「心配性な人」の特徴
「いつも心配しすぎて楽しめない」「何事にも心配がつきまとって疲れる……」と心配性な自分に嫌気がさすことはありませんか? でも実は心配性は負の側面ばかりではありません。この記事では、心配性の人の心理やメリット、心配性を上手にコントロールする方法について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに解説してもらいました。
何をするにも心配事が先立って一歩が踏み出せない、心配事が多くて疲れてしまうなど、自分の心配性を克服したいと思うことはありませんか?
心配性だとプライベートを思い切り楽しめないこともありますよね。
今回は心配性な人の性格や心理に焦点をあて、さらに心配(不安)のコントロール方法までをお伝えしていきたいと思います。
心配性な人の特徴
まず、「心配性」といってもそれが性格レベルのものと疾患になっている場合があります。
疾患の場合は常に不安が頭から離れず確認行為がやめられないなど、日常生活に支障が出ているようなケースで「強迫性障害」「不安障害」といった病名がつくことが多いです。
疾患の場合は医療機関と連携する必要がありますので、今回は疾患ではなく性格としての「心配性」について、その心理や特徴をあげていきます。
(1)物事に対してネガティブな側面ばかり考えてしまう
たとえば、ハイキングに行くとき、「頂上で食べるおむすびはおいしいだろうなぁ」と思うよりも「無事に登って下山できるだろうか」と考えてしまうタイプ。
頂上で食べるおむすびがおいしいと思いを馳せることも、無事に下山できるのかと考えることも、どちらもまちがいではありませんが、心配性の人は必ずネガティブな側面ばかりに意識が向いてしまいます。
(2)完璧主義傾向がある
心配性な人は物事を予定した通りに完璧にこなしたい、という願望が強いです。
そのため、出かけるときでも「晴れたとき」「雨が降ったとき」と分けて計画を立てたり、分刻みのスケジュール計画を立てたりしますが、その通りに進まないと機嫌が悪くなったりします。
(3)確認が多い
人間リマインダーのように何度も確認をしないと落ち着かないという心理があります。
目覚ましを何個も用意しても結局目覚ましが鳴る前に起きてしまったり、友人との約束も前日に必ず確認のメールやLINEを入れないと落ち着かなかったりするなど、自分にも他人にも確認行為が多く、これには本人も疲れている場合が多いです。
(4)常に最悪のパターンを考えている
仕事でもプライベートでも常に最悪のパターンを考えています。
たとえば、ドライブに行っても「事故を起こしたらどうしよう」「渋滞に巻き込まれてイベントに間に合わなかったらどうしよう」といった感じです。
そのため、一番高い保険に加入したり抜け道を調べつくしたりして、本来の目的である「ドライブを楽しむ」ということができなくなってしまうこともあります。
いつも不安がつきまとう……心配性はよくないもの?
心配性って生きづらそう……と思われた方もいるのではないでしょうか。
しかし、心配性は悪い側面ばかりではありません。
ここからは心配性のメリットとデメリットについて解説していきます。
(1)心配性の負の側面とは?
人間は心配事があるとストレスがたまり心身に不調をきたします。
具体的には想像しただけで動悸や目まいがしたりお腹を壊したりするようなことです。
心身が健康でないと何事にもやる気が起きないですよね。
こうして次第に日常生活が楽しめなくなってくることが、心配性によるもっとも大きな負の側面だといえるでしょう。
さらに、ポジティブ思考な人は失敗をバネにして成長につなげやすいのですが、心配性の人は失敗すると「また失敗したらどうしよう」という予期不安だけが強くなってしまい、成長につながりません。
(2)心配性のメリットとは?
念には念を入れる、さまざまなケースを予測して準備しておく、という心配性は特にビジネスにおいてメリットとなります。
それがプロジェクトや発表会など大きなものになればなるほど、突発的なことが起きる可能性があります。
そうしたときに予測パターンを多く持っている心配性な人は、とても頼りになる存在。
一気に社内評価が上がることもあります。
また、ビジネスでなくても複数で遊びに行くときに心配性な人がいると綿密に下調べをしてくれたりするので、信頼と人望が厚くなります。
心配症を上手にコントロールする方法
心配性にはメリットもあることがおわかりいただけたと思います。
とはいっても、やはり心配性な性格をコントロールしたいと感じている方もいると思うので、ここからはそのコントロール術について解説していきます。
(1)近くの未来までしか考えない
心配性の方は遠い未来まで考えてしまいます。
車通勤の例でいえば、「渋滞になったらどうしよう」→「会社に遅刻するかも」→「遅れたら上司に正直に伝えるべきか」→「仕事のスケジュールは○○をこうして……」といった感じです。
この例でいえば「渋滞になったらどうしよう」、ここまでで思考を止めてください。
そしてその後は「そのとき考えよう!」以上でストップです。
少しずつこの訓練をしてみてください。
(2)行動第一主義を心がける
不安は頭で考えていると肥大化していきます。
不安性の自分が出てきた、と思ったら行動してしまうことです。
たとえば、一週間後のプレゼンがうまくいくだろうか、と不安になったらとにかく練習する。
宴会幹事を任されたがみんなに喜んでもらえるかと心配になったら下見に行ってみるなど、「不安になったらまず行動」を心がけてください。
(3)心が軽くなるマジックワードを持つ
読んだ言葉、他人から言われて心が軽くなった言葉、映画のセリフなど、なんでもよいので、不安や緊張が押し寄せたときに心を軽くするマジックワードを見つけましょう。
「失敗したらそれまで」「命まで取られない」「なるようになる」など、あまり長くなくて呪文のように唱えられる言葉がおすすめです。
その呪文を唱えながら大きく深呼吸する、といった自分のルーティンを作ってみてください。
心配性もあなたの大切な個性。上手に付き合おう
このコラムを読もうと思われた方は、心配性な自分に疲れている人が多いのではないかと思います。
しかし、心配性は他者からの信頼や人望の厚さにつながるといういい面もあります。
疲れすぎる部分はコントロール方法を参考にしていただき、ぜひあなたの個性をいい方向に伸ばしていってください。
(小日向るり子)
※画像はイメージです
※この記事は2019年09月28日に公開されたものです