泣き上戸とは? 意味・使い方・酔うと泣く人の特徴や原因
お酒に酔うとすぐに泣きだしてしまう、泣き上戸な人は周りにいませんか? もしかしたら、自分自身がそれで悩んでいる人もいるかもしれません。今回は、「泣き上戸」の言葉の意味や使い方・泣き上戸になる原因やなりやすい人の特徴を解説します。
お酒を飲んで酔ってくると泣くクセのある「泣き上戸」な人がいますが、正直ちょっと面倒くさかったり、場の雰囲気が盛り下がってしまったりと困ることがありますよね。
どう対応したらいいのかわからない人も多いでしょう。
そこで、飲み会で泣き上戸な人がいても困らないように、泣き上戸な人の特徴や対処法について、心理カウンセラー・萩原かおりが解説します。
泣き上戸とは?
そもそも「泣き上戸」とはどんな意味や使い方かご存じでしょうか? 心理をひも解く前に、まずは言葉についておさらいしておきましょう。
読み方は「なきじょうご」
泣き上戸の読み方は「なきじょうご」。「上戸」とはお酒が好きな人や、お酒好きでたくさん飲める人のことを意味する言葉です。
「上戸」は他の言葉の下について複合語をつくる言葉でもあり、主にお酒に酔った時に出る癖の状態を表します。そのうちの1つが、「泣き上戸」なのです。
言葉の意味
では、言葉の意味を辞書で引いてみましょう。
なき‐じょうご〔‐ジヤウゴ〕【泣(き)上戸】 の解説
酒に酔うと泣くくせのある人。また、そのくせ。出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
前述のとおり、「上戸」とはお酒に酔った時に出る癖を表す言葉なので、「泣き上戸」はつまりお酒に酔うと泣く癖がある人を指します。
言葉の使い方
では、言葉の使い方を例文と共に見ていきましょう。
・Aさんは泣き上戸で大変だから、飲み会で隣に座るのはやめた方がいいよ。
・Bさんは泣き上戸ですぐ泣いちゃうんだけど、翌朝にはコロッと忘れてるからそんなに心配しなくて大丈夫だからね。
・私、実は泣き上戸で……。ご迷惑をおかけしてすみません!
自分に対しても、人に対しても使えるこの言葉。飲み会で泣かれてしまうと周りが対応に困り、迷惑をかけてしまうことがあるかもしれません。
類語
「泣き上戸」の類語には以下のようなものが挙げられます。
・酒癖(さけぐせ・しゅへき)
・酔い泣き
・泣き虫
泣き上戸はアルコールが入ると出てしまう癖のことを指すので、そのまま「酒癖」という言葉に置き換えられる場合があるでしょう。
また、酔って泣くことを表す言葉としては「酔い泣き(よいなき)」、お酒の席だけでなく普段からよく泣く人のことは「泣き虫」などと言い換えられます。
「○○上戸」の種類
お酒に酔うと出る癖のことは、泣き上戸以外にも「○○上戸」という形でさまざまな場面で使われます。
いくつか例を見ていきましょう。
(1)怒り上戸(いかりじょうご)
お酒に酔うと怒りっぽくなる性格の人を指す言葉。怒りをコントロールできずに周りにぶつけてしまうと、飲み会の雰囲気が悪くなるので注意したいですね。
(2)笑い上戸(わらいじょうご)
酔うとやたらと笑う癖がある人のことは、「笑い上戸」と言います。また、普段から何かにつけてよく笑う人のことを指す場合もあるでしょう。
(3)空上戸(そらじょうご)
これは、お酒を飲んでも酔いが少しも顔に出ないことを言います。
泣き上戸な人の特徴とは
泣き上戸な人には共通する特徴があります。
代表的な特徴を4つご紹介します。
(1)ため込みやすい性格
自分のなかでストレスをため込みやすい性格の人は、不満があってもなかなか口に出せず、お酒に酔った勢いでストレスを発散する傾向があります。
ふだんは大人しい人が、お酒に酔ったとたん人格が変わったように泣いたり、攻撃的になったり、乱暴な振る舞いをしたりするのはこのためです。
お酒を飲んでまわりに当たり散らしている人は、そのときに日ごろのストレスを発散しているといえるでしょう。
(2)自己開示できない性格
生まれ育った環境や今の家庭環境などに問題を抱えており、日常生活で慢性的な「生きづらさ」を抱えている人がいます。
こうした人はあまり自分をさらけ出すことができず、アルコール依存症になりやすいと言われています。
お酒を飲んで酔っ払ったときだけ自己開示することができるのです。
このように、お酒の力を借りてうっぷんを晴らす行動は「離脱症状」のひとつ。
自分が抱えている生きづらさから逃れるために、お酒を飲んで現状から離脱しようとする心理が働きます。
(3)臆病な性格
臆病な性格の人も、泣き上戸な人が多いです。
臆病な人は自分の心が傷つかないように守っているため、なかなか他人との距離を縮められません。
それによってストレスや生きづらさを抱えることが多いうえに、たとえ誰かと親密な関係になったとしても、今度は依存しやすくなる傾向があります。
依存すると相手に対して一方的な感情表現をすることが増え、コミュニケーションがうまくいかなくなります。
当然、お酒に酔ったときはその傾向が顕著になり、暴言を吐いたり泣きわめいたりと手をつけられなくなることがあるのです。
(4)短気な性格
短気な人は不安定になりやすく、イライラして怒りっぽい傾向があります。
ちょっとしたことで機嫌が悪くなり、周囲に当たり散らすことも珍しくありません。
こうした人がお酒に酔うと、自制できなくなって余計に感情的な振る舞いをするようになります。
感情的になると泣きやすくなるため、怒りながら涙をこぼしたり、号泣しながら愚痴を言ったりと、まわりにいる人の手を焼かせることも増えるでしょう。
泣き上戸な人に男女差はある?
それでは、泣き上戸な人に男女差はあるのでしょうか。
男女ともに泣き上戸な人はいますが、男女で傾向にちがいも見られるので、詳しくご紹介します。
泣き上戸な男性の心理は
泣き上戸な男性によく見られる心理は、プレッシャーからの離脱です。
男性には“ウルトラマン思考”があり、「いつでもどこでも頼れるヒーローでいたい」という願望があります。
また、女性よりもプライドが高く優位性を重視するため、周囲より優れた存在でありたいと考える人も多いです。
しかし、知らず知らずのうちにこうした願望が本人にとってプレッシャーになり、ストレスになっていることもあります。
人間ですから苦手なこともあればうまくいかないこともあり、自分の理想と現実とのギャップに苦しむのです。
そうした葛藤が涙になってこぼれ落ちることがあり、お酒に酔って泣き上戸になる人もいるでしょう。
泣き上戸な女性の心理は
泣き上戸な女性によく見られる心理は、自分の気持ちをわかってほしいというシェア願望です。
女性は男性よりも感情を共有したいと考える傾向があり、うれしいことやつらいことを恋人や友人、家族と共有することに安らぎを感じます。
「女性のお悩み相談には、具体的なアドバイスではなく共感を示すのがポイント」といわれるのもこのためです。
こうした点から泣き上戸な女性は、そのとき吐露している気持ちをわかってほしいと願っており、悲しみや苦しみを共有したいと思っているケースが多いといえるでしょう。
泣き上戸になる原因
それでは、どうして大勢の人がいる飲み会で泣き出してしまうのでしょうか?
泣き上戸になる代表的な理由を4つ解説します。
(1)日ごろのストレスが溜まっているから
泣き上戸な人の特徴でお伝えしたとおり、生きづらさを抱えている人やため込みやすい人は日ごろからストレスが溜まっています。
なかなか発散できずにいたストレスが、飲み会でお酒に酔うことによって爆発し、涙になってしまうことがあるのです。
(2)無礼講が許されるから
「飲み会は無礼講」ともいわれるように、飲み会の場は開放的な雰囲気になりがちです。
わいわいとお酒を飲んで楽しむ空間だと、ふだんは言えないことも言いやすくなりますし、自制心も効かなくなりやすいでしょう。
そのため、こうした飲み会の場で感情的になり、泣き上戸になってしまう人がいるのです。
(3)お酒の力を借りられるから
お酒に含まれているアルコールには、気持ちをリラックスさせたりコミュニケーションを活発にしたりする効果があるといわれています。
そのため飲み会でお酒を飲むと、ふだんは言えないようなことも言いやすくなりますし、感情表現も豊かになります。
その結果、泣き上戸になってしまう人もいるでしょう。
(4)大勢の人がいて高揚しやすいから
一対一で話していると緊張感も生まれやすく落ち着いた雰囲気で話せますが、大勢だと騒がしくなり場も盛り上がりやすくなります。
このように活気づいた非日常な空間にいると、気分も自然と高揚しやすくなるもの。
それによって感情が高ぶり、泣き上戸になる人もいるようです。
泣き上戸な人に困ったときの対処法とは?
それでは、泣き上戸な人に出会って対処法に困ったらどうすればいいのでしょうか?
いざ目の前で泣かれてもスマートに対応できるように、おすすめの対処法を3つご紹介します。
(1)否定せずに話を聞いてあげる
泣き上戸な人は感情的になっているので、「とにかく話を聞いてほしい」と思っているケースが多いです。
また、気持ちが高ぶっているのであまり冷静な判断もできないため、真面目にアドバイスしてもあまり意味がありません。
多少面倒ではあっても、できるかぎり相手の話を否定せずに「うんうん」とじっくり聞いてあげると、だんだんと落ち着いてくるでしょう。
実際には聞き流してしまっても大丈夫なので、できる範囲で親身な相槌を打つのがおすすめです。
(2)背中をさすって水を飲ませる
お酒に酔った人への対処法と似ていますが、お酒に酔った結果として泣き上戸になってしまうケースが多いので、酔いを落ち着かせる対処法もおすすめです。
酔いが落ち着けば、涙も自然と引っ込んでいきます。
背中をさすられると人はリラックスしやすくなり気分が落ち着くので、背中をゆっくりとさすってあげましょう。
さらに水を飲ませ、アルコールのスムーズな排出を促してください。
(3)会場を変える
1と2を試してもうまくいかず打つ手がなくなったら、思い切って場を切り上げ、飲み会の会場を変えるのもおすすめです。
お店を変えることで仕切り直しでき、気持ちも切り替えやすくなるので、泣き上戸になって手がつけられなかった人もピタリと泣き止み、落ち着くことがよくあります。
最終手段ではありますが、二次会の予定があるなら早めに切り上げて場の空気を変えるといいでしょう。
不器用な人ほど泣き上戸になる
泣き上戸な人はよく面倒くさがられますが、不器用な人が多いので余裕があればゆっくり話を聞いてあげ、うまくストレスを発散できるようにサポートしてあげるといいでしょう。
その場でストレスを発散できれば、今後同じように泣き上戸になる可能性も低くなります。
それでも手を焼いてしまう場合は、ご紹介した対処法を参考にして乗り切ってくださいね。
(萩原かおり)
※画像はイメージです
※この記事は2019年06月29日に公開されたものです