固執は何と読むのが正解? 意味や使い方、固執する心理とは

固執とは、「自分の意見や考えを変えないこと」を表す言葉。読み方や使い方、類語、対義語を解説します。また、固執しすぎる人の性格や、なぜ人は物事に固執してしまうのか、どうすればやめることができるのかについても紹介します。

「固執」という言葉にはどういう意味があるのでしょうか。その使い方を例文とともに紹介しつつ、類語・対義語も解説します。

あわせて、人が物事に固執してしまう心理的な理由、固執する気持ちを解き放つ方法についても紹介していきます。

「固執」とは? 意味や使い方

まずは固執という言葉の本来の意味や使い方について見ていきましょう。

正しい読み方は「こしつ」「こしゅう」どっち?

固執は本来「こしゅう」と読み、「こしつ」は慣用読みです。

慣用読みとは、元々は正しい読み方ではなかったものの、世間一般に広まったため間違いとは言えなくなった読み方のこと。

つまり、「こしゅう」が本来の読み方だけれども、「こしつ」という読み方が広まり現在ではどちらでも問題がないということです。

固執の意味

固執の意味を辞書で調べると下記の内容になります。

固執
あくまでも自分の意見を主張して譲らないこと。
(出典:『デジタル大辞泉 小学館』)

良くも悪くも「自分の意見や考え、立場、やり方」を曲げないという意味の言葉です。

固執の使い方(例文つき)

次に固執を文章で使うとどうなるのか例文つきで見ていきます。

例文

(1)自分のやり方に固執して、人のアドバイスを聞かなかったことでミスしてしまった

(2)会議では1つの考えに固執せずに議論を進めることが大事だ

自分の意見や考えにこだわるという意味があるため、ネガティブな意味の表現として使われることが多いでしょう。

固執の英語表現

固執を英語で表現するなら、こだわる、意地になるといった意味合いを含む「stick to」を使うといいでしょう。

例文

She sticks to her own idea.(彼女は自分の考えに固執している)

固執の類語・言い換え表現

固執の意味を深く知るために、似たような意味を持つ言葉についても見ていきましょう。

(1)執着
(2)執心
(3)頑な

「執着」や「執心」は「何か1つのことに対してこだわる」という意味があります。また、「頑な」は「他人に構わず自分の主張を変えない」ことを指す言葉です。どれも執着に近い意味を持つ言葉でしょう。

固執の対義語

固執の反対の意味を持つ対義語は下記の通りです。

(1)妥協
(2)譲歩

「意見が対立した際に、相手と少しずつ譲り合って結論を決める」という意味があるため、どちらも固執とは反対の意味を持つ言葉です。

固執と執着は別物?

前述しましたが、固執と似た意味の言葉に「執着」というものがあります。

固執と執着は似ているようで、実は少し意味が違います。

「固執」は「自分の意見や考え」をかたくなに曲げないことを指します。一方「執着」は「特定の物事や他者に」強く心を惹かれ、それにとらわれることを指します。

ようするに、「自分自身」にこだわっているのか? 「自分が魅了されたもの」にとらわれているのか? が違うのですね。

また、固執はポジティブな意味でも使いますが、執着は主にネガティブな意味で使われます。

あなたのこだわりは「固執」なのか「執着」なのかを考えてみると、現状を改善するヒントになるかもしれませんね。

▶次のページでは、固執する人の特徴や原因を紹介します。

固執する人の性格とは? 5つの特徴

ではここからは、物事に固執してしまう人の特徴についてご紹介しますね。

(1)人のアドバイスを煩わしく感じる

自信を持つことは大事なことですが、自分以外の人の意見を煩わしく感じる場合、主観に偏り、思い込みが激しくなっている状態かもしれません。

(2)客観性が無くなる

知らず知らずのうちに自分本位な行動を起こしてしまう時は、「自分の考えは周りからはどう思われるだろう?」といった視点が抜けてしまっていることがあります。

(3)頑固である

一度口にした言動を引っ込められない、そういう頑固さを持っていると物事に固執しやすくなります。

相手の意見を取り入れることは負けだ、という競争意識がある方も多いかもしれませんね。

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頑固な人の特徴や対処法について紹介します。

(4)完璧主義である

何事も完璧でないと意味がないと感じている人ほど、間違いや失敗が怖くなり、自分のやり方に固執しやすくなります。

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完璧主義の特徴や完璧主義をやめるためにすべきことを紹介します。

(5)熱中し過ぎて周りが見えなくなる

情熱的でパワーがある人ほど、自分の考えだけで突っ走ってしまいがちです。周りを置いてきぼりにしてしまうため、自分勝手な人と誤解されてしまうことも。

いかかでしたか?

もしも、今のあなたに当てはまる項目があっても安心してくださいね。ここから一緒に、「固執」する心をあなたの長所に変えていきましょう。

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実は周りを困らせてない? あなたの「こだわりの強さ」を診断でチェックします。

固執しすぎるのはなぜ? 固執する意味・理由

固執をしてしまうには、必ずその人なりの心理的理由があります。

続いて、固執してしまう原因になりやすい心理をひもといていきましょう。

(1)過去に信じていた人に裏切られたことがある

「人は裏切るもの」「自分以外は全て敵」という思い込みを作ってしまうと、主観的に物事を考えがちです。

ただ、裏切られて傷ついた経験のある人ほど、信頼し合える仲間がいることの尊さを知っています。

思い込みを理解に変え「人vs自分」という戦いを終わらせることができると、人とのつながりを大事にする良きチームリーダーになれるタイプでもありますよ。

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人を信じられない人の心理や原因、恋人を信じられなくなったときの対処法を紹介します。

(2)過干渉な状況に育った

両親が厳しく「こうしなさい」「ああしなさい」と過剰に言われて育った方の中には、子どもの頃、自分の意見を抑え込んで生きてきた方も多いです。

その分、大人になった時に「もう、私のやり方に文句を言われたくない!」という反動が出てしまい、固執し過ぎてしまうことも多いようです。

(3)自己否定が強すぎて、自分の弱さや間違いを認められない

人の意見を理解できないというよりも、意地を張ってしまうケースです。

間違いや失敗は誰でも経験するもの。自分で自分のいたらなさを責め過ぎていると、人前でも過ちを認めにくく固執しやすくなってしまいます。

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自己否定してしまう人の特徴と原因、克服方法を紹介します。

(4)真面目で誠実である

正義感が強く、誠実でありたいと日々頑張る方ほど、納得がいかないと行動できなくなったり、人の意見を素直に聞けなくなったりする傾向にあります。

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(5)不安が強い

心配性の方は、何でも自分で確認しないと気が済まない傾向にあります。

人のやり方や想定外のトラブルに対応できる自信が無いため、自分のやり方に固執してしまいがちです。

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不安や緊張、イライラなどで、自分らしくいられない……。そんな時の対処法を紹介します。

▶次のページでは、固執する気持ちを解き放つ方法を紹介します。

固執することなく過ごすには? 心を解き放つ方法

固執することでトラブルを起こしてしまうのは悲しいことですが、そんな自分を全否定してしまうのも、実はとてももったいないことなんです。

なぜならば「固執」は、あなたの才能の表れでもあるからです。

カリスマ的存在の方や、腕の良い職人さん、人がまねできないような成功を収めている方ほど、自分の考えをブレずに持っています。

あなたの意志の強さやあふれる情熱で、人の心を動かすことも可能なのです。

ただ、固執し過ぎて柔軟さが欠けてしまい、孤立してしまっては、その才能を生かしきることができませんね。

ここからは、カウンセリングでもご提案しています、固執してしまう心を解き放つ方法についてご紹介します。

自分がやりやすいものからお試しくださいね。

(1)固執している自分に気付く

固執をしている時には、大抵、周りや自分が見えなくなっています。ですから「気付く」だけで、固執する心を手放せることが多いのです。

気付くことができたら、そんな自分を承認してあげてくださいね。

(2)自己受容する

自己受容とは「あるがままの自分を自分で受け入れること」。

どんなあなたも、ここまで一緒に頑張ってきた大切なあなたの一部。自分をまるごと受け入れることができると、人の考え方や意見も柔軟に受け入れられるようになってきますよ。

(3)自己有用感を高める

自己有用感とは「自分の存在が周りの役に立っている、貢献している」という感覚です。高め方としては、寝る前に今日言われた「ありがとう」を数えてみるのが効果的ですよ。

あなたが思うより、周りの役に立っていると気付くことができれば、人と協力して頑張りやすくなります。

(4)過去の傷を癒す

もし、固執し過ぎる理由に心当たりがあるのならば、カウンセリングなどで心の傷を癒すことも有効です。悲しみや諦めで傷ついてしまった心をケアしてあげましょうね。

(5)手放す勇気を持つ

固執することをやめるというのは、今までの生き方を変えるということ。それには、勇気が必要ですよね。

しかし勇気さえあれば、いつだって人生は変えることができるのです。手放すという勇気を持って、ぜひ一歩踏み出してみてくださいね。

固執することは悪いことばかりではない

「私、固執し過ぎてしまっているかも……」と自分で気付いた時や、人から指摘された時、私たちはあまり良い気分ではありませんね。

「今までの自分を振り返り、穴があったら入りたくなる……」そんなあなたこそ、自分のこだわりを長所に変えて、周りの人を幸せに導いてあげられる人です。

短所は長所の裏返し。

ぜひ、固執し過ぎてしまう自分の才能や良さを受け取って、生かしていってくださいね。応援しています!

(服部希美)

※画像はイメージです

※この記事は2020年07月17日に公開されたものです

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