふうに略す表現が使われますが、略語についてはあくまで俗語的な用法です。「エモーショナル」に比べれば、公式な場面で使うほど一般化された言葉ではありません。
私たちの感情や情緒には、喜び、怒り、悲しみ、落胆などさまざまなものがあります。「エモーショナル」を「感情的・情緒的」という意味で使う場合には、それら全てをひっくるめているわけです。
それだけに、「エモーショナル」であることは短所でもあり長所でもある、と言うことができるでしょう。
感情的になることの短所を伝えたい時
感情豊かなことは悪いことではありませんが、ビジネスではしばしば感情をコントロールすることも求められます。
例文
・議論が白熱しても、皆さんはエモーショナルになってはいけません。常に冷静であるよう心掛けてください。
情緒的であることの長所を伝えたい時
感情的で情にもろいことを良い方向に発展させたり、ポジティブな意味で考えたりする時に使います。
例文
・彼は、エモーショナルな母親に良い影響を受け、芸術面での豊かな表現力と人に対する想像力を持ち合わせているすばらしいアーティストだ。
音楽や写真などに心を動かされた時
「エモーショナル」という言葉がよく用いられるのは、何かしらの表現に対して心が動かされた時です。以下のように使います。
例文
・この曲のサビの部分がなんともエモーショナルで、何度聞いても泣きそうになる。
情操面の重要性を伝えたい時
技術がどんなに進化しても、それを使うのが人である限り、思いやりや想像力も要求されます。
そういった情操面の大切さを伝えたい時には、以下のように使うことができます。
例文
・その学校では、情報技術社会に役立つ技術や理論を教えるだけでなく、エモーショナルな教育も大切にしている。
「エモーショナル」の類語
「エモーショナル」という言葉は、場面や相手によっては通じにくいこともあり得るため、似たような意味を持つ言葉を使うことも考慮すると良いでしょう。
以下に、類似する言葉を紹介します。
「ファンタスティック」
英語で「fantastic」と書き、「非常にすばらしい。感動的」というポジティブな意味です。
「幻想的」という意味もあります。芸術作品をたたえる時などに使います。
例文
・その映画はラストが実にファンタスティックで心に残っている。
「感情的」
「感情的」とは、理性を失って、感情に偏ったり、興奮したりする様子を表す言葉です。
「エモーショナル」がポジテイブ・ネガティブ両方の意味を持つのに対し、「感情的」は、ややネガティブな印象を与える言葉です。
例文
・会議では感情的な議論は避けるべきだが、熱量のある意見を否定するものではない。
「心をわしづかみにする」
「ワシがものをつかむように荒々しく物をつかむこと」を意味しています。
例文
・彼が話し出した瞬間、会場の人たちは心をわしづかみにされたようだった。
「胸に迫る」
「抑えきれない喜びや悲しみがこみ上げてくる」という意味合いです。
「エモーショナル」と同じく、感情が動く様を表す言葉です。
例文
・半年に及ぶプロジェクトが無事終了した瞬間、万感胸に迫るものがあった。
「エモーショナル」の対義語
ここでは、「エモーショナル」の対義語を紹介します。
「ロジカル」
英語で「logical」と書き、「論理的。論理学的」という意味です。
例文
・彼女は、クライアントのタイプに合わせて、感情たっぷりに話すこともあれば、ロジカルに話すこともある。
「理性的」
「感情的」が感情のおもむくままに振る舞うのに対し、「理性的」は理性に基づいて振る舞うことを表します。
例文
・常に理性的な人は、隙がなくて近寄り難いように感じさせる。
「理論的」
「ロジカル」に同じ。「理論に基づいて。理論上」という意味です。
例文
・イベント開催が現状で難しいことは理論的には納得できるが、感情的にはなかなかうなずき難いものがある。
「合理的」
「道理や理屈にかなっていること。物事の進め方に無駄がないこと」を意味する言葉です。
例文
・チーフは「合理的なやり方だけが正しいとは限らないから」と前置きし、全員の意見を聞いてくれた。
人の数だけある「エモーショナル」
今回は、英語の「エモーショナル」という単語を取り上げましたが、いかがでしたか?
和訳すれば「感情的」「感動的」「感情に訴えかける」という意味ですが、従来でも現在でも、一番よく使われているのは、3つ目の「感情に訴えかける」という意味でしょう。
特に、音楽や映画、写真など「うまく説明できないけれど、感情がこみ上げてくる」というような瞬間だったり、人によって評価や感動のポイントが違うものについて語ったりする時には、「エモーショナル」という言葉がピタリとはまるようです。
「エモーショナル」の意味や使い方を正しく知って、表現の1つとしてストックしておくと良いかもしれませんね。
(前田めぐる)
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※画像はイメージです
※この記事は2021年02月25日に公開されたものです