「お人好し」とは? 優しい人の違いと性格を直したい時の対処法を解説
お人好しな人は損をする? お人好しをやめたい、しんどいと思った時はどうしたらいい? 12個の特徴を分析しながら、お人好しのメリット・デメリットや性格の直し方を心理カウンセラーの大塚統子さんが解説します。
「お人好し」と聞くと、どんな性格の人を想像しますか?
他者のことを信じやすい、都合良く利用されがちなど……。実際にお人好しと言われたことがある人の中には、あまり良い気がしなかった人もいるのではないでしょうか。
今回は、そんな「お人好し」について解説。言葉の意味から性格の特徴、メリット・デメリット、お人好しをやめる方法など、詳しく紹介します。
「お人好しから卒業したい!」と考えている人は要チェックです。
お人好しの意味とは?
そもそも、お人好しとはどんな意味なのでしょうか。辞書を見てみると以下のように記載されています。
おひとよし【御人好し】
何事も善意にとらえる傾向があり、他人に利用されたりだまされたりしやすいこと。また、そのさまや、そういう人物。「頼まれたら嫌と言えないお人好しな性格」
(出典:『デジタル大辞泉』小学館)
お人好しとは「人を疑わず、信じやすくだまされやすいこと」の意味です。
広くは「自分の気持ちや価値観よりも、相手を大事にしようとする人」などの意味合いも含みます。
そのため、「お人好し」という言葉は必ずしもネガティブなことばかりを指すわけではなく、時に褒め言葉として使用されることもあることを覚えておきましょう。
優しい人との違い
お人好しな人も優しい人も、「相手を大事にしようとする人」という点では似ているといえます。
しかし、両者の違いは「そこに自分の意思があるかどうか」ではないでしょうか。
例えば、優しい人とは相手のことを考えた上で最良となる行動をとれる人といえます。いつ、どのような時に、どんなことをすれば相手の助けになるかを気遣えるのが特徴です。
一方、お人好しな人は自ら考えて行動するというよりは、相手の言いなりになっている場合が多いでしょう。基本的に人を疑うことはないので、その隙を狙われて都合良く利用されてしまうのかもしれません。
お人好しな人の特徴12選
では、お人好しな人には具体的にどんな特徴があるのでしょうか。
(1)自分より相手のことを優先する
彼らは、人の気持ちや意見を尊重したり、相手が喜ぶことを優先したりするのが当たり前になっています。
しかし、前述したように、相手の言いなりになってしまうことが多く、本当に優しい人なのかどうかという点では、少々疑問が残るかもしれません。
(2)決めるのが苦手
お人好しな人は自分よりも他者を大事にするので、人の意見や「周りがどう思うか?」に左右されやすく、自分から決めるのが苦手な傾向にあります。
そのため、時に優柔不断だと見られることもあるでしょう。
(3)ポジティブ思考
彼らは基本的に何事も善意や好意に捉えようとするので、表面的にはポジティブ思考です。
ただし、嫌われるのが怖くてお人好し風になっている場合は、内面にネガティブな思考パターンを持っている可能性が高いでしょう。
(4)控えめな性格
お人好しな人は控えめな性格の人が多いです。自分よりも他者を尊重するので、自己主張が苦手な傾向にあります。
(5)周囲を頼るのが苦手
彼らは誰かを頼ったり、周囲に頼み事をするのも苦手でしょう。それ故に、悩みを1人で抱えこんでしまうこともあるかもしれません。
(6)献身的
お人好しな人は、自分のために頑張るよりも、人のために何かすることの方が得意です。
愛情深い彼らは、恋人や自分のことを頼ってくれる人にはとことん尽くす傾向があります。
(7)自己犠牲的
献身的な性格であるが故に、自分はさまざまなことを我慢しがち。時に、そのマインドに疲れてしまうこともあるかもしれません。
また、自己犠牲が強くなりすぎて、空回りしてしまうことも。本人はよかれと思ってやっていることが、お節介になってしまう場合もあるでしょう。
(8)素直で人を信じやすい
彼らは、素直で人を信じやすい傾向にあります。その隙を狙われて、だまされてしまうこともしばしば。
相手を信じるのは良いことですが、悪意のある言葉に振り回されないよう注意が必要です。
(9)人の話を聞く方が多い
お人好しな人は、自分のことを話すよりも、人の話を聞いている方が多いです。聞き上手で、相談なども受けやすいでしょう。
(10)相手に合わせるのが得意
お人好しな人は相手がどんな人でも、自分を人に合わせることが得意です。しかし、時に流されやすい人だと思われてしまうこともあるかもしれません。
(11)断れない性格
彼らはNOや嫌いと言うことが苦手な傾向にあります。故に、嫌なことでも断れません。
その結果、損な役回りばかり引き受け、ストレスをためがちです。
(12)争いが苦手な平和主義
お人好しな人は、怒りの感情に触れることやけんかなど、争い事全般が苦手。それを避けられるなら自分が我慢する道を選ぶという人が多いでしょう。
▶次のページでは、お人好しは損なのか、メリット・デメリットを解説します。
お人好しって得or損?
お人好しであることは、得なことなのでしょうか、損なことなのでしょうか。メリットデメリットを教えてもらいました。
お人好しのメリット
お人好しには、以下のようなメリットがあります。
・素直に人の善意や好意を信じられるので、幸せを感じやすい
・気持ちの切り替えが上手
・どんな人とでも良好な関係を築くことができる
・人柄が良いので愛されやすい
・人の夢を純粋に応援できる
基本的に物事を良い方向に考えるのが得意なので、人に愛されやすいなど、良い点がたくさんありますよ。
お人好しのデメリット
一方、デメリットは以下のようなことが挙げられます。
・嫌なことでも断りにくい
・自分の意見や本音が言いにくい
・強引な人やわがままな人に振り回されやすい
・甘えたい人が周囲に集まりやすい
・八方美人と誤解されやすい
・気を使いすぎて疲れやすい
こういったデメリットを見ると「損」と感じる人も多いでしょう。
しかし、どんな性格でも、人には長所と短所があります。お人好しも例外ではなく、メリットとデメリット両方がありますね。
そのため、「○○な性格だから損をする」という風に結論付けてしまうのではなく、自分にとっての得が大きいか、損が大きいかに焦点を当てることで、性格との向き合い方は変わるでしょう。
▶次のページでは、お人好しな性格の直し方を解説します。
お人好しな性格の改善方法
お人好しは良い点も多いですが、人によってはデメリット部分を強く感じることも。しかし、性格を直すことは可能なのものなのでしょうか?
ここからは、対処法を考えていきます。
(1)自分を大切にする
人を大切にできるのは素晴らしいことですが、同じように「自分を大切にする」のも大事なことです。
人は誰かが犠牲になった状態では、本当の幸せを感じることはできません。自分も含めて、みんなで幸せになる道を選ぶようにしてください。
(2)自分の気持ちに正直になる
お人好しな方は、自分を過小評価しがちです。そのため、性格を改善したいのなら、まずは自分自身を正当に評価しましょう。
特に、相手に合わせがちな人は、自分の感情や感覚を取り戻すことを意識してみてください。快なのか不快なのか、好きなのか嫌いなのか、自身の気持ちに正直になることが大切です。
(3)断る勇気を持つ
お人好しを卒業したいのなら、断る勇気を持ちましょう。
相手の全てを受け入れることが愛ではありません。NOなものはNOと伝えるのが、真の愛情であり、信頼関係構築の一歩ですよ。
▶次のページはお人好しな人に向いている仕事の例を紹介していきます。
お人好しな人に向いている職業とは?
お人好しな性格にはメリットもあります。そのため、自分自身と向き合いながら、長所を生かせるフィールドで活躍するのも手です。
ここで紹介するものが一概に当てはまるわけではありませんが、ありのままの自分を生かす参考になるかもしれません。
(1)介護・看護などの人を助ける仕事
相手を思いやり、相手の世界観を尊重できるのがお人好しの特徴。優しい雰囲気をつくれるので、さまざまな人と関わる接客業との相性が良いです。
中でも、人を助ける仕事はやりがいを持って取り組めるので、介護・看護などのジャンルが向いているでしょう。
(2)保育士・教員などの子どもと関わる仕事
純粋に相手を信じ、他者の気持ちを思いやれるので、子どもと接する業種なども向いていますね。
子どもの幸せを優先的に考え、成長を一緒になって応援できる人です。
(3)サービス業などのおもてなしの仕事
お人好しの人は、優しさと気配りが得意。人に喜んでもらえる仕事にやりがいを感じるため、直接人と接し、周囲の人を笑顔にするサービス業も向いていますよ。
卒業する必要はない? お人好しの良い面を伸ばそう!
お人好しという言葉には、なんとなくマイナスなイメージがつきまとうもの。しかし、メリットもたくさんあることが分かりましたね。
お人好しな性格を改善するには、周囲の人のことばかりでなく、自分を認めてあげることが大切です。今よりもほんのちょっと自分で自分を褒めてあげながら、自身の長所を伸ばせると最高ですよね。
お人好しな人な性格も1つの個性。本記事を参考にしながら、あなたらしく、自分自身と向き合っていってくださいね。
(大塚統子)
※画像はイメージです
※この記事は2018年08月20日に公開されたものです